第24話討伐依頼2

 前日に採取をしたのであまり数が取れなかった。

 ある程度採取を終えると昼食を食べるライズ達との昼食だったが皆食べる物は同じハムサンドだ。


「ルシウスもハムサンドかぁこれ結構旨いよな」


「あぁ、中々旨いと思う」


 ハムサンドを半分にしてクロにあげると鳴き声をあげて喜んだ


「クロちゃん可愛いー、私のもあげるねっ!」


 セラも半分とはいかないがちぎってクロに与えていた。セラから貰ったハムサンドをクンクンと嗅ぎながら食べるとセラはクロの食べっぷりに嬉しそうな笑みを浮かべ、それをライズは羨ましそうに見ていた。


昼食を食べ終えるとライズ達は帰る様だ。ルシウスも他の場所で採取しようかと思ったが取り敢えず協会にて討伐依頼の確認をする事にした。


 街に戻るとクロを魔玉に入れてライズ達と共に協会の前まで来た。協会の前でライズ達と別れると協会に入り生命草の買い取りをしてもらう、何時もの男の前に行き生命草をポーチから取り出す。その数300、前日よりも少なくなってしまったが探す時間が結構掛かってしまったのでこんなものだろう。買い取りは銅貨七十枚になった。ルシウスは明日の討伐依頼の事を男に聞いてみた。


「そうですか、テイマー一人なら危ないかも知れませんが冒険者の方達と一緒なら大丈夫そうですね。討伐依頼は常時出ています。討伐証明部位をその都度出して貰えれば買い取り致します。これが討伐証明部位と素材利用出来る一覧です」


 男は辞書の様な物をルシウスに見せた。ゴブリンなら右耳、コボルトは右下の奥歯にある赤い歯、ジャンピングラビットはそれその物等、色々な物があった。



 コボルトの赤い奥歯はそれ自体が素材にもなるし皮も防寒具に使用される素材だ。ジャンピングラビットは食用にもされ、こちらの皮も絨毯や防寒具等に加工される事が多い、一通り確認すると男に礼を言って協会を出た。まず果物を買ってマジックアイテムを売っている店に行き水筒を見る予定だ。


(あまりムダ遣い出来ないんだけど……美味しい物を食べさせてあげたいしなぁ……)


 これが親心だろうか、懐は寒いが明日討伐依頼で頑張れば良いと切り替えて果物屋に着いた。


「また来てくれたんだね! 今日はどんなのを探してるのかい?」


「今日は銅貨三十枚程で買える物が欲しいです」


「そうかい銅貨三十枚だね? ならこれはどうだい?」


 女がお勧めするのは枝豆みたいな果物だ。女の話では中に黄色い実が入っており甘酸っぱく美味しいのだが食べるのが手間でそのせいで安いとの事。


「それを一つお願いします」


 大体一つの束で二十個程付いている、それを購入した後水筒を買うべく女に場所を聞いた。


「マジックアイテムを取り扱っている店って何処にあるか分かりますか?」


「マジックアイテムなら噴水の所まで行ってそこを直進すればあるよ」


 女から場所を聞くマジックアイテムを扱っている店を目指した。噴水を直進すると武器屋や防具屋、服やマジックアイテムを扱っている店等多種多様な店が軒を連ねていた。


一つ一つの店を確認してマジックアイテム屋を捜す、十五分程歩いただろうか古めかしいマジックアイテム屋を見つける事が出来た。客は居ない様だ。店に入ると生活用から戦闘用等色々な物が棚に並べてあったり天井から吊るされていたりしている。


「お客さんかね?」


 髭をはやした男はルシウスを値踏みするような視線を向けていた。


「水筒が欲しいので下見に来ました。新人なのであまりお金は無いですが長く使える物ありますか?」


 下見だけと聞いて機嫌が悪そうな顔を浮かべた男だったが新人と聞くとしょうがないかと言ったように溜め息を吐いていた。


「新人かぁ……まぁ必要になるよな……」


 男は店の裏に行くと水筒を何個か取り出した。


「水筒って言っても色々あってなこの水筒はクリーンの魔法を付加してないから安い物だ。最初はこういうのから始めるのも良いとは思うが長く使うのはなぁ……容量によって値段が決まるがこの一番小さいのは銅貨八十枚だな」


 男が銅貨八十枚と言った水筒は子供用のコップ位しか水が入らず魔石を付ける窪みのみで蓋等も付いていないそして一気に水が溜まる物でもなくペット用だという話だ。


(これならコップとしても使えるし良いな……)


「分かりました明日また来ます」


 マジックアイテム屋を出ると魔石屋を捜した。魔石屋はマジックアイテム屋の三軒隣にあり、すぐ見つける事が出来た。魔石屋に入ると中は何も陳列されてなく閑散としておりカウンターに人が居るだけだった。


「魔石の値段を知りたいのですがいくら位ですか?」


 ルシウスの問いに答えたのは派手な服を着た太った男だ。


「サイズや形で値段は変わりますがねぇ大体小さいので銀貨一枚程で取り揃えてますね。珍しいマジックアイテムじゃなきゃ大体みんな同じ形の魔石を使用するのでメジャーな形の物を買えば間違い無いですよ!どういった物に使うのかお聞きしても?」


 身ぶり手振りで説明する男に苦笑いしながらも水筒の件を説明した。


「それでしたら銀貨一枚で大丈夫ですね、そのサイズでしたらチャージに銅貨五十枚です、使用頻度によりますが水筒なら半月に一回チャージすれば事足りるかと思います後注意事項ですが、大きい魔石になりますと日数が掛かってしまいますのでお気をつけ下さい」


 男はルシウスが初めてだと察すると懇切丁寧に説明した。男が言った小さい魔石とは大体巨峰一粒程の大きさだ。丁寧に対応してくれた事に感謝するとそのまま帰宅した。


 帰宅するとクロを出して夕食を食べる、毎日同じものだが安くで泊まっているので文句は言えない。食事を終えると買った果物をポーチから出した。


クロは果物を見て食べ物と認識していない様だ。ルシウスは実を取り出して一粒口に入れると酸っぱさに顔が歪んだ。


「うわぁ、酸っぱいなコレ……でも後から甘味が……美味しい」


「にゃ??! にゃ??!」


 クロはお座りしてお行儀良く果物を催促している、それを見て何粒か取り出し纏めて食べさせてあげた。


「にゃあ! にゃっ!」


 刺激が強すぎたのかクロは急に跳び跳ねた。ある程度跳び跳ねると酸味が落ち着いたのか静かになったが催促はしなかった。


(クロには不評かぁ……この酸味結構良いんだけどな、後で食べるか)


 ルシウスは不評な果物が結構口にあう様だが、クロには不評な為ポーチにしまった。


するとクロは変な物食わせやがって、毛が逆立ってしまったじゃないかと不機嫌な顔をしていたので、ルシウスはそれを察して櫛を取り出すとクロはそれを出す


のはずるいぞと最初は見て見ぬふりしていたがルシウスが頼むとそこまで頼むならやらせてやるよと言うようにクロは櫛でとかれ上機嫌のまま夜が更けていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る