第3話いい事思いついたぜ

「ちなみにそいつに告白とかしたのか?」

「まだしていないです」

 教室の扉が開き先生が入って来たので話しは中断された。


「平山さん?」

「あん」

 今部室内で俺と松本は今日の反省会をしている所だ。

「今日佐々木さんと私をいい雰囲気作りをして下さいってお願いしたのに全然出来てないじゃないですか?」

 松本は真剣に俺に注意をする。

 それほど本気で佐々木の事が好きなのだろう。 

「お前らの席が遠すぎてどうしようもない」

「そこを何とかするのが『人部の平山さん』何じゃないんですか?」

 おいおい無茶言うなよ。 

 これでもかなり頑張った方なんだぞ。

 実質何もしてないけど。

「そもそも俺が望んで入った部活じゃねーし。正直何で俺がどうでもいい奴の手助けしなくちゃいけないんだっつうの」

「うえっ……」

 あ、ヤバい。

 言ってしまった。

「うぇーーん」

 松本は泣きながら部室を飛び出した。

 何この罪悪感。

 俺のせいか?

『コンコン』

 扉を叩いてこちらを見ていたのは担任だ。

「また随分と派手にやったね」

「………」

「好きな人なのに馬鹿だね」

「おい。何で知ってんだよ」

「見てれば分かるよ。で、どうする気?」

「どうもこうもない。これでこの部活も終わりだよ」

「そうなると祐太留年になるけどいいんだな?」

「どっちにしたって松本は俺の所なんて眼中にないし」

「これは俺の経験だけどもしかしたらだけど、逆転の可能性があるかも知れないよ」

「ないよ」

「もし告白して振られたらチャンスだぞ。弱っている女の子ほど落としやすい事はないからな」

「でもどうすりゃあいいんだよ」

「まずは明日キチンと謝ってそこからだ」

「分かった」

 今回は年上の人の事をキチンと聞いた方が直感だがいいと思った。


 次の日になり俺は松本に近付くと周りから何やら『あの二人付き合ってるんじゃないの』『いつのまにか』ヒソヒソと声が聞こえてくる。

『てめーらうるせーぞ』

 俺の一声で周り中から雑音が消えた。

「昨日はすまなかった」

 俺は松本に向かって頭を下げたが、松本はいまだに無言だ。

「あれだ頑張るわ」

 俺は照れ臭そうに喋ると許してくれたのが、こちらに向き直った。

「私も感情的になりすぎました」


 その後俺は自分の席に戻り眠りにつき、今は部室松本といる。

「それじゃこれはどうだ。いきなり告白するのは?」

「ふざけないで下さい。そんなの上手くいくはずありませんよ」

「じゃあどうすりゃいいんだよ」

「それを考えるのがあなたでしょ」

 さっきからこの調子で話しは一方通行のままだ。 

「そう言えばもうじき体育祭だよな?」

「そう言えばそうですね」

『そこだ』

「急に大きな声出さないで下さいよ」

「いい事思いついたぜ」

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