第7話 放課後デート


次の日の教室で俺は和也と沙耶香から質問攻めにあっていた。

恥ずかしい気持ちこの上なかったが、幼馴染二人には隠し通せるわけもなく、まるで取り調べを受けているかのように、昨日の相談からの流れを話すこととなった。



「また何とも軽くぶっ飛んだ話しになったな」

「でもある意味、その神楽坂さんからしたら、いい落とし所に着けたて感じじゃあない?

結果的に言えば、智也と一緒に過ごす理由ができたわけだし」



一緒に過ごす、けどそのためには大学に合格しなければならない。

放課後本屋で参考書を買って帰ろうかと考えていると、携帯が震え、確認すると恵からレインがきていた。



(放課後本屋で参考書買いに行こうと思うんだけど、一緒にどうかな?)

(いいよ行こうか、俺もちょうど放課後参考書を買いに行こうて考えてたとこだったし)

(なら決まり!待ち合わせ場所と時間は昨日と一緒で)

(わかった)



そいうことで放課後恵と会うことが決まり、俺は今更ながら、昨日の今日でどんな顔で会えばいいか頭を抱えたくなった。

目の前では、2人がニヤニヤしており、



「彼女からレインだろ?」

「デートのお誘い?」



俺はまた取り調べを受けることになり、2人はいろいろアドバイス的なことを言っていたが、いやただ参考書を買いに行くだけだろ 、と言うと2人から頭にチョップを食らった。

放課後デートは知っている、ただこれがそれに当てはまるか分からない。

だって買い行くだけだろ?一緒に勉強するわけでもないし。

恵はどう思っているんだろうか?



「はぁー......、今度神楽坂さんも誘って勉強会しましょ」

「その時は沙耶香、神楽坂さんを頼む」



2人は何故か疲れたかのように肩を落としていた。

俺何かおかしいこと言ったか?まぁ勉強会は賛成だけど。



放課後、先に着いた俺は自販機前でとある通販サイトで参考書のレビューを見ながら待っていると、お待たせ!待った?の声と共に恵がこちらに向かってくる。



「約5分30秒ぐらい待ったな」



俺は時計を見て正確に伝える。

だが約束の時間には、まだ10分程猶予があり遅刻というわけではない。



「そこは、俺も今来たとこだよ、て言うとこでしょ」

「いや逆にその返しは定番過ぎて、恥ずかしいから」



そう返しながら、恵を見ると昨日と同じ姿なのに、何か違うように感じる。

何処が違うんだ?

探すようにじっと観察していると、恵が両手をスカートの前で握り、モジモジし始めた。



「そんなに見られると、さ......さすがに恥ずかしいよ......」

「......!ご、ごめん、何か昨日と少し違うように見えたもんだから」

「あー、それは多分リップじゃあないかな?

昨日リップ付けてなかったから」



あーなるほど、リップか。

確かに昨日に比べて、唇が可愛らしくピンク色に輝いている。

リップだけでも雰囲気て変わるもんなんだな。



「ど、どう?似合ってる?」

「あー良いじゃあないか?何か雰囲気も少し明るくなって」



俺は何故か恥ずかしくなり、目線を横に逸らし伝える。

恵は、顔を上げ不満気味にこちらをじっと覗いている。

「そういう時は、似合ってる可愛いよぐらい言っても良いと思うよ」

「し、仕方ないだろ、俺こういうの初めてで、何て言えば良いの分からないんだから」



まだ不満気味な様子はあるも、仕方ないなといった感じに、表情を戻す。

助かったー、慣れないせいか、変な汗が出てきそうだ。

俺も力を抜き、目線を戻す。



「じゃあそろそろ行こうか、め、恵」

「うん!智也君!」



まだ慣れない呼び方にドキドキするも、噛まずに言えたことにホッとし、恵もまだ照れくさいのか頬赤くし緊張気味の声だった。

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