第32話依頼魔物の子守2


五分程待っていると、赤ちゃん達が鳴き声をあげた。

元気な鳴き声を聞きクロとオウカに赤ちゃんの面倒を任せ、ご飯の準備だ。


下の階へ行きコノハに挨拶をするとキッチンの場所を聞いた。キッチンでミルクを温める。


「よーし!これで焦がさない様にっと!


人肌よりも高い温度まで温めると、器に移して二階に向かう。クロはベッドの上から揺籠を覗き込み、オウカはクンクンと匂いを嗅いでいた。


「今からご飯あげるからねー!」


「にゃあーにゃあー」


「きゃんきゃん」


早く早くと、先に僕に頂戴と懸命に鳴いている。

一口ずつ交互にあげると半分程残してスヤスヤと眠りについた。


「最初はこんなもんか?クロ残ってるけど飲む?」


そんなミルクなど飲まないわ!私はもう大人なのだからなっ!とでも言う様にルシウスが差し出したスプーンを尻尾で払う。


「ぶほぉ!!」


それを見てオウカが器に口をつけて飲み干した。

美味い美味い、もっともっとと言う様に器を差し出す。


「これは赤ちゃんのご飯なんだからもう終わりだよ?」


「ぶほぉ……」


「分かったよ!コノハさんに聞きに行こう!」


悲しそうな目を見ていたたまれなくなりクロとオウカのご飯を調達い行く。


「コノハさんそろそろクロ達にもご飯をあげたいんですが何かありますか?」


「あぁ、すまない分かったそろそろご飯にしようか

因みになんだけど食べられない物とかはあるかい?」


「オウカがちょっと分からないですけど、俺とクロはなんでも大丈夫です!」


ご飯の話しをしていると二階からオウカが降りて来て

コノハさんをジッと見つめている。それを見て名案を思いついたコノハはオウカにいくつか問い掛ける。



「じゃあ本人に聞いてみようか?野菜が良いかな?」


「……」


「じゃあ芋だ!芋が良いんじゃないか?」


「……」


野菜と聞かれ、お次は芋、どれもオウカはお気に召さないらしく涙目を浮かべている。それを見てルシウスが我儘は言ったらダメだろと言うとオウカの目から涙が溢れた。


「ぶふぉー……」


「分かった!分かった!肉だ?肉だよな?肉だと言ってくれ!」


慌てふためくコノハを他所にやった肉だ!肉だ!と喜びが悲しを通り越し、胸を叩く。


「ぶほぉ?ぶふぉほぉ!!!」


「コノハさんすみません!我儘言ってしまって」


「いや良いんだよ!まだオウカくんは子供だしねこっちこそ気づけなくて申し訳ない、私はご飯の準備をするからルシウスくんは揺籠を持って居間まで来てくれるかな」


夕御飯の打ち合わせが終わるとご飯の準備を始めた。

今日の夕御飯はシチューとパンオウカだけ別メニューの骨付き肉だ。最近は一人でご飯を食べる事が多かったコノハは基本的に作り置きを温める事しかしてない。



シチューを温めている間に骨付き肉の準備を始めた。

パイソンの骨付き肉に筋切りをして香草を揉み込む、そこに塩胡椒と味をつけ柑橘類の皮を削ってかけた。


「よしっ!これなら皆んな喜んでくれるかな?」


皆んなが喜ぶ顔を想像しながら肉を焼く、表面をカリッと焼き、仕上げはオーブンで十分程だ。


「出来たから持っていってくれるかい?」


「ぶふお!」


コノハの声と共にオウカが駆け出す。自分のご飯とクロのご飯も持ってテーブル迄持っていく。子供用の椅子とテーブルがあったのでクロとオウカはそこに着席して待っていた。


「コノハさんありがとうございます。凄く美味しそうです!」


「最近は一人で食べる事が多くてね、だから味の保証は出来かねるよ?」


「この匂いは絶対美味しいですよ!早く食べましょう!」


シチューの匂いに我慢出来なくなったルシウスはコノハをせかした。久し振りに皆んなで食べるご飯に心躍らせ、足早に席につき食事を始める。一口一口と口に運ぶルシウスを他所にオウカは骨ごとかぶりついていた。口の周りを汚しながらも一心不乱にかぶりつく

オウカと目線が合ったルシウスは口を拭いてあげた。


「もうちょっとゆっくり食べなよ!美味しいのは俺も分かるけどさ」


「ぶほぉっ!」


分かった分かった!と言ってる様に感じるが、それでも止まらなかった。全て食べ終わるとコノハを見つめた。


「おぉ!良い食べっぷりだね!明日はもっと沢山焼いてあげるよ!」


「ぶほぉー?」


「あぁ!ホントさ」


オウカの気持ちの良い食べっぷりに気を良くしたコノハは明日の献立を考えていた。食事の匂いに触発されたのか赤ちゃん達も鳴き声を上げる。用意していたミルクを口に運ぶと勢いよく飲み込む、それを見てオウカもやってみたそうにルシウスを見ていた。


「オウカもやりたいの?」


「ぶほぉお!」


オウカもやりたそうにしていたのでコノハに許可を取るとやり方を教えてやらせてみた。恐る恐る、そしてゆっくりとミルクをすくい口に運ぶ、そのミルクを勢いよく飲む赤ちゃんを見てオウカは微笑んだ。


「ぶぶほぉ!」


飲んでくれるのが嬉しいのか飲み終えとすぐ様口に持っていった。ある程度飲み終わると眠りにつく、食事がひと段落すると食後の紅茶を飲みながら雑談に華を咲かせる。


「そう言えばコノハさんは一人暮らしなんですか?なんで魔物を飼う事に?」


「息子が一人居るけど修行に出していてね、魔物は息子へのプレゼントなんだ」


「そうなんですね、こんなに可愛い魔物が二匹も居るなんて羨ましいです。奥さんは居ないんですか?」


「妻は殺されたよ……人にね……私はそろそろ後片付けるを始めるからルシウスくんは赤ちゃんの世話を頼んだよ」



強引に話を切り上げたコノハはそそくさと片付けを始めた。その際謝罪したのだが悲しそうな顔を浮かべており気まずい雰囲気が流れた。

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