第6話お試し異空間航法。

折角能力が有るのだから試したく成って来た。

しかし今の世界のイメージは有るが、これから行く世界に行った事が無くイメージがわかない。

一度転生前の(日本)世界に行ってみるかな。

・・・服変えないと。

転生して姿形は変わっているので元家族にはわからない。

会っても辛いから他の町に行こう。

会いたく無い訳じゃないけど、もう死んだ人間なんだから。

服・・・魔法で出来ちゃった。ボンってね、便利だ。

さてと旅行で行った事が有る町にしてみよう。

航行中は瞬きより早いが、あまたの異空間が歪んで見えた。

さて、神様みたいに人と接触しては、相手を害してしまうから、人気の無い場所を予め設定しておいて元異世界に降りる。

降臨モドキで有る。

スーパーで旨いものを、便利な物を買った。

特注の牽引車(馬車)をネットで見て買った。

それらは亜空間にボックスを創って入れて置く。

アイテムボックスの一種だ。

亜空間に時間は無い。

だけどボックスで囲わないと物が消えてしまうので、僕の知る転生物語の様に無限では無い。

だからね無茶デカいボックスにしといた。



さてと先ずは人の類いの居る世界をイメージしてみる。

アルーシュさんの町に帰還するので道を構築しておく。

これって宇宙戦○ヤ○トより凄いなあ。テレサちゃああーん。

べっぴんさんが待ってたらいつでも行くけどね。

ワクワクドキドキもので行ってみる。

あ~空間の色々な景色が歪んでクラクラするよ。

着いた。

人気の無い所をイメージしておいたので、とんでもない森の中に現れた。

あっ、ああこれね。

異世界転生の誰も居ない森に神様が置き去りにするやつ。

良かったよ僕は馬車に乗せられてて。



一寸だけ人間の様な方達がいそうな場所を魔法で探した。

歩いて五時間位の所に町が有るね。

面倒なので異世界航行で距離だけを縮めた人の居ない所に。

草むらから出ると農夫らしき人がいたので、挨拶をしておいた。

耳と尻尾は狐の様だが、二足歩行でちゃんと手は人間の様に動いている。

ポカンとして見ていたが何やら言葉を発した。

あっ、言葉解る様にしないと。

魔法翻訳してみた。

便利過ぎるよ神様蜥蜴様。

「珍しいね人族かい」

他にも僕みたいなのはいる様だ。

「あっ、どうもさっきは違う国の言葉で挨拶してしまって」

「ああどうりで・・・違う国の人かいな」

「格好も変わってるし」

服が解らないので、地球の格好で来たけど、最初の転生先の格好で大丈夫そうだ。

「ちょっと道に迷ってしまって、町に入っても大丈夫ですかね」

「えっと、国って違う大陸かい?」

「あっはいまあ」

魔法で隣の大陸の国を直ぐに調べてみた。

「ゴンドワ大陸のカフェオから来ました」

「一人でかい?」

「はい色々な国を巡って冒険してます」

「へえ冒険家さんなんだ」

「海からだと半日かかったろう」

「ええそれに道から外れて探索したら迷っちゃって」

「いくら冒険家でも無闇に森とかに入っちゃ危ないよ」

「ここらにゃ魔素を持った獣が居るからね」

「中にゃ火をはくのもいるって話だし」

「そっ、そうなんですか?」

「俺は会ったことねえけどね」

「城壁の門番に身分証見せたら入れるよ」

「有り難う御座います」



お礼を言って町の城壁に向かった。

身分証無いので魔法で此の世界の証明書を調べて作ってみた。

金属のカードだった。

統合ギルドカードで、いわゆる職業カードみたいな物だ。

門番のいそうな建物に行って、門兵にカードを見せたら何事も無く通れた。

「珍しいな冒険家なんて」

「えっと獣とか狩りに行ったり、薬草採取とか探検家の人は?」

「探検家はまあ別として、狩りや採取は普通に狩人または農夫だよ」

「探検家や冒険家なんてそうそういないからな」

「そうなんですか・・・じゃあ僕は職探しどうしましょう」

「あっ、町に住むのか?」

「はいしばらくは」

「短期なら統合ギルドで日雇いの斡旋有るから受付に聞くと良い、それから借家も紹介してくれるぞ」

「有り難う御座います」

「気い付けてな」

どうも~と手を振り町へ入った僕はラザートに似てる町並みに少しほっとした。



ただこの世界魔法が有るかもね。

魔素を持つ獣が居るからね。

どの程度の魔法か気を付けないといけない。

お金は魔法で換金出来るので、持ち金を少し換金しておく。

宿を探しているとそれらしき絵の有る看板に出くわした。

ガランガランと重い鐘の音のドアを開けて入ると、受付嬢の可愛らしい獣人さんが。

「いらっしゃいませ、お一人様ですか」

「はい空いてますか?」

「大丈夫ですよ、朝晩二食付きの普通部屋なら5リュールです」

日本なら五千円って処か。

取り合えず7日分先払いでお願いしますと言うと、嬉しそうに有り難う御座いますって、可愛いいな。

部屋を決めて晩飯まで町をぶらつく事にした。


物騒な獣がいるからか、武器など扱う店も有った。

薬屋も有って薬草も買い取りしていた。

気になる図書館は無いようで町の本屋を当たってみたら、未だ紙の質が悪く大体が羊皮紙の巻物みたいだ、しかも高い。

紙は草の皮に近くてパピルスかよって感じ。

転生先より文明は劣るみたい。

でも、でもだ。

魔法の記述の巻物が有ったので買っておいた。

宿代より高い7リュールだ。



宿に戻って晩飯までその羊皮紙の継ぎ足した巻物を読んでみた。

どうやら僕の魔法はこの世界でもかなりチートに成るみたい。

大した魔法使いは居そうも無いが、気は付けておこう。

晩飯の時間に成ったので下の食堂に行った。

美味しいなこれ。

海の幸の出汁に、お米に近い食べ物やパンも有る。

味噌は有るが醤油は無かった、けどそのうち出来るかも知れない。

味なら転生先の料理以上だ。

お客さんは冒険家と有りましたが、森とか外の草原地帯に行くなら、携帯食や傷薬もうちで扱ってますから、受付嬢に聞いて下さいね。

テーブルにお酒を(別売)持ってきた給仕の人が言うので。

「それは有難い」

そう言っておいたが、魔法で大丈夫なんて言えないわな。

でも携帯食と薬は役に立つかも知れないので買おう。

日本の携帯食も有るけどね、他の人には見られるのはちょっと。

給仕の獣人も可愛らしい。



翌朝統合ギルドの日雇い探しに案内所に行った。

内政は安定しているようで、日雇い労働者は割りと少ない。

あいりん地区の様では無かった。

孤児院とかも人数は少なく、子供は町の地区皆で保護する江戸時代のシステムに似ている。

孤児院は親の虐待とかが原因の子供で特別な保護機関と聞いた。

これも転生物語と少し違う。

生活環境も江戸時代のそれに似ていて排せつ物は集めて肥料に、下水溝も町を巡っていた。

文明の割りにしっかりエコだ。

酒場でおじさんにこの国は戦争とか大丈夫かと聞いたら、五百年は大きな戦争は起きていないと言った。

小さな貴族間の揉め事や部族間そして盗賊団等も、数十年に一回有るか無いかだそうだ。

牢屋の犯罪者もかなり少ないらしい。

思ったよりかなり平和な世界の様だ。

びっくりした。


えっ?、何で酒場にいるかって。

・・・仕事が無かったんだよお~。

明日は護衛の仕事が有るから大丈夫さ。(金は心配無いしね)



翌日は朝早く門に集合した。

護衛は七人程集まった。

商隊長はもう少し欲しかったと言っていた。

ん?、平和と思っていたが。

どうやら首都までの道に魔物が夜な夜な現れて、小規模な馬車隊が最近何度か襲われたと言う。

警備兵を出して捜索したがどこに隠れているのか皆目解らないそうだ。

なので商隊長に割りと重装備させられた。

動き辛いよこれ。

長槍を渡されたが使えないので断った。

いざとなれば装備も瞬時に魔法で外し、脇差しの方が僕には戦い易い。

馬上での槍の扱いより義照さんは刀の方が得意だと思ったから。

たぶん義照さん自体が司令官の側近で(その頃は未だ将軍では無かったから)、槍で戦った事が無さそうだもの。

将軍様が前線で戦う訳無いし。

最期は刀で応戦してるからね。

下馬して接近戦で戦うよ僕は。

上泉様や塚原様の技術存分に試してみたいしね。



二日目の夜僕は夜警に回った。

円形に5キロメートル程の、動物が通過すると反応する結界を張った。

それに気付かれたらしい。

商隊長さんが僕に話し掛けて来た。

君は魔法が使えるのかと辺りに聞こえぬ小声で。

ええまあ・・・。

にしても凄いなかなり遠くまで結界を出してるぞ。

それが解る商隊長さんは何者ですか。

私は昔宮廷の警備隊長だった。

だけど格式とあれだ。

誘惑が半端無くてね。

うっかり誘惑にのるとばれたら首が飛ぶからね本当に本当。

相手は王の寵愛する妃や側室だからね。

結界で侵入者を防ぐのが役目だったから解るのさ私には。

成る程。

今日は此のぐらいにして私は寝るね。

あ休みなさい。

小声の会話は終わった。

あっ、宿代戻るかな?。



六日目、首都まで後二日半の夜営。

僕の二回目の夜警に異変は起こった。

結界をとんでも無いのが通過した様だ。

直ぐ様隊長を起こして危機に備えた。

七人の護衛は魔物の来る正面で待機し、その他の者は直ぐに逃げられる体勢を取った。

「いいか!、逃げろと言ったら私達を置いて逃げろ」

「敵わない相手なら殿を勤めて私達も逃げる」

「その間に出来るだけ遠くまで逃げろ」

「それほどの相手なんですか」

商隊の若い男が隊長に聞いた。

「解らんが普通の魔物では無い気配だ」

「僕が足止めしますね」

「出来るのか?」

「多分この相手なら」

「それは倒せないと同義語か?」

「どうでしょう?」

倒せるが魔法を出来るだけ見せたく無いとは言えない。

速い!、現れたのはヒグマより一回りも二回りも大きい、猪の様にずんぐりで脚は短めの牛の様な顔付きの生き物だった。

ただ殺気も攻撃の気配も無い。

むしろその背中に乗った少年がヤバイ雰囲気だ。

敵意剥き出しのその少年が「やれっ」って言ったと同時にその獣が咆哮した。

ウォオオー!。

地響きの様な凄い威圧だ。

どうやらこの獣・・・少年が操っているな。

僕の呟きに・・・あの少年を射るかと隊長は小声で言った。

それは止めた方が良いです。

小声で僕も言った。

更に・・・後ろからとてつも無いのが来てますからと、小声で教えた。

「とてつも無い?」

ちょっと声が大きく成った。

「ええ、軍隊でも敵いそうも無い・・・そんな奴です」

「うっ嘘だろ」

「残念ながら本当です」

間を置かず夜空の星が消えた。

何か黒い影が空を覆っている。

「ドラゴン・・・だ・・・と」

流石にこれはヤバイ。

僕の検索に神獣と出ているのだ。

戦えば一つの国が消えるレベルの神獣なんて、どうしたら良いのだろうか?。

僕にも解るはず無かった。

空から降りたそれはビルだった。

五階建てかな、あはは。



ここにいる全ての生き物よ動くな。

ドラゴンが喋った。

そこの若い魔法使い。

そなたとは戦いたくは無い。

森は禿げ、地は栄養を失い、近くの大きな町は食べ物と水が不足するだろう。

だからそなたとはしない。

「えっ?!!」

獣に乗った少年がビックリしてドラゴンを見上げた。「何故ですか」

少年はドラゴンに問うた。

間に合って良かった。

その若い魔法使いはわしと同じ神の眷属だ。

「「「えっ?。」」」

隊長や少年そして商隊の者も驚いた様だ。

あちゃあ~えらい事言うてくれるわドラゴンさんよ。

それと戦うは一国と言わずとも、この周辺は荒れ地と化すであろう。

森の少年よそなたでは相手にもならんぞ。

だからここは引くが良い。

そうで無いとわしがそなたを罰せねば成るまい。

今すぐ引け。

少年は唇を噛んで悔しそうに森へ消えた。







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