第1話 橘蓮①

 夢を見ていた。

 とても暗く冷たい夢だ。

 もう何年も同じ夢しか見ていない気がする。

 怖いのか?

 寒いのか?

 辛いのか?

 早く目を覚ましたい気もするが、体が言う事を利かない。

 早く目を覚まさないと、この後は…

 予測出来ていたのに、目覚められなかった。

 一面に真っ赤な液体が広がる。

 血だ。

 その隣に横たわっている女性の姿があった。

 血は女性の物で止め処無く出ている。

 その血は手にもベットリと付いている。

 違う。

 お母さん。

 何で、こんな事に、嫌だよ!

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