第10話居着く神。
人の足で三時間の距離に海が有った。
朝の食事に魚が出たので聞いてみたのだ。
宿に三泊の予定を入れて今日は海に行ってみる。
周りを少し散策したいと言ったが、三泊の目当てが娘さんとは言えるわけも無い。
港町に5年も住んでいた関係で、持ってるんだな竿を。
いひひ!。
釣るどー、デッケエやつ。
そしたら娘さんからチュッとか。
(=´ェ`※)エヘヘ
小魚3匹・・・自分でさばいたよ。
自分で焼いたよ。
今日は潮目が悪いんだきっと。
カップ酒のアテにしてその日は宿に帰ったよ。
二日目は山菜や薬草採りに山に入って過ごしてたら、猪みたいなの出て来たから狩る事にした、初日に出くわしたハウッツだ。
村のギルドで山菜や薬草と一緒に買い取って貰い、3日分の宿代がチャラに成ったのは嬉しい。
驚いたのは薬草の高さだったね。
良く効く貴重な薬らしい。
3日目綺麗な川沿いを散策していたら・・・。
宿の娘さんと彼氏とおぼしき獣人の男がいた。
慌てて太い木の幹に身を隠して、聞き耳を立てたら本当に彼氏だった。
もうすぐ結婚らしい。
翌日宿にお別れして傷心の僕は旅立った。
そんなもんさ世の中は。
あっしには関係のねえこって。
そんな古い時代劇の台詞を吐きながら馬車を走らせ、二つ目の村を過ぎ町までもうすぐの所で、道にうずくまる人を見つけた。
「どうしました?」
近隣の村人とは少し違うベージュの、旅姿の様なコートぽっい服装の若い女の人だった。
「何か食べる物を頂けませんか」
日本の惣菜パンを食べながら、日本ペットボトルの紅茶を飲んで。
「これ、凄く美味しいですね。どうもすいませんでした」
そう言った彼女は、歩き巫女と言う特殊な職業だった。
遠くの大神殿から布教をしつつ旅をしているらしい。
こちらには別の宗教団体があるのでいまいち布教は難儀と言っていた。
お布施に幾ばくかの路銀と食べ物を貰うらしいが、どうしても困った時などは春を売る事も有るとか。
・・・凄いなそれはと思い聞いていたら、その決心がつかずにいて道で倒れたと言う。
男性経験は未だ無いらしい。
確かに15・6才位にみえる。
助平心では無く、大変そうなので一緒に旅をしますかと尋ねたら、よろしいのですかと言われたので、僕は大丈夫ですよと返事をした。
取りあえず次の町で何日か宿泊しますと言って町に向かう。
落ち込んでいた。
布教の許可がこの町では下りなかったのだ。
ナムカスと言うこの大きな城砦都市は別の宗教団体の拠点であるらしい。
そりゃ無理だよな。
5日目にこの町の宗教団体関係者に脅されてたので、彼らを伸してナムカスをトンズラしたよ。
「異世界航行の声さん・・・ここの宗教団体の息の掛からない町を教えて」
「テル様、私に名前を付けてくださいませんか」
ん~確かに毎回異世界航行の声さんでは呼びにくい。
「じゃあ・・・ヨシ子さんで良いですか」
「はい、有り難う御座います。・・・もしかしてヨシテルですか?」
「あははバレました」
「いえとても嬉しいです」
う~ん、追って来なきゃええけどなあ。
「来ますかねぇ?」
「殴って伸したからねぇ」
「彼等以外に憲兵も追って来るかも知れない」
「すいません私のせいで」
「いやいやあれは向こうが悪い」
何を信仰するかなんて自由だと、日本生まれだった僕は心の中で呟く。
歩き巫女さんはじっと手を見ていた。
「どうかしました」
「あっ、いえ、その、テルさんの手がとても温かかったなと思いまして」
「いや凄く汗で濡れてたでしょ。もう本当、冷や汗モンでしたから、あはは」
「私・・・男の方と手を繋ぐとか喋る事すら無くて、でもテルさんが手を引いて一緒に逃げてくれて、凄く嬉しかったです」
そう言って少し頬が染まっていた。
宿屋の娘さんの時より遥かに胸がドキドキしている自分がいた。
僕は気が多いのかな?。
助平とは認識してるけど、この前片想い崩れ去ったばかりと言うに、もう次とは節操が無いなあ。
あはは。
良いじゃあーりませんか。
昔の人は言いました、恋はするほど垢が出る・・・違うか?。
ナムカスから逃げて村や町には寄らず、野宿を廿日ばかりしてかなり遠くの町に来た。
まさかこんな辺境の村までは来ないだろう。
久々に宿を取った。
「よろしいのですか」
「いやむしろ相部屋で申し訳ない」
「いえ嬉しいです」
えっ?、今なんと・・・。
聞き返せずに暫し沈黙。
晩飯食べてお湯をタライで貰い体を拭いたら、(勿論彼女の時は部屋から出たよ)流石に疲れてたのか二人とも速攻で夢の中に堕ちていった。
夜中ふと気が付くと、巫女様が僕の上に乗って来た。
あっ、あの何を?。
ここまでしてもらってお礼が何も出来ませんから、せめて私の身体で良ければ。
あっ、いやお腹大きく成ったらまずいですから。
大丈夫です多分安全日の筈ですから。
でも、あのですね、いやなんと言うか。
私の事お嫌いですか。
とんでもない大好きです。
私もテルさんになら、それに初めては大好きな方といたしたいです。
あっ、いや、あの・・・。
ひそひそ話の中で僕は、僕の下半身は誘惑に勝て無かった。
どか~ん。
僕の前に道は無い。
僕はその道を今捨てたから。
なんだかこの村は居心地が良いのか、狩りなどしたりで5日も滞在している。
「コンキュストさん(歩き巫女様の名前で有る)この筒を川に入れておくと魚が入るかも知れません」
「今日はこれで昼飯のおかずを捕りましょう」
「へえ~楽しみですね」
「あの・・・コンキュストさんこの村で家を借りませんか」
「その一緒に住みません」
少し唐突に切り出した。
「私は歩き巫女ですよ」
「歩き巫女は夫婦になれないのでしょうか?」
「そんな事は有りません」
「だったらここで暮らしましょう」
そんなやり取りをしながら筒を上げると、鰻の様な魚が入っていた。
「5匹も取れましたわね」
その日は返事を貰え無かった。
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