キス魔のかんびょう💊

なんだか今日は寝起きが悪かった。

視界がぼんやりとしていてクラクラする。


「水でも飲もう」


立ち上がろうとした瞬間に時空が歪んだ。


「ちょっ、ちょ、ちょっと……カンタさん!? ショコラさん! カンタさんが!」


「んー、んぁー。ってあんた大丈夫か!?」


かすかに会話は聞こえるのだが起き上がる気力がなくて何も出来ない。


「とりあえず私はカンタさんをベットの上に戻しますので! ショコラさんは違うことを!」


「任せときっ!」


どうも心配だが……。

思っていたよりショコラが心配してくれたことに少し心の奥底で喜んでる俺がいた。

すると俺の体が持ち上がった。


「よっ、よいっしょっ!」


持ち上げられた所まではいいのだが……。

ベットの横にある壁に足を強くぶつけてしまった。

けっ、結構痛えな……。


「あっ、あっ、あっ、あの! いたいのいたいのとんでけー!」


シフォンは焦ったのかすぐにいたいのいたいのとんでけー! をしてくれた。

おかげさまで全部痛みが飛んできそうだ。

そして、ドアが勢いよく開いた。


「さっ、さっき壁からすんごい音したけどだっ、大丈夫か!? カンタ死んでないよな!」


心配は嬉しいが俺を勝手に殺すな。

俺は生きてるぞ。


「しっ、死んでる……!?」


シフォンもすぐ信じすぎだよっ。


「んなわけっ、あいつがそんな簡単に死なれたら困るわっ」


「な、なら良かったです……!」


すると、俺のベットの方にショコラが寄ってきた。


「さてと、まずは体温計ねーっ」


とりあえず熱を計ってくれた。


「って39度もあるっ! 重症だわ……」


お前は医者か。

と突っ込みたいところだが看病してくれている最中に言うのは流石に俺でも抵抗があるのでやめたというか言えない。


「よしっ、冷えピタをっと……」


「冷たっ!」


あまりの冷たさに驚いてぱっちりと目が覚めた。


「あっ、あんた起きてたの!?!?」


「今、目覚めたところだ……」


「そ、そんなのわかっている……! 今日はあんた布団から動くなっ」


ショコラはなんだか難しいやつだ。


「な、何かありましたら私の事も頼ってもらえれば嬉しいです……っ!」


シフォンは安定。

最近マイエンジェル化してきてる。


「よしっ、とりあえずおかゆ作ってくる!」


そう言い、俺の部屋をとび出てショコラは台所へ向かった。


「あいつ料理出来んのか……」


咄嗟に気になった。


「あー、そういえばカンタさんはショコラさんの料理まだ食べたことありませんでしたね~」


「えっ? シフォンはあるのか?」


「えっとー、食べたことはないのですが……。ショコラさんあっちの世界の方で料理コンテストのグランプリを取ってたんですよ!」


あいつにそんな特技があったのなんて意外だ。

少し楽しみだ。


「お~、それは興味あるぜ」


まあ、通りで噂をしてれば……、


「できたてのおかゆだよーっ!」


「おーっ! ありがとな~」



〝よしっ! じゃあ、あたしがあーんするからね~〟



!?

前にもこんなの………。


「いやっ、自分でご飯くらい……っ!」


「私も小さい頃に風邪をひいた時はお母さんに食べさして貰ってましたので無理はしない方がいいですよ!」


シフォンはなんて素直なんだろう。


「カンカン~! 冷めちゃうよ……?」


ずるい。

こういう時にだけカンカン呼びを使うようになっていやがる。


「へいへい……」



〝あーんっ〟



「少し元気出たぜっ!」


「しっ、しっかり治しなさいよ!」


拗ね気味なのに顔は真っ赤だ。

照れているのが丸わかり。

まあ、これがショコラだ。


「おっ、おう!」







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