3 これからのお話し合い
「それで、私たちはこれからどうするの?」
ディーアモーネが本日の議題を切り出した。
今日の主題は彼女が言った通り、これからのことだ。
ディーアモーネとマリーアネットとサフィアローザを支配した俺が何を目的に、どう動くのか。それを話し合うのだ。
本当なら俺か他の誰かの部屋でこっそりやりたいのだが、誰の部屋に集まっても噂になるし、目を付けられることになる。
そこに俺が加わっているとなれば俺まで目を付けられてしまうことになるのだ。
こうしてオープンな場所で椅子になってる分には、女王候補三人と椅子、という風に区別してもらえるというわけである。……別に悲しくなんてないよ。
こほん。気を取り直して俺は話を進めた。
「これからか……二人とも私の目的は覚えてるな?」
「ええ。女性に言われるがまま生きるのが嫌、なのでしょう? クリスは変わってるわね」
サフィアローザが本気でおかしそうに言う。
まぁこれがこの世界の、この国のスタンダードな考え方なのだ。
女が外に出て社会を回し、男は家を守り妻を労う。
男は女にひどい扱いをされても涙を呑んで受け入れなければならず、王侯貴族であれば国や家のために言われるがままに結婚をしなければならない。
この世界では女も男もそれが当たり前の役割と考えられているが、当然義明にとっては違和感しかなかった。
義明が生きた日本では主夫という生き方をする者も増えていたものの、やはり男性社会よりの男女平等だったのだから。
「変わり者でけっこうだ。まぁそういうことだから私としてはもう何人か女王候補たちに認めさせたいところだが……」
「「「………」」」
俺がとりあえずの方針を口にした瞬間、なんだか空気が重くなったような気がした。
心持ちサフィアローザのお尻も重くなったような気が……
「……私たち3人では足りないと?」
「足りないな。3人だけでは確実性が低すぎる」
仮にこの3人の誰かが女王になって、俺がその夫――王配にでもなれれば、少なくとも表面上は粗略な扱いをされなくなるだろう。
が、トップレベルの強さと政治力を持つディーアモーネですら女王になれない可能性があるのがこの国の女王継承戦だ。
人生というチップがかかっている以上は厚く張って勝率をできるだけ100%に近づけたいと思うのは人の性ってもんだろう。
それに三人が義明の納得できるレベルで『人』として扱ってくれたとしても、他の大多数が今と変わらないのでは生き難くてしょうがない。
そういう風に考えると、やはり残念ながら3人では少ないと思えてしまうのだ。
「理想は全員。少なくとも半数はほしいところだな」
俺が独り言気味に呟くと、背中にかかる重量が増した。
「ふぅん、つまり十数人以上の穢れのない女性の胸を掴んで唇を奪うのね?」
「え? い、いや、それは、まぁ、そうなるかも、しれないが……」
まぁ基本的にはディーアモーネたちの時と同じ方法を取る予定なのだからそうなるのだが、はっきり口にして言われると困るというかなんというか……
そりゃ俺だってしないで解決するならしたくないよ? ほんとだよ?
けど計画が失敗して。
国のためだからっていって。
男を関係を繋げる便利な人形くらいにしか思ってないような相手と。
結婚しろと言われても断れない状況になるとか。
嫌に決まってるだろ!
だから俺は罪悪感を殺してでも、従姉妹達その他の胸を触ってディープキスをしまくるのだ!
わかるよね!
「くず男ね」
「マリーアネット、お前に言われたくないわ。私がこんなことを計画したのはお前が発端なんだからな」
この世界、この国の状況を考えると、いずれにしても計画はしただろうが、発端はマリーアネットのいじめに近い嫌がらせからなのだ。
マリーアネットが俺に意地悪し始め、他の女王候補たちが乗っかってきて、俺をいじってもいいという雰囲気ができてしまい、さらに周囲へと広がったのである。
クリスティアーノの境遇だとマリーアネットがやらなくても似たような状況になっただろうが、俺にとってはマリーアネットが元凶の一つと言って間違いないのだった。
「よく言うわね。私にあんなことしておいて……」
マリーアネットのそんなセリフが聞こえてくる。
いじめられ始めはマリーアネット憎しで報復というか、躾というか、まぁそんな感じで禁呪を含めて色々した。
そのせいで変な●●がついたりしたけど、うん俺は悪くない。
「あんなことって何をされたの?」
「………」
サフィアローザが聞いたが、マリーアネットは無言で返した。
まぁ、マリーアネットには説明できないだろう。されても困るが。
「クリス、何をしたの?」
「………」
「言いなさいよ、クーリースー」
や、お尻でぽよぽよ答えを催促するのをやめろ。絶対に言わないから。
「い、今話すべきことはそんなことじゃない。これからのことだ」
俺はまじめにこれからのことを話し合うべく、きっぱりと言い切った。ぽよぽよ。
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