キス魔たちとのメリークリスマス。②
「カンタさんこれ飲みたいので入れてくださいぁ~い」
そう言いながらシフォンが俺にビンの中入った高級そうなぶどうジュースと思われるものを渡してきた。
これどこで手に入れたのか? と聞きたいが人間には全く分からないようなまともでない答えが帰ってきそうなので聞くことはやめて、言われた通りコップにぶどうジュースを注いだ。
「ん~! おいしいですぅ~!」
すると、パタリ。
シフォンがふにゃふにゃへにょへにょしながら倒れた。
俺も注いだぶどうジュースを試しに飲んでみる。
「おいっ! これワインじゃねぇか!」
「ふふ~! 飲んで驚いてくれたなら幸いだわ! あれ? やっぱり今までこんな高級品を使ったクリスマスなんてなかったかしら?」
お・ま・えか!
「確かに高級品は初かもしれんがワインはダメだ! いや~、1杯だけでまだ良かったぜ」
1杯もまずいのだがな!
「んで、シフォンどうするんだよ」
「シ、シフォンはお酒弱いからこんなもんなのよ! ほっといてやって! でも、あんたはなんでお酒が出てきたって言うのにそんな不満げな顔をするのよ? 前の世界ではお酒を持ってこればみんな大喜びだったわよ!」
「お前知らないのか? 俺たちのこの国ではお前たちの世界とは違って物事に年齢制限が付いているんだよ。例えば、車の運転と酒は18歳、煙草は20歳。こんな感じな」
「そ、そうなのね……。少し残念だわ……」
なぜだか知らんが、こいつ今日は謝ってくれたりと色々と何かが違う。
すると、ショコラは気を取り直したのか、
「し、仕方がないわ! なら、お詫びに予定より巨大なケーキを出さなきゃだねっ!」
といい、どこから出してきたのだかイマイチ分からない巨大なホールケーキを持ってきた。
一体こいつは……キス魔ではなくて魔法使いなのでは……?
「しふぉんもそれぇたべたぁいでぇすぅ~」
呂律がまともにまわっておらず舌っ足らずな口調でシフォンがそう言った。
「へいへい。とりあえず起き上がれ」
「たぁ~てぇ~まぁ~せぇ~ん~」
まるで俺に立たせろと訴えてくるかのように俺の方に両手を伸ばして上目遣いで言ってくる。
俺が立たせようとすると……
「はぁ、シフォンったら1杯だけでそんなんになっちゃうんだから~」
シフォンと俺の間にショコラが入ってきて、シフォンを椅子の上に座らせた。
やけに気が利く……おかしい。
すると、ショコラは俺の脚の上に座ってきた。
軽い。そして、ミニスカートだから柔らかくてピッチピチの太ももが俺の脚に触れている。
「あーん、してあげる。クリスマスプレゼントよっ」
うーん、でもこいつがせっかく優しいうちにありがたくもらっとこう。
「!」
く、くくくく口移し!?!!?
ショコラがケーキのイチゴを口から口へ運んできた。
「どう? まずかったとか言わないでよねっ!」
まずいなんて1ミリも思わない。
このイチゴは今までで食べたイチゴの中で1番優しくて甘いテイストだった。
きっと明日もキス魔は俺の心を癒してくれる、疲れを吹っ飛ばしてくれる大事な存在なのだ。
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