気の強いキス魔さん。
ショコラが来てから1週間ほどがたった。
だが、まだまだこいつについて疑問が消えない。
「お前って一体何歳なんだ? 俺より若く見えるが親に心配されないのか?」
「あたしには親もいないし、歳というものも特に存在しないわ。仮に歳があったとしてもあたしのようなキス魔は人間のようにしわくちゃになったりはしない」
「俺って恵まれてるんだな……。でも、しわくちゃにならないっていうのは老化をしないという事だろ? それはずるいなぁ……」
「そうね。つまりあんたがしわくちゃになってもあたしは、このピッチピチの肌にこの最高なボディということよ。」
そう言い、ショコラはウィンクをして、胸元をちらりと見せてきた。
こいつは誘ってんのか?
体は細くてちっちゃいのに……。
どうも、体の凹凸がはっきりしていて、そこにだけ目を向けてしまう。
俺には際どすぎる。
理性を失いそうだ。
「あんた、なぁにデレッデレしちゃってんのよ!」
それはお前が勘違いさせるからだろ。
まあ、そんなこと言ったらイチコロだろうから話を戻す。
「じゃあ、お前は不老不死なのか?」
「そんなことは無い、人間に殺されたら死んじゃう。まあ、あんたがそんなことするやつには見えないから心配はないが……」
「殺すなんて酷いことをする奴もいるもんだな……」
「逆にあんたは珍しい。あたしが夢から出てきた時に叩いたりしなかったっしょ?」
確かに俺は叩かなかった。
「叩かない奴なんて沢山いると思うぜ?」
「あんたはわかってないなぁ。とりあえず傷つけるような事をしたらあたし達キス魔はデリケートだからすぐに死んじまうんだ。」
へ……?
「ってことは言葉でもか? 傷ついてしまったら死ぬのか?」
「そうなの」
俺、こいつに散々言ってるけどまずくないか?
ずっと我慢してていきなり死ぬとかねぇよな?
「お前は俺のせいで傷ついたことあるのか?」
「あんたは変なとこで真面目なのねっ。あたしは、あんたのおふざけ程度じゃ死にやしないっさ」
どんだけ憎い奴だろうが、人間じゃなかろうが生き物はその名の通り生きている。
だから死なれたら困るだろ。
「ああ、お前がキス魔の中でもメンタルが強いやつだとバッチリ把握もできたし、そんな簡単に死なねぇことなんて承知済みだぜって」
「承知済みならあんな質問しなくたって」
しなきゃダメだ。
承知済みでも少しは気にするぞ。
「だって、俺ら同居してる仲だろ?」
「ど、ど、ど、同居!? 同居と言ってもまだ1週間しかたってないじゃないの!」
「そうだ、もう俺らは同居し始めてから1週間もたってるぞ!」
「1週間なんてまーだまだだわ! あんたと分かり合う日なんて程遠いわ」
「んじゃ、俺お前と分かり合えるまでぜってぇ夢の中に戻してやんねぇからなっ!」
「その時は意地でも戻ってみせるわっ!」
俺がイジるとショコラはいちいち、ほっぺたをぷくぷくフグのように膨らまして、お湯がわかせそうなくらいカンカンに赤くなっている顔で怒る。
新しいなにかに目覚めそうだ。
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