第5話 返事 2
「神楽坂さんは何が目的で俺に告白したんですか?」
おかしなことを聞いているのは、理解している
それでも彼女を姿を見ると、溢れ出るモヤモヤを止められなかった。
だが彼女は表情を変えることはなく、
「好きな人と幸せになりたいからです」
と、迷いなくそう強く言い切る?
わかっていたはずの言葉に俺の理解が全然追いつかないでいる。
(好きな人と幸せになることが目的?)
そこには何も具体性はなく、より疑問が深くなっていく。
「信楽さんは、その......誰かと幸せになりたいと思ったことはないんですか?」
徐々に気持ちが落ち着いてきためか、先ほどに比べ、顔の赤み引いていき、身体の震えが止まっていた。
「俺には恋愛経験が全くなく、今まで異性を好きになったこともないので、神楽坂さんの目的がどういったものか分からないんです」
俺は一瞬どう答えるか迷ったが思ったことを、そのまま伝えることにした。
「だから仮に付き合っても、俺の方に何も目的がなければいずれ神楽坂さんを傷つけてしまうと思うんです」
そう伝え終わり沈黙した空気が訪れるかと思えば、神楽坂さんが先程とは打って変わった高いトーンでーーー、
「ならその目的私が教えます!」
と堂々と言い放った———
突然の変化に驚き、どう言葉を返していいのか分からず悶々している間も、彼女の勢いは変わらず、更に話しを続けていく。
「私は信楽さんと幸せになるためなら、料理も家事でも何でも頑張れます、それは私の目的のためです、それを私が信楽さんに教えていきます!」
気後れした状態から何とか頭を何とか働かせ、絞り出した回答を確認する。
「つまり......その簡単まとめると、幸せになるための目的を、付き合いながら神楽坂さんから、教わっていくてことであってる?」
「はい、それで合ってます!」
まだ目元を涙を残したまま、俺の目をしっかり見据え、また頬を赤く染めていく。
俺は元々目的が持てない自分に対し、悩みを抱えていただが、何故だか神楽坂さんの目的に対する姿勢に興味が湧き始め、自然とその申し出を受けたいと思っていた。
「でも教わったとしても、俺が神楽坂さんと同じ目的を持つとは限らない、神楽坂さんの時間を無駄にしてしまうかもしれない、それでもいいのか?」
「無駄にはなりません、信楽さんを思って動く時間は私にとって大事な時間です」
俺を見る瞳には揺るぎない意識があり本気だと伝えている。
「わかった、ならこれから神楽坂さんの目的を俺に教えてほしい、理解できないかも知れないけど、神楽坂さん目的を知っていきたいと思えた。
だからよかったら付き合ってもらえるありがたい」
「はいよろしくお願いします......!」
こうして俺と神楽坂恵との、少し変わった交際が始まった。
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