第12話無慈悲な神を知る。
1作目の大魔○は逃げる村人をも踏み殺す無慈悲なものだった。
少女が滝に身投げしても動かず、己の額に釘を打ち付けられてやっとこさ動き出した。
割りと自分勝手な神で有った。
2作目・3作目で正義の見方の様に振る舞うが、元は不条理で無慈悲な魔神である。
そんな昔の映画を思い出したよ。
とある山に有った凪の光と言う神殿が崩壊した話は一年後に伝わった。
ある日突然そう高くもない山の上に、鉄床雲を持つ入道が現れ、イカヅチを落としたらしい。
複数の雷で神殿は崩壊したがまだ生きている人はいた。
次に起きたのは、その入道と鉄床雲が下に落ちた災害だ。
ごく希に起きる自然現象だが・・・これは意図的だな、きっと。
あらゆる物が吹き飛び、人も馬も家畜も建物も、何もかも吹き飛んだらしく、生存者は皆無だったと聞いた。
どす黒い風が吹き上がりその後、今度は白い空気に包まれた神殿付近の山は、見る影も無かったと言う。
ダウンバースト・・・聞いた事は有っても見た事は無い。
風速は50メートルを超えると言われている珍しいものだ。
おそらく今回は70メートル級の突風に冷気を伴ったのでは無いか。
想像ではあるがそんな気がした。
神殿にいた人が皆悪人では有るまいに、余りにも無慈悲で容赦が無いけど、僕も五十人くらいの盗賊に同じ事をした。
あの後僕は手を洗う癖が続いた。
洗っても、洗っても、手に血が付いているように見えたのだ。
アルーシュさんの精神障害はそんな僕とは比較にも成らなかった事を思い出した。
神とはそんな精神障害にも成らないで、無慈悲と不条理と情け容赦の無い存在なのだと痛感する。
妻にあんな事をした教団だが黙祷を捧げずにはいられ無かった。
国によって調査された凪の光の実体は、殺人・婦女暴行・人身売買等、悪質な教団と解り地方の神殿や教団施設そして、教団自体も解体され、信仰する事をも処罰の対象と成った。
宗教団体としてはこの国初の極刑として、二度と活動は許され無いと言う事らしい。
それに伴いナムカスの宗教団体もかなり厳しい処分を受けた。
死刑者こそ出さなかったが、傷害等で多数牢に入れられたと聞く。
そこは素直に『ザマアミロ。』と呟いておいた。
何処かのオ○ムの様な事はもう起きて欲しく無い。
妻は布教活動していたので、少し心を痛めていたが、流石に君には責任は無いだろうと慰めておく。
時々妻と凪の光の神殿跡地を土魔法で整地しに行った。
綺麗に更地にし鎮魂の碑を建ててみた。
後に暮らせる様、土魔法で家も数件造り、井戸や農地も少し整備したが、流石に農地は住む前に、手を入れて土を作らないと駄目かな。
まあその時にやろう。
時々訪れて変なモノが居着かない様、結界作りや掃除もした。
魔法でね。
子供が大きく成ったら住んでみるかな?。
まあ・・・今は二人目出来ちゃったから、未だこの村に御厄介に成ってるし、村に少し恩返ししないとね。
この村で僕たちはおしどり夫婦と言われているけど、嬉し恥ずかしながら良い暮らしを、相変わらずの貸家でしている。
仕事は狩りで肉を卸すのが主体。
山菜や薬草そして鰻丼等を細々売ってもいて、他の村や町からも客がたまに来る。
それは醤油と味噌の作り方を村に教えたから、その買付の帰りに寄ってくれる人達だ。
ただちょっと鰻丼の人気が最近あがって来て、人を雇って作り始めてしまったのは、計算外だったよ。
まああれは旨いから仕方ない。
そのうち鰻丼は人に任すつもりだけどね。(砂糖の確保大変だから麦芽で甘味は出している)
酒蔵なら味醂も出来るなあ。
でもあそこの家は麦や芋の焼酎だし無理かなあ。
甜菜って栽培出来るかな?。
そんなまったりした生活は続くのだ。
めでたし、めでたし。
いやいや終わらないよ。
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