第26話 マリッジ

「お嬢様、今日は、一段と美しくございます」

「ありがとう、志津」

 かおるは、車に乗る前に空を見上げると透き通るような六月の青い空が広がっていた。その青空を見ていると心の中に透き通るような感情が広がった。


運転手の男が、後部座席のドアを開けると

「志津、行って来る」

と自分を物心つく前から見てくれているお手伝いに声を掛けた。かおるの乗った車が、ゆっくりと走り始めるとかおるは運転する男に

「今日は、帰りも遅くなる。迎えに来なくてよい」

「しかし」

「良いと言っている」

「分りました」

かおるは、いつも自分が出かける時は、必ず送迎をする男に向って言うと思考を別のことにした。


今日は、自分のとても大切な友達が結婚式を挙げる。葉月家が行うので格式のあるホテルだろうと思って一ヶ月前に届いた招待状を見ると少し驚いた。

ただカリンが、前に言っていた事を思い出し、“どんな所なのだろう”と思っていた。

 車が、片側三車線ある広い通りから目黒川を通り右に曲がって少し細い道路を行くと招待状に書かれていたホテルがあった。ホテルと言うより少し歴史的な建物だった。


「お嬢様、着きました」

そう言ってエンジンを止め、車の後部座席のドアに周り、ドアを開けるとかおるは、左足を車の外に出して洋服がずれないようにゆっくり降りた。

車から降りながら玄関を見ると“なるほど、ここがカリンと彼が選んだ結婚式場か”という感じだった。運転してきた男は、深々とかおるにお辞儀すると運転席に回って車を動かした。


まわりと完全に一線を画した容姿に明らかにオーツクチュールと解る洋服を着た、かおるが車から降りるとまわりの人の目が自分に注がれるのが分った。

周りの人が“誰だろう“という顔をしている。かおるはそういう視線を無視して、玄関の中に入った。


建物の中に入ると案内に従って奥に行き、“新婦控え室”と書かれた札の掛かっている、少し重さのある扉を押した。静かにドアを開けると鏡に向かって純白のドレスを着た女性が座っていた。

「カリン」

声をかけると純白のドレスを着た女性がゆっくりと振り向いた。

「かおる」

そう言って声をかけるとゆっくりとお辞儀をした。

かおるは自分の綺麗さを知っている。母方の血を引いて申し分ないままに美しさを湛えた女性だ。

カリンの爽やかな感じとかおるの美しさがあると、周りの時間が止まったように動かなくなる。カリンと初めて知り合った中学時代を思い出すようだった。


「来てくれてありがとう」

「カリン、とても綺麗」

くるおしいほどの可愛さと美しさを兼ね備えた花嫁であった。本当に素敵な笑顔で大切な友達を見ていると

「かおるさん、良くいらしてくれました」

嬉しそうな目をしながら、ほんのちょっと目の奥に寂しさを湛える彼女の母親に“私の母は、私が結婚する時こんな顔を見せてくれるのだろうか”そう思いながら軽くお辞儀をした。


「ご無沙汰しております。今年は、お正月もご挨拶に伺えず申し訳ありませんでした」

と言って微笑んだ。そして、鏡側に顔を持っていくと

「カリン、とても可愛い。でも今日は抱きつく訳には行かないね」

そう言って、目元を緩ませながら、心の中の本当に大切な友達に

「後でね」

そう言って控え室を出るとかおるは、一般の待合室にいった。“ただ何となく、ほんのちょっとだけ、いつもいつもそばに、そして心の中にいた彼女”が少しだけ離れた感じがした。


いつもよりはっきりしたお化粧にオークチュールの洋服を着たかおるは、本当に綺麗だった。輝くほどに美しい髪の毛が肩から胸元へ伸びている。

そして化粧も必要ないほどに決め細やかな美しい白い肌に切れ長の瞳。“すっ”と通った鼻筋に惹かれるほどの唇。それをうまく表現するかのような顔のライン。女性でも惹かれそうになる。


通路の向かいから来る人たちが自分を見ているのがはっきり分る。やがて待合室に入っていくと見知った顔がいた。

「玲子久しぶり」

「かおるー、いつもながら綺麗ね。それに素敵な洋服」

「ふふっ、分かる。カリンの結婚式に合わせて仕立ての」

「いつもながらカリンに対するかおるの気持ちは、熱いわね」

「当たり前よ。例え結婚してもカリンは、私の大切な友達」

そう言って目を細めると窓の外を見た。カリンの彼の情報は、かおるには届いている。それだけにかおるもカリンの彼を厳しい目でみていた。

もし彼がカリンを裏切ることになるようなことがあれば、例え葉月家の人間でも許さなかったろう。でも今日、こうして自分の心から大切な友達が結婚式を挙げることになった。

“もう大丈夫だろう”と思うと心が穏やかになる感じがした。


「かおるどうしたの、嬉しそうな顔をしたり厳しい目になったり。かおるは、ただでさえ綺麗なんだけど、目を厳しくすると女性の私でも吸い込まれそうになるわ」

「玲子そんなに持上げても何も出ないわよ」

「嘘じゃないよ」

そう言ってかおるの耳元に口を持っていって

「周りを見てごらんなさいよ、かおるしか見てないよ」

「玲子を見ているんじゃないの」

そう言って久々に会った友達の会話がかおるは、楽しかった。


かおるは、式場の中ほどにいた。式が始まりカリンがバージンロードの入口に父親に手を添えられて現れると列席者の誰もが声を上げた。

かおる自身も目を見張った。先程は、いすに座っていて分らなかったが、バージンロードの入口に現れたカリンを見ると、吸い込まれるよう可愛さと美しさがあり、本当に素敵だった。緊張した面持ちの中で笑みを湛えながら立っている。


カリンを見ていると、まるで“爽やかな風”が流れている様な何ともいえない気持ちだった。みんなの目がカリンに釘付けになっている。

頭には輝くばかりの宝石が散りばめられたティアラと、美しい輝きを持つ髪の毛が後ろのベールに包まれている。

大きめの胸は、真っ白なドレスに覆われてほんの少し胸元が見える程度だ。少し高めのヒールを履いている。

緊張した面持ちで一度お辞儀をするとゆっくりと顔を上げた。言葉に出来ないくらい素敵な花嫁だ。父親とバージンロードを歩き始めると列席の親族から声が掛かった。


カリンは緊張の面持ちでほとんどの聞こえないくらいだったが、少し進むと

「カリン素敵よ」

と言う言葉に声の方を向くとかおるが微笑んでいた。本当に嬉しそうな顔をして。

「かおる、ありがとう」

と言って少し微笑むと周りにいた男の友人が目を丸くして固まった。

やがて優が視界に入るとカリンも嬉しそうな顔をした。

心の中で“優”と言うと“待っていたよ、カリン”そんな声が届いたような気がした。


カリンが、彼の側に来るとカリンの父親は、彼の顔をしっかり見た後、“娘の事、本当に宜しくお願いします”と心の中で彼に話しかけた。

彼は、それが聞こえたかのようにゆっくり頷くとカリンは、父親に預けていた手を彼の腕にかえた。カリンは、一度お辞儀をすると心の中で“お父さん、ありがとう”と言った。 そして今進んできたバージンロードを見て“もう戻れないんだ”そう思った。


かおるは、とても素敵だった式も終わり玲子と披露宴の会場に行きながら“私の時はこんな素敵な式は挙げられないんだろうな。三井のしきたりに則って行うのだろうから”そう思うと少し寂しく心の中の回廊に少しだけ冷たい風が吹いたような気がした。

「どうしたの、かおる。せっかくのカリンの結婚式に寂しそうな顔をして」

「えっ、そう」

そう言って“ニコッ”と笑うと

「そんなことないよ」

と言った。

やがて、披露宴会場に着くとかおると玲子は、目を見張った。天井や壁一面に絵が描いてあった。それも当世一代の名作ばかりだ。


かおるは、“そうか、カリンと彼がこだわったのは、これだったのか”心の中で呟いた。以前カリンから聞いていた“もうこれからは絶対できないところで式を挙げたい。彼と二人で決めたんだ”そう言っていたことを。

「なるほどなあ、カリンらしいね」

玲子がそう言うとかおるも嬉しそうな顔をして頷いた。


案内されたテーブルに着くと見知った顔が彼のテーブルの方に有った。かおるの視線を感じた年配の男性は、一度座った席をもう一度立つとかおるの方を見てゆっくりとお辞儀をした。かおるは、座ったままお辞儀をすると視線をそらせた。

「かおる知り合い」

ちょっと不思議そうな顔をして、かおるの顔を覗き込む玲子に

「ちょっと」

と言うと話をそらせた。自分の素性の事は、カリン以外知らせていない。回りも“裕福な家庭のお嬢様“と思っている程度だろう。

いわゆるそういう目で見られたくないからだ。やがてカリンの家の親戚の人たちだろう廻りのテーブルの席にも人が埋ってくると周りから囁きが聞こえ始めた。


「なあ、ちょっとレベル違いすぎない」

「うん、俺もさっきから見ている」

「周りの女性も綺麗だけど、完全にレベルが違っている」

「あっ、あの人テレビで見たことある」

「えっ、いつの」

「えーっと」

「お前の勘違いじゃないのか。テレビに出る人が、一般の式に来るか。それに芸能人よりはるかに上のレベルだ」

声が少しながら聞こえると慣れているとは言え、少しだけ苦笑し、彼らの方に振り向いて少しだけお辞儀する様に微笑むと

「うあーっ、見た」

「俺も頭の中が舞い上がっている」

「おれもー」


それもやがて彼の側、たぶん会社の同僚だろう声に消された。

自称“先輩”が・・建前上呼んだが・・

「なあ、えらくハイレベルな感じがするんだが」

「えっ、何がですか」

「だって、葉月の親戚って・・」

「そうか、先輩知らなかったんですね」

「どういう意味だ」

声の主は隣の同僚の顔を見ると同僚は、

「もういいんじゃね。どうせもう紹介されれば分るんだし」

「そうか、そうだな」

「どういう事だ」

自称“先輩”は不思議な顔をすると

「先輩、葉月は我々の同僚ですが、別の顔は“葉月コンツェルン”の跡取りです。我社の親会社であるアメリカ・ダイナース社の筆頭株主でもあるんですよ」

「えーっ」

目を本当に丸くして驚く自称“先輩”に

「やばーっ、おれ散々あいつの首絞めた」

「大丈夫ですよ。葉月はそんな事、気にするやつじゃないです。それに本当にあいつの首は絞められません。本当に締めようとしたらこっちが先に締められます。あいつの力すごいですよ。親指と人差し指で十円玉曲げますから、親指で五寸釘曲げた時は、俺思いましたもの“絶対こいつとは殴りあわないって”顔の形変えられそうだから」

「・・・・・・」

自称“先輩”は、もう声が出なかった。そして実際、周りを見ると自分たち以外は、政財界の人の顔が並んでいた。


やがて、披露宴会場の明かりが消されるとドアが開き、スポットライトが当てられた。

一瞬の静けさの後、盛大な拍手が起こった。

「カリン、綺麗ね」

「うん」

玲子の言葉にかおるも頷くと大切な友達がスポットライトを浴びながら自分たちの近くのテーブルの側をゆっくりと通っていった。満面の笑みを湛えながら。


披露宴が終わり、玲子と一緒にかおるが廊下に出ると数人の年配の男性と女性たちが、待っていた。

「三井様、ご無沙汰をしております。お父上にはいつもお世話になっております」

「三井様、いつもながらお美しい」

 玲子が“きょとん“としていると、

「玲子ごめん、二次会行くでしょ。ロビーで待っていて」

そう言って“お願い“という顔をすると待っている男女に振返って、

「皆様、お久しぶりです」

そう言って少し相手をした。かおるは“自分の役目”というのを知っている。葉月家の招待客として来た葉月コンツェルンの会社の重役達とその妻達だ。三井家とも当然関係がある。

仕方なく、少し話をした後、玲子たちが集まるロビーへ行きながら、今までのことを思い出していた。 


かおるは最初、カリンから打ち明けられた相手が葉月家の人間だと分かるとあまりいい感情を抱かなかった。自分の本当に心から大切な友達が、自分と同じ世界に来る事になる事を止めたかった。

だが、自分の思いとは別にトントンと話は進んだ。葉月の母とは以前から面識があったが、子どもである彼の方は自由が丘の店で会ったのが最初だった。

自分の事は、おくびにも出さずに、彼の一挙一同を見ながら、できれば“別れてほしい”と願った時も有った。あの“土曜日の事”さえなければ。


しかし、その”土曜日の事“を打ち明けられて以来、こんどは逆に厳しく彼をマークした。三井の子飼いの者を使って。案の定、彼は浮気した。それもかつて“葉月の父親が相手をした女性の子どもに”だ。

彼は相手が誰かわからなかったのだろう。二人は血が引き付けたのだ。葉月の母は、離れさせようとしたが、“運命と血”がそうさせなかったようだ。

最後には、葉月コンツェルンの関連子会社の一つである“ダイナース・オリンピア”に圧力を掛けても二人を引き離した。 

それは、かおるも仕方ないと思っていた。自分ならば、もっと厳しい事をしただろうと思うと。


葉月家とはこれかも重要なビジネスパートナーとして共に歩いていかなければならない。やがてその相手が、カリンの夫である彼であることも心に少なからず重荷になっていた。 

カリンにもいずれ話される時が来るだろう。まだ、カリンの様子を見ていると詳しくは解らないようだ。“葉月の家は裕福“程度にしか思っていないようだ。

しかし、葉月家は昔から“仕事は男が守るが、葉月家は女が守る”家系だ。その葉月家の母親の目にかなったと言う事は、カリンには自分にも知らない一面があるのかも知らない。


あの天然の純真無垢なカリンが“葉月家の女”になるイメージは、どうしても思い浮かばなかった。そう思うと“そこのとこ“だけは、嬉しく思った。


「かおる、さっきから難しい顔をしたり、嬉しそうな顔をしたり、どうしたの。それにさっきの人たちは誰」

「えっ、ああ、ごめん、色々な事が有って。あの人たちは、ちょっと知り合いなだけ」

説明ともつかない言い訳をすると玲子は、解らないながらもかおるが“話したがらないんだ”と思ってそれ以上聞くのを止めた。ロビーには、かおると玲子の他にバレエの友達や彼の友人たちが居た。


やがて二人が、“カリンと彼”がロビーに現れた。とっても嬉しそうな顔をして。かおるは自分の思考を切り替えた。

二次会でもかおるは目立った。彼の友達から“紹介して”リクエスト多くあったが、

カリンが

「かおるは、彼がいるからもう遅いよ」

と言うと

「残念」

の声と

「友達でもいいです」の声に多少なりとも苦笑した事が何度かあった。


かおるは二次会の後、“結局迎えに来た忠実お付の者”の車に乗った。かおるは、窓の外に移る夜景を見ながら“あの二人うまくやっていくのかな”という思いと“自分にはこんな素敵な結婚式は挙げられないのだろうな。少なくとも自分の好きな人間でもない男と一生を添えなければならない”と思うと少なからず心が沈んでいった。


「はあーっ、疲れた」

二次会も終わり、都内の有名なホテルのスイートルームに二人で戻ると、彼は大きな伸びをしてソファに座った。彼の側に同じように来ると、カリンはしっかりとした目線を彼に注いだ。

なんだろうと思うとカリンは、床に膝を着き正座して

「葉月優さん、ふつつかな私ですがこれからよろしくお願いします」

そう言って床に頭をつけた。

「ちょっと待って、待って」

いきなりの行動に彼は着いて行けなかったが、直ぐに床に自分も膝を着くと

「カリン、こちらこそ宜しくお願いします」

そう言って、頭を下げた。やがて二人が顔を上げると“何とは無しに、にこっ”として

唇を合わせた。

「カリン、最上階にラウンジがある。行こう」

「うん」

カリンも優も心に羽が生えているようだった。


「綺麗だよ。カリン」

「ありがとう」

そう言ってキャンドルの炎が照らす彼女の顔を見ていた。キャンドルの炎が揺らめくと彼女の頬がほんのりと桜色に染まった。それを見るとたまらなかった。

「優、本当に結婚しちゃったね」

「うん」

「一年前、優のお母様が、私に“あの一言”を言わなかったら、この場所に二人でいなかったかもしれない。そう言う意味ではお母様に感謝」

そう言って、お酒に少し染まった頬が更に嬉しそうになった。

「カリン、実を言うとね」

「えっ」

今更、まだ何かあるのという顔をすると

「違うって。カリンと渋谷で遅くなって“石鹸のにおい”つけて帰ったときのこと覚えてる」

「忘れるわけないよ」

そう言って恥ずかしそうな顔をすると

「次の朝、お母さんに言われたんだ。“カリンが僕のお嫁さんになったら、僕から取って私のお友達にしようかな”って。さすがに次に会った時、カリンにそれは言えなかったけど。今思うとあの時から、お母さん、カリンが我が家に来る事を望んでいたのかも」

「えーっ、参ったな。そんな時から」

嬉しそうな顔で言う彼女に

「だからカリンには、厳しい目でずっと見ていたんだ」

そこまで言って優は失言した事を悟った。


「優、今何と言いました。“カリンには、厳しい目で”と言いましたよね。と言う事は、私より前に連れて行った女性には、お母様は厳しい目を向けなかったの。何人連れて行ったの」

急に厳しい目で見る彼女に

「いっ、いや、その」

「言いなさい、優」

彼は下を向きながら右手で人差し指を一本だけ上げた。それを見たカリンは、

「その女性はどうしたんですか」

「カリンと会う半年前に分かれた。お母さんも全く目にかけていなかった」


優はほんの少し嘘をついていたが、さすがにもう過去の事だった。カリンは、優しい目に戻って

「優、駒沢の病院の帰りのタクシーの中で言った事覚えている」

「うん、僕、カリンに窓から落とされたくない」

そう言って、わざと恥ずかしそうな顔をすると

「ふふっ、忘れないで。今度は優のお母様と一緒よ。あなたを窓から落とす時は」

「えーっ」

と言って、ふざけた顔をする彼にカリンは心が緩むのが分った。

ゆっくりと時間が流れているような気がした。二人はキャンドルの炎の“ゆらめき”に心をゆだねた。彼は時計を見ると

「カリン、そろそろ部屋に戻ろう」

そう言って彼女の顔を見ると

「うん」

と言って頷いた。


部屋に戻ると

「カリン、約束覚えている。結婚したら一緒にお風呂入ってくれるって」

そう言って、ちょっと恥ずかしそうな顔をする彼に、カリンは“にこっ”と笑うと

「優、いいよ」

と言った。


カリンは、“めくるめく”感覚が体を走りながら彼の腕の中にいた。彼に全てをゆだねる事がとても心地よくなっていた。

初めて彼を知った箱根の時、二回目に彼に抱かれた渋谷の時、そしてそれからのことが走馬灯にように頭の中に廻っていった。

カリンは、心の中でもう一度思った“これでいいんだよね”誰に言うわけでもないのに。

ただカリンの心の中に“自分で選んだこと。でもそれでいいんだよ。カリン”誰かが囁いたような気がした。

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