第2話 勇者一行、焦る。

 宰相さいしょうが王様の目配せで手の平サイズのパンパンに膨れ上がった革袋を勇者に手渡す。お金だ。私の前世での記憶だと対して貰え無いけど、この国王はできる人なのかも知れ無い。


「さあ、行けゆけ!」


 国王のお決まりのセリフが出たので4人で王の間を後にする。緊張したけど最後の王様のセリフが面白かった!多分、笑い堪えるのに変な顔してたと思う。


 「俺はユウト・ナカジマ、勇者だ。よろしく!」


 ユウト・ナカジマ、この勇者は恐らく日本人!金髪の長身で引き締まった身体をしている爽やか系のイケメン。


「私はビィクトリア・ボルネオ、第3王女です。よろしくお願いします!。」


 大人しい感じの美少女だ!たまに見せる笑顔とかで男を落とせそうな感じ!


「第3王女付き近衛騎士、バリス・アッカーマンだ。よろしく。」


 ザっ年上って感じかなぁ。勇者と違って声が完成されてる気がする。イケボ!


「女神テミスの使徒、ルナ・スミスです。よろしくお願いします!」


「ツヤのある良い黒髪だ。故郷を思い出すよ。シスターの服も似合ってる。」


 学校のクラスがえの時も同じ様な事言ってそう…君の制服姿、良く似合ってるよ!っ的な。


 そう言えば、お金いくら貰ったんだろう?この国の通貨は1銅貨、10銅貨、100銅貨、500銅貨、1000銅貨、銀貨、金貨がある。1銅貨は1ゴールドと呼ばれ、日本円で1円の価値。銀貨は5000ゴールド分で5千円の価値。金貨は10000ゴールド分で一万円!覚えやすいね♪物価も大して変わらず、その時の需要と供給次第。


「ところで王様からいくら貰ったんですか?」


 勇者に尋ねてみた。お店の外のテーブル席に全員、すわる。暖かな日差しが気持ち良い!ランチタイム日和だ。勇者がジャラジャラ〜とテーブルの上に硬貨をぶち撒ける。私達は目を見開いた!





 全部、全部!1銅貨だったの!勇者は大量だーって喜んでるけど、価値知らないだけだから!マジでいくらあるの?死活問題なんだけど……。できる国王だと思ったけど、撤回だ!このクソ野郎!本当にいくらあるの…?


「300枚あった!」


 ユウトが嬉しそうに言う。日本円で300円…


「ユウト様、やっすい串焼き3本分です。寝る宿は愚か、ご飯にさえありつけません。」


 バリスが申し訳無さそうに言う。


「それと勇者様以外の私達はお金を没収されています。そしてユウト様は召喚されたばかりでまだお金を稼いではいません。」 


 ビィクトリアも言いづらそうに言う。4人で全財産300ゴールドは頭、おかしい。装備もヤバイ。勇者は学生服で武器無し、ビィクトリアは美しいドレスで武器無し、バリスは近衛騎士の装備を身に着けていて剣も装備している。この中では1番まとも。そして私はシスター服を着ている位で武器無しです。4人共、頭を掻き出した。



「「「「ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!ヤバイヤバイ!!」」」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る