第11話歩き巫女を襲う影。
ナムカスで一悶着起こしたので、しばらくはこの村で大人しく過ごそうと、家を借りて住む事にした。
統合ギルドで斡旋して貰った家は元新婚さんの家だった。
やはり町に出て行く人の方が多いのかな。
仕事の種類も量も町の方が多いしね。
まあ、僕は普通に村のまわりの山や森と川で、何でも捕れるし生活には困らない。
そんな事してるから意外とお金は減っていない。
春の陽射しの感がする半月経った日に事は起きた。
コンキュストさんが4人の黒いローブの男に襲われた。
間に合わなかった。
剣で貫かれたコンキュストさんを見て血の気が引くのを覚えた。
脇差しで4人を相手にしたが、こいつら普通に強い。
特別な訓練を受けた剣士にみえるけど、義輝の剣技には勝て無かった様で、3人に致命傷を負わせ、もう1人も生きてはいるがうづくまっている。
コンキュストさんは大丈夫か、急いで回復魔法をかけるけど、血が止まらない。
息が荒い、脈も落ちている、顔色は青い。
回復、回復、回復・・・くそ!。
追い付かない、回復、脈が落ちる。
血圧、心拍数、落ちる、下がる、回復魔法が追い付かない、効かない。
僕の回復魔法が効かない。
ヤバイ神様ヤバイ。
ヨシ子様、神様助けて。
コンキュストさんを助けて。
お金も、僕の命もいらない。
お願いコンキュストさんを、コンキュストさんを死なせ無いで。
涙がコンキュストさんの上に落ちる、回復魔法をかけ続ける、神様に祈る、ヨシ子様に祈る、呼吸が・・・、心拍が・・・、お願い誰か助けて!!。
涙でかすむ、鼻水も出る、嫌だ脈が止まる、お願い神様全て返します、だから助けて。
「・・・ん、間に合ったかの」
「良く持たせたなテル」
止まってた脈が、トクって・・・トクトクトクと動き出す。
息がかすかに聞こえる。
すう~。
すう~すう~。
徐々に、徐々に、静かに、そして顔色も戻る。
!?、目が開いた。
コンキュストさん!、抱きしめた、そっと力を込めて抱きしめた。
もう涙が止まらない、鼻水も止まらない、嗚咽も止まらない。
・・・・・やっとの思いで目の前にいる神様に、やっとの思いで言葉が出た。
「ありがとうございます!」
蜥蜴の神様有り難う御座います。
「有り難う御座います。もう想い残す事は有りません。有り難う御座います神様」
「何を言っとるか、馬鹿モン!」
「お腹の父親がおらんように成る気か、お主は」
「えっ?」
「だからこの娘は妊娠しておる、しっかりせんかテル」
「テルさん・・・」
コンキュストさんが喋った。
「もう涙と鼻水と汗でぐちょぐちょです神様ぁ」
「知るか!あほ」
未だ流れた血が増えるには時間がかかる養生せい。
ベッドで寝ているコンキュストさんの傍らに座る僕に、神様はそう言ってくれた。
さてこやつどうするかの。
襲った内の3人は既に土魔法で土葬した。
一人生き残った襲撃者に神様は訪ねる。
お主この歩き巫女の神殿の騎士団所属じゃな。
その言葉に僕とコンキュストさんは驚く。
「えっ!?、何で(凪の光)が私を襲ったの」
「へっ、邪魔なんだよ」
「上位巫女のポルト様にとってお前はな」
「懸想しておるのじゃよ」
「はっ?」
訳がいまいち解りません神様?。
そう思っていると。
「次期総神官候補のウェルト様はお前に御執心なのさ」
「だから想いを寄せるポルト様が我らに暗殺命令を出された、それだけだ」
「それだけって」
「それが人の道を説く神殿のやる事かふざけるな!」
僕は怒りに震えた。
「さてと今回の騒動は村の者の記憶から消しておいたから、後はわしに任せてくれんかのう」
「神様どうなさるのですか?」
何か聞かずにおれなかった。
別の意味で。
「もう神の意思を伝えもせん神殿に意味は無いからのう」
そう言って神様は生き残った襲撃者に手をかざすと、襲撃者は塵と成って消えて逝った。
・・・・・恐ろしい。
神の根源が人の心の恐怖と言われるのが今解った。
お主たちここで子を育て暮らせ。
歩き巫女はもう卒業じゃな。
と言うか神殿そのものが失くなるから意味も無い。
そう言って神様は消えた、・・・と思ったらまた現れた。
「言い忘れたわい、元歩き巫女よ、お主の身体をカンナビとして、力の弱まっていた数体の神の魂を入れておいたから、お主・・・テルと共に異世界航行出来るぞい」
「まあ本物のカンナギに成ったと言う事じゃな。これから神殿を潰しに行くから、半世紀後にはそこに住むと良い。水も作物も色々有るし、何年生きるかわからんお主らには格好の場所じゃろ」
・・・何か恐ろしい言葉を残して神様は消えて行ったと思ったらまた戻って来た。
「あっテルよ、お主シュークリーム持っておるじゃろ。ひとパックくれんかのう」
シュークリームを渡すと神様は消えた。
本当に神とは恐ろしい。
シュークリームを食べながら神殿と神官をを消し去るのだから。
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