第3話 スラスラ、ゴブゴブ

「最高の遺伝子! ベストゲノムを手に入れるぞ!」

 佐藤一郎は7才の小学一年生。

「そして、カワイイ桜ちゃんを彼女にするんだ!」

 彼の使命は邪な人間の欲望から始まった。

「でも、どこにいるのかしら? ベスゲノ。」

 鈴木桜。一郎の思い人である。

「そこら辺の道端にいるよ。」

 伊藤先生が優しく教えてくれる。

「ああ! 本当だ!」

 佐藤の目にベスゲノモンスターの姿が見えた。

「いたのね!? そこら辺にモンスターが!?」

 鈴木は日常生活に恐怖を感じた。

「それでは二人にはベスゲノを手に入れるためのスポイトをあげましょう。」

「やったー! ベスゲノスポイトを手に入れたぜ!」

 伊藤先生から佐藤と鈴木はベスゲノスポイトを手に入れた。

「ではさっそくベスゲノを手に入れてみましょう。」

「おお!」

 最高の遺伝子、ベスゲノを目指して、遺伝子採取を始める。

「まずは道端の大人しそうなスライムに近づき、さっき渡したスポイトで優しく突き刺しスライムの遺伝子を頂きます。」

「スラスラ!」

「これで完成です。」

 伊藤先生はスライムの遺伝子を手に入れた。

「すげえー!」

 佐藤はゲーム感覚で興奮する。

「それでは佐藤くん、鈴木さん。二人もやってみましょうか?」

「はい!」

 佐藤と鈴木もベスゲノを捕まえようとする。

「スライム。僕とお友達になってよ。」

「スラスラ。」

 見つめ合う佐藤とスライム。

「いくよ。」

 スポイトをスライムに刺してスライムの遺伝子を採取する佐藤。

「スラスラ!」

「やったー! スライムの遺伝子、獲ったどー!」

 佐藤はスライムのベスゲノを手に入れた。スライムのベスゲノとの相性は良かった。

「私はみんなほど甘くはないわよ! 最高の遺伝子を持つ男性をゲットするには私自身が強くならなければ!」

「スラスラ!?」

 ブス! っとスライムにスポイドを突き刺す鈴木。スライムのベスゲノとの相性は悪かった。

「スラスラ・・・・・・。」

「スライムのベスゲノ! ゲットしたわよ!」

 鈴木はスライムのベスゲノを手に入れた。

「はい。これで佐藤くんと鈴木さんはスライムのベスゲノを手に入れることができました。この調子でドンドンとベスゲノを手に入れて強くなって行きましょう。ベストゲノムを手に入れたモンスターは新しいベスゲノを手に入れるのを一緒に手伝ってくれますよ。」

「よろしくな! スラスラ!」

「スラ!」

 佐藤はスライムと仲良くなった。

「どうしてスラスラなの?」

「スラスラ鳴くから。」

 これがスラスラの名前の由来である。

「じゃあ、私はあなたのことを・・・・・・マリー・アントワネットと名付けるわ!」

「スラスラ?」

 マリーアントワネットはフランスの女王で「パンが無ければ、うどんを食え!」と言ったらしい。

「さあ! マリーアントワネット! 次の獲物を捕えに行くわよ!」

「スラ・・・・・・。」

 鈴木の行動力にゲッソリしているマリーアントワネット。


「ゴブゴブ。」

「ゴブリンみいつけた!」

 佐藤と鈴木はゴブリンを見つけた。

「桜ちゃん、ゴブリンの遺伝子を頂こう!」

「そうね! たくさん遺伝子をゲットするわよ!」

「ダブルアタック!」

 佐藤と鈴木はこちらに気づいていないゴブリンに襲い掛かる。

「ゴブゴブ!?」

 ブスっとスポイトを差し込みゴブリンの遺伝子を抽出する佐藤と鈴木。

「やったー! ゴブリンのベスゲノを手に入れたぞ!」

「ゴブリンのベスゲノ! ゲットしたわよ!」

 佐藤と鈴木は2匹目のベストゲノムを手に入れた。

「ここで遺伝子の成長に分かれ道がやって来る。」

「分かれ道!?」

「そうだ。一つは仲間にしたスライムとゴブリンの2匹パーティーで数的有利をとるか、もう一つがスライムとゴブリンを合成して一匹のベスゲノを強くするかだ。」

「合成ってやつね。」

 ここで今後の戦力に変化が生まれる。

「手っ取り早くベスゲノを手に入れたければ課金してガチャを回してね! アハッ!」

「ちゃっかり課金を催促してるぞ・・・・・・。」

 最強の遺伝子を手に入れるのは大変である。

「俺はせっかく手に入れたお友達を合成なんてできない!」

「スラスラ!」

「ゴブゴブ!」

 佐藤はお友達との友情の絆を強める。

「私はやるわ! 全ては最高の遺伝子! ベスゲノをゲットするためよ!」

「スラスラ・・・・・・。」

「ゴブゴブ・・・・・・。」

 スライムとゴブリンは鈴木に呆れた。

「遺伝子の融合!」

 スライムとゴブリンは一つに合わさっていく。

「できました! スライムゴブリン! 略してスラゴブ!」

 鈴木はスラゴブを手に入れた。

「スラゴブの特徴は体がプヨプヨしていて、稀に痛恨の一撃が出るって所だよ。」

 ベスゲノ同士の特色が合成されている。

「こうやって強くなっていくのね! 面白い! 最高だわ! どんどん狩ってベスゲノをゲットするわよ!」

 こうして鈴木はベストゲノムにハマった。

「佐藤くんも大丈夫ですよ。違う属性の遺伝子を組み合わせて変異種のベスゲノもできますが、同じ属性のスライムとスライムを融合させるとスライムの遺伝子レベルが2にレベルアップします。」

「そうなんですね。それは良かった。俺は変異種融合はしないで、純度100%のベスゲノを強くしていきます。」

 佐藤はオリジナル100パーセントのベスゲノを育成することを誓った。

「さあ、これでチュートリアルは終わりです。好き勝手にベスゲノバトルして、自分の遺伝子を強くしてください。そのうち大会とかも行われますからね。」

「おお!」

 佐藤と鈴木のベスゲノ冒険が始まる。

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