第15話近くの山がヤバいんだよ。

神殿跡から30㌔北東にある山が少しおかしい。

そう言えば最近小さい地震が多発していた。

国境を跨ぐ山で、見た目900㍍の高さだが、頂上がカルデラに成っている。

近くの水捌けの良い土地は、そう言った事なのだと最近気が付いたが、甜菜・ブドウ・さつま芋等を植えているので、正直助かってはいる・・・しかし、噴火とかは困るな。

「活火山だったのか!」

「大丈夫かしら?」

「分からんなこればっかりは、噴火でもしてみんと」

未だ水蒸気も噴煙も見えないが、ヤバそうなのは確かだ。

魔法で地中を探査してみるが、火道は塞がっているかも知れない。

新たな火道が通るか、水蒸気の通り道が見えたら危険かも。


北・北東・東の村人には、何時でも避難出来る仕度をお願いしておく。

こちらも日本で保存食やテントなどを買って準備する。

それと土魔法でシェルターも数ヵ所造り、村民に伝えておいた。

地震に備えシェルターは補強も忘れない。

これで噴石は防げるが、火砕流が起こればヤバいので、神殿跡の南西に出来たら避難して欲しい。


そうだ、息子の彼女の町が北東に有るんだっけ。

息子にも危機が迫る前に、町の人や彼女の家に、避難具の用意をしてくれと伝えた。

それから1ヶ月、蒸気が地の裂け目を伝わって行くのを確認した。

これは火道がそこを通るかも知れないので、息子に避難するよう町に伝えて貰う。

白い蒸気が少し見えだした三日後爆発した。

水蒸気爆発だが、マグマが押し上がって来るのを、土魔法で確認出来た。

マジで勘弁。

各村に緊急避難を出したよ。

息子が町の人達を連れて来た時だった。

ゴゴッ・・・スドドドっと地響きが揺れと共に来たその瞬間、ボォオーン!!、グゴゴ、ドーオオオーン!?。かなり高く噴煙を巻き上げ、大爆発を起こした山はその後雲がわき雷も起きた。

爆発した時すぐに皆はシェルターに避難し噴石は免れたが、建物や農作物は大分やられた。

それから小規模な爆発は有ったものの、最初ほどの被害は出なかった。


事前に前いた村などに災害支援の食料をお願いしていた。

日本で買った保存食やミルクそれにテントなどが役に立つ。

シェルターも一時的な住まいと成った。

それでも少し足りず、近隣の町や村に助けて貰った。

でも息子の彼女の町ではかなり人が亡くなった様だ。

逃げなかった人や遅れた人が多かったのだ。

火砕流の発生は向こうの国側で起きたが、人は住んでおらず被害は余り無かった様だ。


息子の彼女の町は暫く復興は難しいだろうけど、うちも大変だ。

農作物の七割が駄目に成った。

井戸や川は幸いに枯れたり、ダムが出来たりはしなかった。

領主様から今年は税を免除してくれるとの事。

まあ納税出来ないけどね。

集まった支援と自分の稼いできた資金(砂糖や味噌と醤油)が役にたった。

まあ少し足りなくて神様に貰ったお金も1割使ったよ。


近隣の町や村の人で水路や畑の整備、堆肥作りに家の修繕や建設をした。

噴火は小規模なのが有るが、これで何とか成りそうだ。

魔法で調べたら2万年ぶりの噴火だったね、勘弁してくれほんま。

これは土魔法で至る所に、避難所を造っておく必要性が有るので、造っておいたよ。

初めての経験だった。

鹿児島の人とか大変だね。


それが切っ掛けで、息子が娘さんと結婚したよ、良かったね。

翌年マッシュさんが亡くなった。

アルーシュさんの事が心配だったが、息子さん夫婦が付いてくれているので大丈夫だろう。

「首都壊滅の時とは違うから大丈夫なのに」と笑っていたけど、その時支えたのがマッシュさんだから心配したのだ。

マッシュさんお疲れさん。

本当に良い人だった。

寂しいけどね、仕方ない事。

僕らは何年生きるんだろうって呟いたのを、アルーシュさんに聞かれたらしく、神に準ずる存在なので、千年は生きるかもねと言われた。

もう妖怪じゃん。

妖怪テル・・・んっ、迫力無い。



出来れば戦争とか起きないで欲しい。アルーシュさんみたいに三十万の人を屠るとかしたく無い。僕にも町を軽く一つ屠る力が有ると、ドラゴンと対峙した時に、ドラゴンに言われたからなあ。

実際に山ごと50人の盗賊を消滅させた、数十倍の力の魔法が使える事が自分で解っている。

不毛の地に異世界航行した時、魔法を試して解った事は、国を一つ消せるかもと言う事だった。

あれは使いたく無い。

死ぬまでは。


でも壊すのは得意だけど、再生や構築の方が魔法は難しい。

国を一つ創れるかと言えばノー。

今の近隣の村で何年かかってるんだよって話。

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