第13話 クリスマス後 恵視点


智也君に見送られてから、家に入りリビングへ行くと、ソファに座っていたお父さんが私に視線を移し、眉間にシワを寄せながらジッと見ている。

いやこの場合睨んでいる方が正しいか、とにかく訳がわからず、頭がグルグル回り不安を駆り立てていく。

私何かまずいことでもしたのかな......?

帰りが遅くなったから?でも今日は事前に遅くなるて言ってあったはずだけど......。

不安が大きくなり、その分気持ちが沈みかけていると、お父さんが何かを悟したかのように両目を大きく開く。



「母さんー!今から赤飯の準備だー!」

「わかったわ!恵から遅くなるて聞いていたから、材料はバッチリよ!」

キッチンにいたお母さんに祭りだと言わんばかりの大きな声でそう伝えると、お母さんも同じように返事を返し、親指まで立ていた。

「ちょっと待ってーーー‼︎えっ何⁉︎何で急に赤飯なの⁉︎」

「「えっ?もう事を済ましたんだろ?(でしょ?)」」

「何でそうなるの⁉︎何も済ましてないからね‼︎」



不安になった気持ちは何だったのか、今は脱力感で身体が重たい......。

とりあえず親たちの暴走を止めた後、部屋に戻りベッドに腰掛け身体を後ろに倒した。



今日は本当に幸せだったな〜

智也君から手を握ってくれたり、私をジッと見つめてたり、これて気持ちが私に傾きつつあるのかな?

だったら本当に嬉しいな。

気持ちの昂りを抑えきれず、何度も抱き枕を抱きしめる。



また綾ちゃんに相談しなきゃ。

恋愛経験のない私にとって、本当にありがたい存在だ。

まぁ時々、変態さんになるけど......。

前、相談した時の様子を思い浮かべ苦笑した。

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