第20話新人冒険者2
テラの合図で決闘が始まったがお互いに木剣のみを手にじっとその場で相手の出方を窺っている、ライズは意外にも慎重な様だ。
(ちょっと煽ってみるか……)
「お前から吹っ掛けておいて黙って立ち尽くすだけか?」
ルシウスの煽りに顔を真っ赤にしてルシウスとの間合いを詰めるライズ、体を左右に振りながら相手に剣先を読ませない。
「うるせぇ」
ルシウス目掛けて木剣を振るうがルシウスはその木剣を往なそうとする、だが力量が拮抗している為に往なし切れなかった。
(最近練習をサボってたからか……まずいな……)
ルシウスは一方的に打ち込まれる木剣を捌きながら隙を窺っていた。だが隙が出来ても体重が乗った木剣を捌くので手一杯になり、隙はあるのだがその隙を突く事が出来なかった。
「おらおらおら、お前は口だけなのか? やっぱりテイマーなんて貧弱じゃねぇか」
調子に乗って木剣を叩きつけるライズだが、その分スタミナも消耗していた。元からスタミナが少ないのか十分程猛攻に耐えるとライズは見た目程に消耗し動きが鈍くなった。
何発か腕と足に木剣を頂いたが今がチャンスだとルシウスが攻撃に切り替える。
一振り、一振り、体重を乗せてライズを追い詰める後手に回ったライズは攻撃こそ得意な様だが防御の方はルシウスよりも下だった。
ルシウスが受けた攻撃よりもライズの方が直撃を受けていく肩で息をするライズ目掛けて最後の一振りを繰り出した。
「これで最後だ!」
ルシウスはライズの胴体に木剣を叩きつけるすると同じく木剣で防ごうとしたライズは衝撃で木剣を落とした。そのままもう一度木剣を叩きつけようとしたルシウスだったがライズは木剣を拾う時間が惜しいと、ルシウスに突進してマウントを取った。
ライズはそのままルシウスを殴るとルシウスも木剣を捨てて殴った。お互いに上になったり、下になったりしながら殴るがそこでテラの声が掛かる。
「そこまで! この決闘は引き分け!」
「「まだやれるぞっっ!」」
二人に凄まれおどおどするテラだったが必死に二人を離そうとする、セラもそれに加わり二人を離した。
「今回は引き分けで良いじゃない、このままだと明日からの依頼に支障をきたすから……ルシウスさん今日は本当にごめんなさい」
このままだ因縁が残ると思いセラはルシウスに謝った。だがライズは謝ろうとしないそのライズをひとしきりに叱りつけると渋々だがライズも謝罪した。
「今回は悪かった」
ボソッと一言、その一言を聞いてライズはそんなに悪い奴じゃないのかもしれないと若干だが認識を改めた。
「あぁ、俺も言い過ぎたよ。悪かったな」
今日は宿に戻って休もうと決め歩き出した時ライズから声が掛かる。
「引き分けだから銀貨三枚の半分持っていけよ」
そんな律儀な事を言うライズを見てやっぱりコイツは良い奴なんだなと思い申し出を断る。
「いや、始めから決めて無かったし貰う訳はいかないよ、気にしなくて良いからそういうのは」
「いやでもな、貰ってくれないか?」
それでも申し訳なさそうな顔をしているライズを見て、逆にルシウスも申し訳ない様な気がしたが断ってギルドを出た。
生命草を買い取って貰う為にテイマー協会に向かった。道中練習をサボってた事に後悔した。
(クロの可愛さや、シルバーキャットの可愛さにかまけて練習サボってたからなぁ……サボって無かったらもっと良い勝負出来たよな……)
協会に着くと気持ちを切り替えて受け付けの男に生命草を渡す。
「全部で五百枚ですね銀貨一枚と銅貨二十五枚です。お受け取り下さい」
生命草は一つの茎に五枚程葉をつけるその為この枚数採取出来たのだ。
ルシウスは金額を確認するとクロの為に果物を買いに行事にした。
門の所で少し無理矢理に魔玉に入れてしまった為クロの御機嫌が心配だったのだ。
(今日は多目に買わないとな……)
折角稼いだお金を使わなきゃいけない事に少しガッカリするとこれもクロ為だと言い聞かせて果物を扱っている店に行った。
まだ昼御飯を食べて無いと気づいたルシウスは道中にある出店でハムサンドを一つ銅貨十枚で購入し食べながら店に向かう、店に着く頃にはお腹が減っていた為ハムサンドはすぐにお腹の中へ消えていった。
名残惜しそうにしながら帰りにハムサンドをもう一個と思いながらも今日は我慢しなきゃと思い止まりながら恰幅の良い中年の女に声を駆けた。
「子供が好きな果物ありますか?」
「これなんてどうだい?」
女が勧めるのはお手製の葉っぱで作った器に葡萄の様な真っ赤な実を十個程乗せた物だ。一つ銅貨二十枚。少し高いなと思いながらもこれでクロの機嫌が良くなるならと思い購入した。
「まいどありっ! またおいで」
初めて来た客だからか林檎半分程の大きさがあり黒色ベースで赤色の斑点がついた果物をオマケして貰った。
オマケして貰った果物も一緒にポーチに入れ宿に向かう、途中オマケして貰った事にルンルンだった。
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