無色茶論

蒼翠琥珀

琥珀と蒼翠

一次元 無口な相棒

 はじめまして。わたしの名は琥珀コーパル


 そう、その通り。

 最近になって何やら書き始めた、あの蒼翠琥珀あおみどりこはくゆかりのあるもの。


 あの人のことはともかく、今日はわたしの相棒を紹介させて欲しい。




 相棒の名は蒼翠そうすい


 無職で人知れずこの世界の片隅に居る。文字通り気配という気配も無く、今も運転中のわたしの隣でひっそりと眠っている。


 こうして静かに居てくれるというのが有り難い。その間、運転に集中できるし、思索にふける事もできる。会話をするのは好きだが、話していないと間が持たないという関係は辛い。


 心地よい沈黙。これを共有できる関係こそ尊い。


 蒼翠そうすいは無職だからなのか、社会にほぼ認知されていない。ただ、少なくともわたしにとっては、そこに居るというだけで充分に貢献してくれている。ほんの時々相手をしてくれるだけで、充分気休めになるからだ。


 この愛すべき相棒が隣で眠っている間、誰かと共に居る安心感を得ながら一人の時間を楽しむという、この上なく贅沢な一時ひとときを過ごすことが出来る。わたしは幸せものだ。




 どうやら蒼翠そうすいが目を覚ましたらしい。そんな気がした。この相棒はどういうわけか、こちらの思索が一区切りついたり、人恋しいような気分になったりする頃合いを正確にさとることができる。実に不思議で魅力的だ。


「おはようございます」


 今のはわたしの台詞。相棒は欠伸をしたり、伸びをしたりして、まだ寝ぼけまなこのはずだ。寝起きは悪くないが、好きなだけゆっくりすればいい。




 ここまでお付き合い下さった方には申し訳ない。でも、蒼翠そうすいにはもう少しだけ時間が必要そうなので。願わくば、無職で無口で飾り気も色気も無いこの相棒を温かく認めてやって下さい。




 それでは、相乗りされる方はまた来週。木曜2021に。


 因みに、わたしが運転しているのは何だと思います?

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