学校祭のラッキー。①

俺の部屋では朝から騒いでいるアホみたいなやつらが2匹いる。

何をそんなに騒いでいるのだろうと振り返ると


「カンタさん! 学校祭っていうのはドレスとかヒラヒラしたの着ていった方がいいのですか~?」


「あたしも何かいつもよりオシャレをした方がいいのかしら」


肌着で俺の部屋を走り回っていた。


「ってお前らなんつー格好して騒いでるんだよ!」


「なぁに勝手に見てんのよ! 変態! バカ! アホ!」


「ふぁぁわぁぁぁああ! カンタさんはそんなエッチな人だったのですねっ!」


お前らが騒いでいるから振り向いたんだろっ。


「ごめんな、全くこれに悪意はないんだ。あと、学校祭はパーティーじゃねぇしドレスなんて着なくても大丈夫だっ! それにお前らはいっつもヒラヒラしてるドレスみたいな服きてんだろっ」


「ド、ドレスじゃないわよ! これはあっちの世界の時にオーダーメイドで作ってもらったキス魔用コスチュームよ!」


「やっぱりコスだったのか」


「うるさいっ! オーダーメイドだしそこら辺のコスプレ衣装とは違う!」


「まあ、俺は店に出る側だから家出るぜ! お前らは1時間後くらいに学校に来い! 場所はこの前着いてきたからわかるだろっ」


「あ、あたし達も先に着いていってもいいかしらっ!」


別にダメではないが……。


「まだ着いてきても学校祭は始まってねぇぞ? もしかして寂しいのかーっ?」


「んなわけっ! ま、いいからシフォンも行く準備できたーっ?」


「うんっ! もうとっくにできてるよぉ~」


話はショコラによって進み2人は俺に着いてくることになったらしい。



「邪魔すんなよっ」


俺は教室に入るのと共に小声で2人に言い放った。


「カンちゃん~おはよぉ~! 今日は学校祭だねぇ~! 調子はどう~?」


うーん、別にこの前も調子が悪いわけではなかったんだがなぁ……。


「おはよう~、調子は悪くないぜっ! 元気だっ!」


「カ、カンちゃん……あのぉ~、学校祭一緒に回らない……?」


「いいぞ! 俺らは確か午前の部だけだから午後から回ろうなっ!」


「う、うん! この衣装……ど、どうかなぁ……?」


メイド服のスカートをギュッと掴んでモジモジ聞いてくるわけだからまあ、言うことは当然これだろう。


「可愛いぞ、似合ってる」


「うっそ、あんたそんな誰にでも可愛い似合うってすぐに言っちゃうチョロいやつだったのかっ……!」


残念ながら俺は本音しか言ってねえぞ。

だが、ここでまたキス魔などというのと話していたら変に思われると思い無視をしといた。


「んかっ、かわっ、いい……!? カンちゃんは昔っからそうやって直ぐにあたしの事褒めてばっかりだよっ……!」


「いやいや、褒めるところは褒めとくべきだよ~」


「なに名言っぽく言ってんだよ~、カンカン~! ちょーウケるぅ~!」


あ お る な ! ! !


「あっ、もう始まる! あたしお店の方行くからまたねっ! カンちゃん!」


「おっ、おう! 俺はビラ配り頑張んねーとなっ!」



もう、昼だ。

お腹も空いたのでとりあえず恵李との待ち合わせ場所のベンチに座っとく。

すると恵李がこっちへ向かってきた。


「カンちゃぁーん! はい! これたこ焼き!」


「いっ、いいのか? ありがとうなっ! 」


俺は勢いよくたこ焼きの箱を開けて見た。

すると……、


「な、なんだっ……これっ……。」


崩れたたこ焼きが出てきた。


「あっ! すっかり言うの忘れてたよっ! 私実はたこ焼き上手く出来なくてやらせて貰えなかったの……。だから私が作った1個目は失敗作ということでカンちゃんにお裾分けしたんだよ~!」


なんだか俺には悲しい話に聞こえるが恵李は終始ニコニコで言っていた。


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