第4話盗賊団とテルさん。
あの盗賊団は何だったのか調査は続いていたがそれが判明した様だ。
アルーシュさん曰く、隣国での貴族の跡目争いで敗れ、追われて逃げてきた傭兵崩れでは無いかとの事だった。
こちらではそうそう身元不審の傭兵なんか雇ってはくれないそうだ。
他に探せば有るのだが、安易に盗賊に堕ちたからにはやり直せない。
山狩りや隣国国境付近を警備強化したと言う。
人を襲ったからには許される事は無いが、どうやら最初は二人組位のものが、数人集まり規模が大きく成ったらしい。
この町の周辺に軍隊が配備されたので、未だ盗賊団はいるようだ。
引き続き警護を続行している僕がいる。
一週間くらいした日に、何やら山の街道を武装集団が封鎖したとギルドに話が入った。
ラザート側には軍隊が集結してるらしく、こちらの町にも緊張が走っている。
武装集団が逃げるならこちら側だからだ。
迂回して王都の街道からも軍隊が来ているらしい。
その前に彼らが攻めて来たらどうするか、今ギルドの会議室で話合われている。
「地形を見して貰いましたが、奴等が来る道はゲリラ戦ならどこの崖からでも、下りてきて町の人を人質にするでしょう」
「一度町民を王都の街道方面に避難させた方が良いと考えます」
「川を挟んでいるので直ぐに監視をくぐって、人質を取るのは難しいかと考えます」
色んな意見が出ている中で王都の街道側に山際の町民を避難させる事に成った。
二日後の夜に異変は起こった。
山に立て籠った武装集団が町側に夜襲をかけて来たのだ。
夜襲に備えて見張っていた僕達一団は柵の前で多くの松明にびっくりした。
「50人はいるな」
マッシュさんが言った。
「予想外の人数ですね」
僕も答えた。
「軍隊ならなんと言う事も無いが、俺たちは素人集団と言っていいからな」
この町の警備隊には多すぎる人数だった。
「くそ!っ、吹き飛べ」
僕がそう呟いた、そうただ呟いたつもり・・・なのだが。
心の思いが魔法に成るとは思いもよらず・・・呟いた。
50人の松明が炎の轟音と共に吹き飛んだ。
『・・・・・・・・。』
・・・・・?。
僕達の言葉も思考も同時に吹き飛んだ。
「何が起きた?」
マッシュさんが口をあんぐりしたまま叫んだ。
なんだあれ?。
どうなってんの?。
・・・・・そこには大きくえぐられた地形が残っているだけだったのだ。
跡形も無かった。
本当に死体も武器の欠片も無かったのだ。
翌朝にそれが分かってから神の天罰と言う話にしか結論は出せ無かった。
一人いや、二人だが僕とアルーシュさんにしか、おそらくその認識は無かった。
「危なかった」
「もう少しでラザート側の軍隊も巻き込む処だったわよ」
「あっ、いや・・・やっぱり僕ですよねあれ?」
「魔法が使えるって蜥蜴・・・ごほっ、神様がおっしゃてましたでしょ」
「あっあのう、生活に必要程度って言ってませんでした」
「一応魔法が使える様にしておいたとはおっしゃてましたけど」
「100億円分の異世界で使えるお金をくれたんですよ」
「認識が普通で無いことは解るでしょ」
「いやだからと言ってあの魔法は余りにも」
「少し人気の無い所でご自分の魔法を確かめた方が良くってよ」
・・・はい。
朝の爆発現場でひそひそ話の跡、僕は人気の無い所に転移して、魔法の威力や強弱を確めてから、訓練して夜中にアルーシュ邸に戻った。
魔法を確めるのに一日中かかったのは、余りにも多くの魔法があり、威力が大きかったからだ。
軍隊が残党狩りや周辺の警備と、岩を削って道を切り開いていた間、僕は自分の魔法を色々研究して、毎夜の如く他の世界の荒れ地で確めていた。
二週間近くそれは続いた。
軍隊が削った岩をも吹き飛ばしていたら、間違いなくラザート側の宿営地に被害が出ただろう。
本当に危なかった。
僕は罪の無い人達を殺す処だったのだ。
神様~勘弁して下さいよ。
魔法の試行錯誤で判明したけど、神様がくれた身体強化と身体防御魔法は、常時発動されていると聞いていた通り、飛んできた岩が僕に当たる寸言に砕け散った。
風圧で吹き飛んでもどうも無かったのでびっくりしたよ。
吹っ飛んだ時死んだと思ったからもう。
まあ、異世界行き来したら何が有るかわかんないもんね。
異世界航行の馬車で人を轢いたりね、イロイロ有るからね。
うんそうだよね神様。
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