第25話討伐依頼3
翌朝ルシウスはまだ夢の中に居た。自分がドラゴンをテイムする所で部屋の扉が開き揺さぶられる。
「ルシウス朝だぞ! 早く起きろ」
「ん、んっ……ふぁ?」
欠伸をしながら目を擦り前方を見るとライズの顔があった。
「うわぁ……あれ? ライズ?」
「そうだよ! ライズだよ! お前遅すぎだろ、それよりちっこいのどうにかしろよ」
クロが今にも飛び掛かろうとしているのを制し、膝の上に乗せた。ライズ達が迎えに来てくれた様だ。
朝食を食べ終わる迄待つと言われたが申し訳ないので食べるのを辞めようとすると、じいさんがパンに自家製チーズを挟んだサンドイッチを作ってくれた。
下に降りサンドイッチを受け取ると、生命草を採取した大きい方の森へ向かう森に行く前にハムサンドを二つ購入して門を出た。
「そういやルシウスはマジックポーチ持ってんだな」
「あぁ、これは父さんのお下がりだよライズ達は持ってないの?」
「俺達はまだだな後で買うつもりだ」
話ながら歩くと何時もよりも早く着いた気がした。
「よぉし、ここからは俺とルシウスが前衛で、魔法使いのテラが真ん中、セラが一番後ろで良いか?」
ライズの指示に特に不満が無いので了承し森に入った。今日の予定はゴブリン、コボルト、ジャンピングラビット等の下級の魔物討伐だ。
森を歩く事三十分程木々が日差しを遮り少し肌寒い、入り口付近では鳥の鳴き声が聞こえたが今は静けさが辺りを支配している、特にこれといって何もなく順調に森の中を進んでいった。
トータル四十分程歩くと前方にゴブリンが四体現れた。ライズが小声でテラに指示を出すとテラは魔法を詠唱した。
「世界に存在しえる風達よ我の言葉に応え、風の刃で敵を切り刻め【ウインドカッター】」
テラの詠唱により風の刃がゴブリンに牙を剥く、視認する事は出来なかったがゴブリンに何かが当たったと感じた時腕や足胴体等から血が流れた。
「ルシウス行くぞ!」
ルシウスとライズがゴブリンに突撃している間はセラがテラを護る様だ。一気に間合いを詰めるとゴブリン達の動きが鈍くなっていた。
ライズは盾で受け流しながら慎重にゴブリンを討伐しルシウスは一体を切り伏せると残ったゴブリンに一度前蹴りをしてタイミングをずらした。一振りで息の根を止める
「テラの魔法格好良いじゃん」
「すぐガス欠になるので僕なんて足手まといですよ」
自虐するテラをルシウスは興奮した眼差しで見ていた。村にも一応魔法使いが居るが治癒魔法しか見た事が無く攻撃魔法は初めてだからだ。
討伐証明部位を剥ぎ取ると先を行く、少し歩くとジャンピングラビットが現れた。ジャンピングラビットはゴブリンが倒した残骸を漁るために近間に潜んで居た様だ。
残骸を漁る筈が頼みのゴブリンが狩られてしまった為逆に狩られる事になるその数三体、数が多いがやれない数では無いだろう見た目は中型犬程の大きさで脚力が異常に高い魔物だ。
すばしっこく動き接近して噛みつくか蹴る、どちらかが主な攻撃手段だ。
今回は魔法を使わずルシウスとライズのみで討伐する事になった。接近して剣を振るうが中々にすばしっこくルシウスが振った剣は浅く切り付けるに留めた。
軽傷を負っても勢いは止まらなかった。止まる=死なのでジャンピングラビットも必死なのだ。ルシウスは上から下に切り付けると辛うじてジャンピングラビットは横に躱す、その動きに合わせて切り返した。
切り返した剣がそのまま命を奪った。ライズの方に二体行ったがもう少しで終わりそうだ。その時。
「イテッ、チクショ! 舐めやがって!」
接近を許したライズはそのまま腕に噛みつかれていた。それを見たルシウスが急いでライズの所へ走り噛みついたジャンピングラビットに一刺しして絶命させる、ここがチャンスとばかりに接近してきたジャンピングラビットはライズによって討伐された。全て片付けるとセラとテラが走ってきた。
「もう、なんで何時もアンタはこうなるのよ、油断したらダメだってギルドでも言われたでしょっ!」
「あぁ、悪い……ちと舐めてた……」
心配して怒っているセラに対してライズはばつが悪そうにしていた。セラは皮袋から生命草を取り出して手で千切りこねる、そのこねた物を怪我をした患部に塗り布を巻いて応急措置をした。テラはまったやったのかよっと言うような顔をしながら辺りを窺っている
「もう、次から気を付けなさいよね」
「本当ですよ、何時もこうなんですから」
「分かった! 分かった!取り敢えずコイツら紐で縛るか、街が近いから血抜きはしなくて大丈夫そうだしな」
ライズは手際良くジャンピングラビット達を紐で縛り一括りにした。ルシウスもライズも村で狩り等をしていたので血抜き等は出来るのだが血の臭いで魔物が集まっても大変なので紐で縛りライズがそれを背中に背負った。
「マジックバックがあれば楽なんだがなぁ……どうする? 先に行くか?」
「鮮度が悪くなるから一度戻った方が良いと思うんだけど、ルシウス君はどうする?」
「ライズも怪我をしているし取り敢えず一度戻った方が良いような気がする」
「そうねぇ、この馬鹿が怪我をしたから戻った方が良いかなぁ」
弄られて居心地が悪そうにしているライズを見て爆笑すると一度街に戻る事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます