キス魔だってヤキモチ妬くもんねっ!
いよいよ、11月にも入って流石に室内にいても少し肌寒い季節になってきた。
そして、今俺の部屋ではストーブ争奪戦が行われている……。
「あたしの服が1番露出が多くて寒いのよっ!」
うん、お前はさっさと季節感というものを学んでこい。
「私はぁ~、えっとぉ~! 寒いのでぇ~!」
それは、みんな同じだぞ。シフォン。お前だけじゃない。安心しろ。
「にゃぁぁぁぁ」
もしかして、猫にもこいつらが見えてるのか?
まあ、こんな感じで部屋中いちいちツッコミを入れたくなるようなカオスさだ。
あぁ、忘れていた。
最後の「にゃぁぁぁぁ」ってやつは猫だ。
名前はまだない。
外で捨てられていたので家へ入れてやっている。
捨てるやつがいると考えるとこんなにも可愛いのに世界はどうかしていると思う。
「今日は猫に譲ってやってくれ」
「今日は今日はって、それ一昨日も昨日もだったじゃない! あんたはやっぱり可愛い子ばっか……!」
相手は猫だぞ? そんな風にヤキモチを妬かれても困るだけだし、俺は猫を膝に乗っけてその上から毛布をかけて撫でてやることにした。
「よいしょっと」
「にゃにゃにゃにゃにゃっっっ!」
猫を抱っこしてやると俺の腕から暴れてまたストーブの方ヘ逃げていった。
そんなに俺が嫌か?
「カンカンだっさーいっ! ぷぷぷーっ!」
その呼び方とその「ぷぷぷーっ!」って笑い方同時にかましてくんな!
うぜぇ!
「ショコラさんそれは流石にぃ……」
そうだ。シフォン。いいぞっ!
その調子だ!
「何かあたしに文句でもあったぁーっ? ほらっ、言ってごらんなさいよっ!」
「なんでもっないっです……! くちゅんっ」
そうだった。シフォンちゃんは言葉がきついと弱いんだったな。
まあ、自分は何もしてないのに弱い子に期待していた俺もちょー馬鹿だと思ったがな。
「カッ、カンタさんはストーブの近くじゃなくてもいいんですかっ?」
「み、みんながそこに集まっているからだろうが……」
「そっ、そうでしたかっ!」
「あっ、そういえば俺の膝の上まで猫を連れてきてくんないか? 俺が抱くとなんか怒るんだよそいつ……」
「はっ、はいっ! どーぞっ!」
俺の膝の上にふわふわもふもふの猫がやっと乗ってきてくれた! 幸せっ! と思いきや……。
「シフォンが寝てどうするっ!」
「ショコラさんと猫さんに譲ってあげたのです……!」
やっぱりこいつはマイエンジェルだと言いきった方がいいだろう。
マイエンジェルに化しているというより今はマイエンジェル。
「おっ、お前は優しいな」
このふわふわとした髪ややわらかそうな肌にぴったりな性格だ。
すると、もう片方の膝の方にも似たような感触があった。
やっと猫が来てくれるようになったか?と思えば……
「ショ、ショコラ!?」
ショコラが俺の膝の上に頭を乗せて、毛布をかけて寝っ転がっていた。
「んちょっ、いきなり動かないでよねっ! お陰様で頭に床をぶつけてしまちゃったわっ!」
「ごめん……。けどお前までくるとは思わなくて……」
「あたしだって、ペットにくらい優しくしてあげるわよっ……! 仕方がないから今回は譲ったの!」
「そっかー。お前顔真っ赤だぜ? もう暑いんじゃないか?」
「別に暑くなんかないっ、まーたあんたのせいなんだからねっ! べーっだ!」
俺に向かってあっかんべーの顔をしてくる。
ウザカワイイ……。アザトカワイイ……。
こいつにはそれが最もふさわしいだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます