第2話 客人
どれ位の時間が経過したのだろうか・・・。
雨の音が更に激しさを増していた。
男は、フライパンの上のハンバーグを眺めている。
誰に食べさせるわけでも、男が食べるわけでもない。
食べもしないものを作るなど、なんて無意味なんだろうと男は思ったが、彼女の存在以外に、そもそも意味なんてあったのだろうか・・・とも思っていた。
居る筈の彼女が居ないというのに、男の心は不思議と穏やかだった。
彼女の望みを叶えたという達成感もあった。
しかし直ぐに、彼女はもうどこにも居ないのだという虚無感や絶望を感じ始めるのだ。
不意に店内の扉が開く音がした。
中に入って来たのは、身なりのしっかりとした太った中年男と、みずぼらしい格好をした、痩せた青年であった。
二人とも雨に濡れていた。
男はタオルを、二人に手渡す。
全く対照的な二人であったから、一体どんな関係なのだろうとも思ったが、濡れれば、皆同じようなものだな・・・と男は思った。
「いらっしゃいませ。どうぞ、中で休んでいってください」
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