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2021年1月16日 00:44 編集済
ご無沙汰しております。 その節はありがとうございました。 おかげさまで今月は割と元気に過ごしています。 姫川さんは卒業論文をお書きになられたとのことで、お疲れ様でした。 本作で描かれているのは何気ない家族の年末年始であり、はっきり言って珍しい事件が起こる訳でもなく、主人公の心境に大きな変化がある訳でもないように見えますが、だからこそ、読んで楽しいものだったと思います。主人公が最初少し緊張するのも、挨拶と文句の後に家族がいつも通りの空気感になるのも、主人公に懐かしいという感覚があまりないのも、2人きりのとき父親の口数が少ないのも、とてもリアルだと思いました。 母親はともかく、妹が2人そろって主人公のことを構ってくれるのは、10年という大きな空白があったからでしょうね。特に、正月早々一緒にスノボに行ってくれる歩さんは相当主人公を慕っているように思えました。前日の買い物で金を使わせた罪悪感もあるのかもしれない、と想像が膨らみ、そこも楽しいです(笑) あえて気になったことを申し上げると、個人的には、小学5年から大学3年までの10年間会っていないなら、光さんはもはや主人公が知る妹とは別人のようになっている可能性が高い気がします(同じではないまでも僕は今それに近い状況で、たまに会うとその度に、すっかりアグレッシブなイマドキ女子になった妹の姿に驚いています)。ただ、光さんには光さんの生き方があり、主人公の家族には彼ら彼女らの距離感があるでしょうから、主人公が違和感を覚えないというのもそれはそれで良いと思います。※追記:本作の目的は別に、10年ぶりに会った家族のリアルを追求することではないでしょうから、書いておいてなんですが、この点は気にしていただかなくて大丈夫です。 以下、例の、表現に関する細かい話を少々させていただきたいと思います。とはいえ、近況ノートを拝見したところ一昨年書かれた文章をそのまま掲載されたもののようですから、僕が長々と解説するような類のものでもないでしょう。基本的には、「(該当する1文)」→「(修正の余地がある箇所)」で僕なりの修正案を書くに留めたいと思います。言うまでもありませんが、面倒なようならスルーしていただいて構いません。・「ここまで来て、今更になんだか緊張してきた」→「今更ながら」・「母は感極まったのか口元を抑えて立ち尽くし、歩と光はもういい大人のくせして子どものように飛びついてきた」→「口元を押さえて」・「そんな風に感動的な再会の演出がなされたのはつかの間」→「(そんな風に)劇的な再会に感動したのは」 ( )は入れても入れなくてもよいと考えられるもの、くらいの意味です。・「(略)PCゲーム、スマホのゲーム、携帯機のゲームを世話しなく同時にプレイする光の姿も、何も変わっていない――もちろん正確いえば変わっている」→「忙しなく」。また、「正確にいえば」・「年末恒例のバラエティー番組も終わり、僕はそろそろ寝ようと思って洗面所に歯を磨きにいこうとすると」→「僕が」・「父とは対照的に母は酒が強い――もしかすると父は別に酒に弱いわけではないのかもしれないと今になって思う。」→「今になって思う――。」 ここまで、本文では――が( )のように使われていますが、引用した箇所は段落の途中にもかかわらず )にあたる――がなかったので、少し気になりました。・母親の台詞「私ずっと、翔とお酒飲むのずっと楽しみにしてたのよ」→「お酒飲むの楽しみに」 酔った人の発言なので別に構わないのですが、1つの文に2回「ずっと」が出てきて重複しているのが気になりました。・「直後とは誇張ではない」→「直後というのは」 何となくの話で申し訳ないですし、これは別に構わない気もしたのですが、修正のようにした方が読みやすいように感じました。・「一瞬イラっとして本気で怒りそうになったが、たちまち2人の楽しそうな笑顔が目に入り、そんな気は失せた」→「イラッと」・「社会人3年目の歩はいっちょ前に仕事の愚痴を、大学3年生になった光はいま興味を持っている研究テーマについて熱く語ってくれた」→「一丁前に」 ニュアンスを重視するならそのままでも良いと思いますが、厳密に言うなら「一丁前(いっちょうまえ)」のようです。・「ショッピング中、それを知った僕は文句を言った。/「いやいや、じゃあ彼氏とデートに行きなさいよ」/と。」(/は改行を指すものとします)→「(略)僕は、/「いやいや、じゃあ彼氏とデートに行きなさいよ」/と文句を言った。」あるいは「(略)僕は文句を言った。/「いやいや、じゃあ彼氏とデートに行きなさいよ」/すると、」 原文の書き方が間違っているとは言いませんが、あまり見かけない形式だと思ったので、一応。 また、原文では最後の「と。」の前が1マス空けられていませんが、一般的には空けるのではないかと思います。とりあえず書棚にあった本で確認したところ、『涼宮ハルヒの憂鬱』(角川・スニーカー文庫)のp.29にある「「いいや」/と俺は答え、(略)」という記述では、「と」の前が1マス空けられていました。・「だってお兄ちゃん、全然帰って来なかった癖に、そう思ったら急に帰ってくるんだもん」→「帰ってこなかったくせに、(前置きもなく)急に」 僕の手元の辞書によると、こういう場合の「くせに」は一般的にひらがなで書くそうです。 「帰ってこなかった」は迷ったのですが、この「くる」を補助動詞と考えるなら、ひらがなで書くのが無難だろうと思います。補助動詞とは、「削除しておく」の「おく」、「食べてみる」の「みる」などです。「帰ってくる」の「くる」も、文法的には補助動詞だと思います(個人的には、ルールとして言われているように補助動詞はすべてひらがなにせねばならないというものでもないような気がしますが、その話はとりあえず棚上げさせてください)。・「そして3日の夜、僕は明日から仕事なので、もう実家を出なければならなかった」→「/そして3日の夜、僕は翌日から仕事があり、(もう)実家を」 これは我ながら余計なお世話だと思いますが、一応。直前まで3が日の話で、この文から3日の夜の話です。時間的な区切りがあるので、ここで改行するのが良いのではないかと思います。 また、基本的に過去形で書かれている物語なので、「明日」より「翌日」の方が自然だと思います。 長文失礼しました。 今度こそは、知ったような口を利いておきながら指摘自体に不備があるという事態になっていなければ良いのですが。
作者からの返信
コメントありがとうございます! あじさいさん、ご無沙汰しております!お元気になられたのならば何よりです! せっかくコメントをいただけたので、若干内容を紐解きますね。おそらく翔たちの家族は、非常に仲のいい良好な関係を築いていたと思われます。特に妹たちとは、世間的にみてもかなり親密な距離だったはずです。 それではなぜ翔とその家族間で10年もの断裂が生まれたのかということになりますが、それはそれぞれの距離が近すぎたというのがあると思います。時に、普段すごく仲がいいはずなのに、line等のSNSでのやり取りだけはなぜか弾まないみたいな関係の友人などはいらっしゃいませんか? すなわち、普段のやり取りが取り留めなさ過ぎて、わざわざメッセージを介してやり取りするまでもない、もしくはその近い距離のせいでSNSでのやり取りという距離感に気恥ずかしさを感じてしまう、みたいなものです。おそらく翔たち——というより、翔の両親や妹たちはそういった理由でなかなか翔に連絡が取れなかったのだと思われます。 そして、あじさいさんもおっしゃってくださっていますが、翔たちがその長いブランクを経てなお、家族にすぐに戻ることができる、そういった空気感とでも言いましょうか、彼らの良好な関係性を上手く表現できたらいいなと思っておりました。その辺、しっかり伝わっていたことがすごくうれしいです。 あとは、当時知人の社会人の方が、忙しくて長らく実家に帰省できていないみたいな話をしていたのを聞いて、そこからインスピレーションを働かせたのを覚えています。 しかしですね、そういった「空気感」ばかりに気を取られていた結果、何と「大学三年生の歩の10年前は小学5年生」という非常に現実的で初歩的な見落としをしてしまっていました。気にせずにはいられないですよ……さすがに違和感が大きすぎますし。 彼女たちの身体が成長したことを記述しながら、それでも翔との関係においては、すなわち翔に対する態度においては、その幼さは全くぬぐえていない、やっぱりかわいい妹のままである、といった表現にした方がより私の書きたかった内容に近づくような気がします。時間があれば少しこの辺り書き直そうと思います。 例のごとく、ご指摘ありがとうございます。内容修正に使わせていただきます! ありがとうございました! また読んでください!
編集済
ご無沙汰しております。
その節はありがとうございました。
おかげさまで今月は割と元気に過ごしています。
姫川さんは卒業論文をお書きになられたとのことで、お疲れ様でした。
本作で描かれているのは何気ない家族の年末年始であり、はっきり言って珍しい事件が起こる訳でもなく、主人公の心境に大きな変化がある訳でもないように見えますが、だからこそ、読んで楽しいものだったと思います。主人公が最初少し緊張するのも、挨拶と文句の後に家族がいつも通りの空気感になるのも、主人公に懐かしいという感覚があまりないのも、2人きりのとき父親の口数が少ないのも、とてもリアルだと思いました。
母親はともかく、妹が2人そろって主人公のことを構ってくれるのは、10年という大きな空白があったからでしょうね。特に、正月早々一緒にスノボに行ってくれる歩さんは相当主人公を慕っているように思えました。前日の買い物で金を使わせた罪悪感もあるのかもしれない、と想像が膨らみ、そこも楽しいです(笑)
あえて気になったことを申し上げると、個人的には、小学5年から大学3年までの10年間会っていないなら、光さんはもはや主人公が知る妹とは別人のようになっている可能性が高い気がします(同じではないまでも僕は今それに近い状況で、たまに会うとその度に、すっかりアグレッシブなイマドキ女子になった妹の姿に驚いています)。ただ、光さんには光さんの生き方があり、主人公の家族には彼ら彼女らの距離感があるでしょうから、主人公が違和感を覚えないというのもそれはそれで良いと思います。※追記:本作の目的は別に、10年ぶりに会った家族のリアルを追求することではないでしょうから、書いておいてなんですが、この点は気にしていただかなくて大丈夫です。
以下、例の、表現に関する細かい話を少々させていただきたいと思います。とはいえ、近況ノートを拝見したところ一昨年書かれた文章をそのまま掲載されたもののようですから、僕が長々と解説するような類のものでもないでしょう。基本的には、「(該当する1文)」→「(修正の余地がある箇所)」で僕なりの修正案を書くに留めたいと思います。言うまでもありませんが、面倒なようならスルーしていただいて構いません。
・「ここまで来て、今更になんだか緊張してきた」
→「今更ながら」
・「母は感極まったのか口元を抑えて立ち尽くし、歩と光はもういい大人のくせして子どものように飛びついてきた」
→「口元を押さえて」
・「そんな風に感動的な再会の演出がなされたのはつかの間」
→「(そんな風に)劇的な再会に感動したのは」
( )は入れても入れなくてもよいと考えられるもの、くらいの意味です。
・「(略)PCゲーム、スマホのゲーム、携帯機のゲームを世話しなく同時にプレイする光の姿も、何も変わっていない――もちろん正確いえば変わっている」
→「忙しなく」。また、「正確にいえば」
・「年末恒例のバラエティー番組も終わり、僕はそろそろ寝ようと思って洗面所に歯を磨きにいこうとすると」
→「僕が」
・「父とは対照的に母は酒が強い――もしかすると父は別に酒に弱いわけではないのかもしれないと今になって思う。」
→「今になって思う――。」
ここまで、本文では――が( )のように使われていますが、引用した箇所は段落の途中にもかかわらず )にあたる――がなかったので、少し気になりました。
・母親の台詞「私ずっと、翔とお酒飲むのずっと楽しみにしてたのよ」
→「お酒飲むの楽しみに」
酔った人の発言なので別に構わないのですが、1つの文に2回「ずっと」が出てきて重複しているのが気になりました。
・「直後とは誇張ではない」
→「直後というのは」
何となくの話で申し訳ないですし、これは別に構わない気もしたのですが、修正のようにした方が読みやすいように感じました。
・「一瞬イラっとして本気で怒りそうになったが、たちまち2人の楽しそうな笑顔が目に入り、そんな気は失せた」
→「イラッと」
・「社会人3年目の歩はいっちょ前に仕事の愚痴を、大学3年生になった光はいま興味を持っている研究テーマについて熱く語ってくれた」
→「一丁前に」
ニュアンスを重視するならそのままでも良いと思いますが、厳密に言うなら「一丁前(いっちょうまえ)」のようです。
・「ショッピング中、それを知った僕は文句を言った。/「いやいや、じゃあ彼氏とデートに行きなさいよ」/と。」(/は改行を指すものとします)
→「(略)僕は、/「いやいや、じゃあ彼氏とデートに行きなさいよ」/と文句を言った。」あるいは「(略)僕は文句を言った。/「いやいや、じゃあ彼氏とデートに行きなさいよ」/すると、」
原文の書き方が間違っているとは言いませんが、あまり見かけない形式だと思ったので、一応。
また、原文では最後の「と。」の前が1マス空けられていませんが、一般的には空けるのではないかと思います。とりあえず書棚にあった本で確認したところ、『涼宮ハルヒの憂鬱』(角川・スニーカー文庫)のp.29にある「「いいや」/と俺は答え、(略)」という記述では、「と」の前が1マス空けられていました。
・「だってお兄ちゃん、全然帰って来なかった癖に、そう思ったら急に帰ってくるんだもん」
→「帰ってこなかったくせに、(前置きもなく)急に」
僕の手元の辞書によると、こういう場合の「くせに」は一般的にひらがなで書くそうです。
「帰ってこなかった」は迷ったのですが、この「くる」を補助動詞と考えるなら、ひらがなで書くのが無難だろうと思います。補助動詞とは、「削除しておく」の「おく」、「食べてみる」の「みる」などです。「帰ってくる」の「くる」も、文法的には補助動詞だと思います(個人的には、ルールとして言われているように補助動詞はすべてひらがなにせねばならないというものでもないような気がしますが、その話はとりあえず棚上げさせてください)。
・「そして3日の夜、僕は明日から仕事なので、もう実家を出なければならなかった」
→「/そして3日の夜、僕は翌日から仕事があり、(もう)実家を」
これは我ながら余計なお世話だと思いますが、一応。直前まで3が日の話で、この文から3日の夜の話です。時間的な区切りがあるので、ここで改行するのが良いのではないかと思います。
また、基本的に過去形で書かれている物語なので、「明日」より「翌日」の方が自然だと思います。
長文失礼しました。
今度こそは、知ったような口を利いておきながら指摘自体に不備があるという事態になっていなければ良いのですが。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
あじさいさん、ご無沙汰しております!お元気になられたのならば何よりです!
せっかくコメントをいただけたので、若干内容を紐解きますね。おそらく翔たちの家族は、非常に仲のいい良好な関係を築いていたと思われます。特に妹たちとは、世間的にみてもかなり親密な距離だったはずです。
それではなぜ翔とその家族間で10年もの断裂が生まれたのかということになりますが、それはそれぞれの距離が近すぎたというのがあると思います。時に、普段すごく仲がいいはずなのに、line等のSNSでのやり取りだけはなぜか弾まないみたいな関係の友人などはいらっしゃいませんか? すなわち、普段のやり取りが取り留めなさ過ぎて、わざわざメッセージを介してやり取りするまでもない、もしくはその近い距離のせいでSNSでのやり取りという距離感に気恥ずかしさを感じてしまう、みたいなものです。おそらく翔たち——というより、翔の両親や妹たちはそういった理由でなかなか翔に連絡が取れなかったのだと思われます。
そして、あじさいさんもおっしゃってくださっていますが、翔たちがその長いブランクを経てなお、家族にすぐに戻ることができる、そういった空気感とでも言いましょうか、彼らの良好な関係性を上手く表現できたらいいなと思っておりました。その辺、しっかり伝わっていたことがすごくうれしいです。
あとは、当時知人の社会人の方が、忙しくて長らく実家に帰省できていないみたいな話をしていたのを聞いて、そこからインスピレーションを働かせたのを覚えています。
しかしですね、そういった「空気感」ばかりに気を取られていた結果、何と「大学三年生の歩の10年前は小学5年生」という非常に現実的で初歩的な見落としをしてしまっていました。気にせずにはいられないですよ……さすがに違和感が大きすぎますし。
彼女たちの身体が成長したことを記述しながら、それでも翔との関係においては、すなわち翔に対する態度においては、その幼さは全くぬぐえていない、やっぱりかわいい妹のままである、といった表現にした方がより私の書きたかった内容に近づくような気がします。時間があれば少しこの辺り書き直そうと思います。
例のごとく、ご指摘ありがとうございます。内容修正に使わせていただきます!
ありがとうございました! また読んでください!