おうちでハロウィンもいいよね。

今日は10月31日ハロウィンだ。

どうやら街中では主に若者が集まって大行進が行われているようだ。

俺も世間的に見ればその若者という種類の人間の1人なのだがハロウィンで大行進するほどの陽キャじゃない。

ココ最近はハロウィンなんかでなくたって、うちでは毎日ハロウィンのような奴らが2人も揃っているから、特に参加する必要もないのだ。


「なんだか今日は外が騒がしいですが、何かあったのでしょうかっ……」


心配そうな顔でシフォンは言う。

うん、可愛い。


「心配する必要は無い。ただのハロウィン大行進だろう」


「ハッ、ハロウィン大行進っ! なんですかっ! それっ!」


純粋な瞳で俺に問いかけてくるシフォンというのもなかなか可愛いものだ。

でも、俺はシフォンにはあんなところに連れて行く訳には行かない。

変なやつらにナンパされまくって大変なことになりそうだかんなっ!

ってシフォンは俺以外のやつには見えねぇんだったなぁ……。


「ああ、ハロウィン大行進ってのはなお化けとかゾンビの格好した人間たちが集大成になって行進をするイベントだ。いかにもハロウィンって感じするだろ? まあ、俺は参加しねぇけどな」


「そっ、そ、それは怖いですねっっっ!」


俺の脅かしがよく聞いたようだ。

すぐにシフォンは足をガクブルさせて答えた。

ちょっと待てよ……?

今日外がやけに騒がしく感じるのにはもう1個理由がある気がする……。

そして、俺は気づいた。


「あれ? シフォン? ショコラどこいったか知ってるか?」


ショコラが見当たらないのだ。

いつもは俺の部屋でシフォンとショコラはドタバタうるさいから特に外の音など全く聞こえない。

だが、今はこの部屋には俺とシフォンしかいないから随分静かだ。


「うーん、今日はあの時のメイド服をさらにレベルアップさせるって言ってそのままどっかに行きましたよ~!」


それはまさかと思い少し焦るが、そんなに大行進に参加したいなら勝手にしとけばいいと思いそれにツッコむのはやめといた。

すると、部屋のドアから何かが降ってきた。


「このピッチピチの肌と最高なボディ、そして何よりもこのちょー可愛いメイド服だっつってんのに誰もあたしにお菓子をくれないのよーっ!」


どんだけ自信あるんだよ。


「ド正論ぶちかまして申し訳ないがお前は俺以外のやつには見えないんだろっ! そんなん貰えるわけないだろ!」


「そっ、そうだがっ……。少しこの世界でのハロウィンというものにっ興味があったんだ……」


「少し見に行ってきたんだろ? どうだったか? 俺はあんなの見てるだけでも暑ぐるしくて嫌だ」


「楽しくない事はなかったけどやっぱお菓子貰えないと物足りないわよね~! ってことで! トリックオアートお菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞぉぉぉ!」


またもや、上手く流れに沿って仕掛けてきたな。

こんな感じなのを予想していて、今回ばかりはハロウィンに関心のない俺だって学校帰りにいつもより少し贅沢な高めのアイスを買ってきたのだ。


「実はほらっ、好きな味選んで食べろっ」


「んはぁ~っ……!」


「わ、私もいいんですかっ!」


キス魔の2人の目は♡になっている。

それを見て、少し俺もほんわかした気持ちになっていたらショコラの顔がすぐに正常に戻った。


「あっ、あんたのくせにやるじゃないっ!」


さっきまで「んはぁ~」なんて言っちゃって、目も♡できゅるきゅるだったっというのに切り替えの速さが尋常ではない。









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