第4話 返事 1
放課後になり目的地に向かう間、言うことは決めてはいたが、ドキドキが止まらず、どのように話しが進むのか悶々していた。
俺て本当にこういう経験全然なかったんだな。
客観的に見て、これは高校生としてはどうなのだろうか?と考えている間に目的地の駅に到着
改札口を出てすぐ右側の自販機前に神楽坂さんがいた。
朝はバタバタしていて、顔ぐらいしか見れていなかったが、改めて見ると白色のシャツに紺色のブレザーにスカート、160cmぐらいか自分の顎より少し下程の身長。少し俯いているが背筋がしっかり伸びており、またスカート丈は膝より少し高く、そこからチラリと見える太ももは、普段から鍛えているのか、肉付きが良くとても綺麗だ。
我を忘れ、じっと観察していたら、彼女がこちらの視線に気づき、慌てて目線を顔に向け挨拶をする。
「すみません、遅くなりました」
「いえ、こちらこそ急にすみません.......」
お互い軽くお辞儀をした後、近くの公園に行きませんかと提案され、公園へ移動することになった。
移動時間としては約5分ぐらいだったか、
沈黙の中、彼女を何を考えているのか気になりながらも、何を言えば分からず、目的地に到着。
ビルやアパートなどに囲まれた公園は、今の夕方の時間帯人がおらず、2人きりの状態であった。
公園内のベンチに移動して、彼女が先に座り、隣に座ろうとしたが、気まずさがあったためか、身体が勝手に1人分程スペースが空け座っていた。
(いやいや、始めからこれはダメだろ、しっかりしろ、きちんと伝えろ!)
沈黙が続く中、意を決して、神楽坂恵に声をかける。
彼女も気まずそうに俯いていたが、声を掛けるとビクッと効果音が出てきてそうな勢いで身体を揺らし、ゆっくりと顔を上げ俺の方に振り向く。
彼女は出会った当初と変わらず耳まで赤く染めていた。
それだけで彼女がどれだけ緊張しているのか伝わる。
それだけで彼女の思いが心に響くほど伝わる。
俺は今まで考えていた返事を捨て、今の正直な気持ちを伝えることにした。
「あの朝の告白の返事ですが、
すみませんお付き合いは出来ません」
そう伝え終えると彼女は静かに目を瞑り、その目には透明な雫が浮かんでいた。
そして目をゆっくり開け、夕陽に照らされた雫はそっと頬を伝わっていく。
「返事、ありがとうございます......
当たり前、ですよね......信楽さんは高校3年生、
そんな大事な時期に言われて困ると思います」
だが彼女は絶えず流れ出ていく涙を拭おうとせず、話しを続けていく。
「ですが、自分勝手とわかっていますが.........、私は..........、好きていう気持ちを伝えずにはいられなかったんです.......!可能性は低くても今も抱き続けている目的を諦めたくなかったんです......!」
目元を赤く腫らし、震える両手を強く握り、潤んだ瞳が大きく開く。
俺も想像していなかった小さくとも強い口調に一瞬慄いたが、一つの疑問が浮かんだ。
(彼女が必死になる目的とは一体なんだ?)
そう思った時には自然と疑問を投げ掛けていた。
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