第7章 襲撃、再び

その①「騙し討ち」

 金曜の放課後。無論、今日も特訓を行う。

 ただし、今日の日直は成行。彼が職員室から一年C組に戻ると、教室には既に誰もいない。


 成行は帰り支度を始める。机の中からペンケースを取り出すと、そこには付箋が一枚貼られていた。


『成行君へ。確認したいことがあります。この前の多摩川堤防沿いに来て下さい。私は先にそこで待っています。見事』


「何だろう?」

 何か気になる点でもあったのか。そう思いつつ帰り支度を終えて、教室を出る。


「そうすると、府中へ向かうのか」

 成行は一路、学校前のバス停を目指す。

 金曜の放課後は、いつもの放課後と雰囲気が異なる。何処となく、生徒も教員も少し浮かれた気分になっているのを感じる。


 見事は、今どの辺りにいるだろうか。そんなことを思ったが、特にそれ以上は気にしなかった。見事のことだから、間違いなくこの前の場所に着くだろう。


 路線バスで駅へ向かう。バスからの車窓を立って眺めるうちに、バスは駅に着いた。

 相変わらず賑やかな駅。特に金曜である今日はいつもよりも、さらに活気がある気がした。

 明日は土曜日。明日も仕事の人はいるだろうが、そんな人たちに敬意を表しつつ、成行は高幡不動方面の準特急に乗った。


 五分後。準特急は府中に到着。成行は先日と同じコミュニティバス乗り場へ向かう。時刻表を確認すると、運よく次のバスは十五分後。そんなに待たなくてもいい。


 というか、コンビニに行けるな。

 そう思った成行は、バス停からコンビニのある通りを目指す。少しだけ漫画の立ち読みでもしようかな。そんなことを考えていた。


 コンビニに向かう途中、前方の道路脇に停車したミニバン。後ろのドアが開けっ放し。何か仕入れの最中だろうか。しかし、不用心だな。

 呑気にそんなことを考えつつ、ミニバンの側に差し掛かる。近くのビルから段ボール箱を持った人が出てきた。やはり、荷物の運び入れだ。


「ぎゃっ‼️」

 激痛が走った。成行は一瞬にして地面に倒れる。体が痺れて動けない。

 段ボール箱を持っていた男は、拳銃のような物を持っている。その先端から伸びた細い糸。それの先端の針が成行の背中に刺さっている。

 生まれて初めて電撃。テーザー銃と呼ばれる拳銃型のスタンガンだ。電撃の威力は凄まじく、あまりのことで意識を失う成行。

 どこからともなく現れたもう一人の男。都合、二人の男が成行をミニバンへ運び入れる。

「いいぞ!出発だ!」

 成行を積み込んで、ミニバンのドアが閉まる。すぐにミニバンは発車した。


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