第16話今度は戦ですか。
まあ次から次へと。
火山の向こうの国がきな臭い。
経済状態が悪いとは聞いていたけど、隣の小国を侵略したそうだ。
その国で兵を徴収し矛先をこちらへ向けて来た。
最近近隣の町に兵が集結しているから迎え撃つ構えだ。しかしこの辺の村で兵糧は調達出来ないので、長期戦に成ればお互い疲弊する。しかも噴火の後だけに進軍は大変だ。だが道を整備していた我が国の方が有利だ。兵糧を敵は運ぶのに時間が掛かるだろう。
しばらくして火山の麓で双方が対峙した。ただ侵略した小国からもこちらへ軍が来ている。そちらは対処が少し遅れた為、領内へ進軍されて陣地を確保された。
辺りには城壁を持った町は無く、陣を築いての野戦に成る。
火山の麓は敵四万、味方二万五千で、もう片方は敵一万、味方五千と我が国の方が少ないが、時間が経てば援軍で兵力は拮抗する。
だけど、僕としては自国の経済を立て直す為に、他国を侵略するのは納得出来る訳が無い。
この戦小国の兵はおそらく士気も低くにらみ合いに成る。ならば叩くのは火山の麓の敵だ。
僕は帰ってきた息子の奇抜な服を借り、魔法で金の鳳凰を出してそれに騎乗する。
「これで神に見えるか?」
「顔が丸顔の童顔だから威厳が無いなあ」
ほっとけ。
それに惚れた女だっているんだよと、妻の方を見る。
・・・コンキュストさんこの息子に何か言ってよ。
お父さんはあの顔で笑いながら人を斬るから怖いのよ。
いやいや、地顔だから、笑って無いから。
そうして僕は北東の火山の麓に向かう。
鳳凰に乗った僕は敵将軍の眼前に行く。
「そなたがオルファスト軍の総指揮官か」と隣国の将軍らしき人物に問う。
どうみても尋常で無いモノの問いに、「いかにも、貴殿は何者か」と返して来る。
私はこの世界の末席では有るが、神と言えるモノだ。
「その神が何の用で我が眼前にお出ましか?」
「単刀直入に申す。戦を止め陣を引かぬか」
「それは出来ぬ。私は国王の勅命で来ておる。退く事は無理である」
「ならば神の力を使い実力で排除せねばならぬ。多くの兵が死に傷つくが良いか!」
「さすればお手向かいいたす。末席の神よ」
そう言った将軍は僕に向かって手のひらを突き出した。
・・・こいつ魔法が使えるのか?。
そう思った僕の周りから景色が消えた。そこに浮かんでいたのは複数の魔物だった。
召還魔法!?。
初めて見る魔法だ。召還魔獣と対峙するのも初めてである。
それに天地が分からず少しフラフラする始末。
その時、突然にあのエヴァ某のアニソンが高らかに鳴り響く。
えっ?、こっこれは。
もしかして三女のリラか?。
その呟きの瞬間「御名答!!。」との言葉と共に、大爆発音が。
あっああ・・・将軍はおろか、数百人の兵が消えていた。
その円形のえぐれた回りも数百人?、あるいは数千人の怪我人がいる。
そして目の前には三女のリラ。
このリラ、魔力が他の兄弟姉妹と比較に成らない程強く、気性は少し激しいが正義感は強い。既にバツ3で今は他の世界で結婚してた筈だが。
三女が持っているCDプレイヤーは電池が入っていて、末っ子夫婦の娘に与えたのを、私にも頂戴とせがまれて日本から買って来た物だ。・・・自分で買えよ。
とっ、今度はその孫娘の歌で例の天空のアニソンが流れ出す。
すると、あれ!?。あれれ!?。
瀕死の敵兵や怪我をしていた敵兵が立ちだし、それぞれ頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
僕も浮かぶ。
「お父さんナナの力知らなかったでしょ」
「どう言う事だ?」
「これがあの子の癒しの力」
「お父さんや私にでさえ扱えない、最大限の・・・まあ聖女と言うべきかな?。」
「あの娘の歌は癒しの力が半端無いのよ。気付いてる人もいるとは思うけどね」
「さてどうするお父さん」
「ああ・・・」
僕は頭上に積乱雲を築き上げる。
敵兵達は空を見上げると、にわかに光と音がし始める。
「お前達直ぐ様兵を退け、そうで無いなら今より、イカヅチにて無作為に焼き殺す」
ゴロゴロ、ドーン!!。
彼らの前から徐々に雷が近付く、統率者を失った兵は脆かった。
雷に追われ我先に逃げて行った。
・・・もしかしてまた離婚?。
神殿跡の家で三女と話をする。
まあね、私結婚に向かないね。
そんな家族ドラマの様な一週間が過ぎ、小国の兵が何もせず引きあげた頃、オルファストから和睦の使者が来た。何でも王宮が鳳凰の様な鳥に吹き飛ばされ、王族が死滅した為、辺境へ嫁いだ娘の子が跡目に成ったと聞く。その王自ら出向いて和睦を申し入れた様だ。
大変だな賠償や何やかんやで。
国の経済もひっ迫してるのに。
でも分割払いらしいわよ。
・・・鳳凰がねえ・・・。
そうね・・・お父さんのかしら。
・・・・・・。
きっと三女は神に向いているな。
「お前いつまで居候する気だ」
「だって帰るとこ無いもん」
「いつまでも居て良いわよ」
「母さん有り難う」
「どうせもう誰も貰ってくれないしね」
「・・・・・・・・」
僕はそっとその場から退散した。
そんな恐ろしい家族ドラマ。
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