第3話 装備を整えよう!

 何をするにしてもお金が掛かる。戦えるのはバリスさんだけ…バリスさんにお願いしよう……。


「バリスさん!武器代、一緒に稼いでくださいませんか?」


「わかった。スミスは戦えるのか?」


「わたしは回復を担当します!その間、ユウトさんは街の中でビィクトリアさんに魔法を教わってください。」


 妥当な提案だと思うけど…ユウトさんとビィクトリアさんは不満そうな顔をしている。


「俺も行く!」「私も行きますわ!」


「うん、武器も装備も無いけどね♪」


「「そうでした。」」


「よし、先程の案で行こうか。」


 バリスさんがカッコ良くまとめた。




 そして今、私とバリスさんは街の外に居る。今日が晴れてて本当に良かった…。目の前には草原が広がっている。色んなモンスターが草を食べていた。何を狙えば良いのか分からない。ギルド登録とうろく料と依頼を受注するお金が有れば少しは楽になるのに!わたしはバリスさんを見る。バリスさんは視線に気付き、頷いた。


「この辺りだと、ダークウルフが効率良く金になる。」


 追いかけたら逃げそう。


「捕食中に狙うんですね!」


「む?普通に襲う予定だったが…その方が速そうだな。」


 バリスさんは剣を持ちダークウルフに近づく。私は小声で言う。


『首を一撃で!』


 静かに頷いた。風が草原を揺らし、物音を消してくれる。



  ズバン!  ズバッ! ズバッ!


 あっという間に三頭のダークウルフを倒す。剣捌きが凄まじかった。亡骸なきがらをマジックボックスにしまい、バリスさんと川でダークウルフの体に付いた血を洗い流す。毛皮を高く買い取って貰う為だ。


「マジックボックス、使えるんだな。」


「便利なので覚えました!」


「修得するのが難しくて使える人は珍しいからな。ビックリした。」


 感心したように何度も頷いている。ズシン…ズシン…と巨大なクマが姿を現す。明らかにダークウルフとは比べ物にならない強さを感じる…。


「厄介な奴が来たな。後ろに下がりな。アイツはキングベアだ。この草原だと、かなり強い。」


 亡骸をマジックボックスにしまい、後ろに下がる。相手は両足で立ち上がり威嚇をしていた。チャンス!


「バリスさん!心臓を突いて!」


 バリスは一気にキングベアとの距離を縮めて、剣で心臓を突く!勇ましい掛け声と共に。



「ウオリャアー!!消え失せろ!」


 バリスさんの剣はキングベアを貫ぬいた。返り血を浴びたその姿はまさに!闘う男!



「…やったのか?」


「コ、コラ!余計なこと言わない!」


 思わず突っ込んでしまったが見るからに死んでいる。バリスさんは震えていた。


「お、俺がやったのか?一撃で?」


「凄いじゃないですか!サクッと換金しましょう!」


 川でキングベアを洗った後、ボックスにしまいバリスさんを連れて冒険者ギルドに向かう。




 冒険者ギルドは賑わっていた。中に入ると酔っ払い達と綺麗な受付け嬢が居る。


「モンスターの解体と換金をお願いします!」


「解体ですね?着いて来てください。」


 解体場に着いて、キングベアとダークウルフを出す。今回の収穫は4頭だ。解体職人と受付け嬢が驚く。


「スゲーな!大物もいるじゃねえか!」


「これなら、素材の換金料の他に討伐報酬も出ます!」


「合わせて幾らになりますか?」


 そう訊くと、解体職人と受付け嬢が計算をして報酬額を出した。


「2万ゴールドです!直ぐに用意しますので受け付け前の控え室でお待ちください!」





 2万ゴールドを受け取って、冒険者登録をバリスさんと私は済ませた。2人で300ゴールド。スライムの15匹討伐と薬の材料になるボルネオ・オオジカのツノ4本、二頭分の依頼を受けた。受注料も2つの依頼で300ゴールドかかった。魔法の練習中の2人をバリスさんと探す。



 夕焼けを背に2人は広場のベンチにいた。何してんの?


「2人ともー!装備代を手に入れて依頼も受けましたよ!」


「残金は19400ゴールドだ。装備を整えるぞ。」


「わかった、行こう!」

「行きましょう!」


 バリスさんと私は魔法の練習については聞かない事にした。



 店で中古のやっすい武器と装備をバリスさん以外は手に入れた。試着室で戦闘服に着替える。女の子用の可愛いらしい駆け出し冒険者装備と革のローブを羽織る。片手剣を腰に下げた。誰も私をヒーラーとは思わないだろう。残金は9000ゴールドだ。ごめんなさい。私だけローブも買っています。街の中での格好と街の外に出る服装を分けれるのは嬉しい事だ!


「よし、1泊ぐらいしか残金が無いぞ!稼ぎに行くぞ!」


 ユウトの声を聞き、思い思いに返事をする。依頼の内容を伝えてから草原に出た。



 夕陽が沈もうとしている。


「夜になると危険だ。さっさと済ますぞ!スミス、作戦を。」


 はいはい。シカを倒すのに時間が掛かりそう…4人で囲めば直ぐ終わるかなぁ?スライムは弱そう…。


「まず、ボルネオ・オオジカを4人で囲んで首を落とすなり脚を切り落としてからトドメをさします。スライムは1人1人別行動でスライムのコアを一撃で貫き、コアを回収してください。1人辺り15個以上回収して稼ぎましょう!」


「スミスの作戦は良く出来ている。これで行きたい。ユウトはどう思う?」


 バリスさんはユウトに判断を委ねた。勇者はリーダー扱いだよねー?


「うん、それで行こう!」




 私達、4人は5頭のシカを追い囲んだ。予定より数が多い(笑) 一気に弱らせる!シカ達は呻き声を上げて横たわっている。残酷過ぎる。確実に心臓を止めた後、ツノを回収して血を抜いて肉を剥ぎ取りボックスに仕舞う。スライム達が大量に寄って来る。ウジャウジャと……。来るなー!!なんか気持ち悪い!


 


 無我夢中で無抵抗なスライムを狩まくった。周囲は薄暗くなり、周辺には無数のコアが落ちていた。回収してからギルドに行く。ヘトヘトだ。


「疲れたー!」


「…疲れましたね。」


「疲れたな。」


「ほんと。」


 疲れの余りみんな、一言コメントになってる。


「換金の後に宿、探さないとですねー。」


「空いてそうな宿には心辺りがある。」


 私が言うとバリスさんが答えた。流石です!


「なら、安心ですね!」




 無事に換金を済まして宿の二つ並んでるベッドに座る。15750ゴールド稼ぐ事に成功した。シングルベッド二つの一部屋を借りて、残金は14750ゴールドだ。部屋を借りる前は9300ゴールドとシカとコアの報酬、15750ゴールド持っていた。部屋代、1万ゴールド!


 報酬の内訳はシカの肉は売れそうにないので売らずに一部、ボックス保管で。ツノ5頭分で3750ゴールド!スライムのコアは一個、20ゴールドで600個、回収して12000ゴールドになりました!やったあ!


「14750ゴールド、4人で分けませんか?お金無いと不便なので。」



「そうだね、わかった!分けよう!」


 これで誰か財布を盗まれても、何とかなる!3687ゴールドずつ手渡された。あたり前だがご飯代や宿代など自腹だ。


「ご飯にしよう!」


 ユウトの呼びかけで夕飯にする。687ゴールドを支払い、ドリンク付きでお任せにする。日本では出来ない裏技!昼ごはんを食べていなかったから、凄く美味しい!



 男女で別れて一つのベッドにビィクトリアさんと横になる。バリスさんとユウトは借りて来たロープで手錠をしてから、もう一つのベッドで寝て貰う。明日の午前中は自由行動になった。13時に噴水前、集合で夕飯中に話しがまとまった。


「俺、襲ったりしないよ!」



  黙れ、童貞。






    残金、3000ゴールド。




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