#5 保育室、花札、覗く


「保育室あるじゃん」

「あるね」


「子供って可愛いよね」

「そうだね」


「子供がキャッキャうふふしてると思ったら覗きたくなるよね」

「わからないな。その気持ちは」


「だって子供だよ?まだ無垢で何も知らないはずなのに、キャッキャうふふしてるんだよ?神秘だよ?」

「まずは落ち着け。それとキャッキャうふふって言い方は語弊があるからやめろ。で、何が言いたい?」


「覗いてきたんだよ」

「何を?」

「保育室を」

「110番に電話をかければいいのかな?」

「まって、最後まで話を聞いて」

「いいだろう、でも電話の用意はさせてもらうからな」


「覗いたらさ、花札をしてたんだよ」

「おう、そうか。確かにレトロなゲームだし珍しいな」


「でね、机の上に灰皿が乗っててね」

「ちょっと待て」

「で、灰皿の下に一万円札が何枚も挟まってたんだよ。これお金かけてたよね?」

「いや、『よね?』って言われてのわからんが。色々とおかしいぞ」

「僕もそう思う。やっぱりお金をかけてゲームをやるのは良くないよ」

「そこもおかしいが、まず保育室を覗いたんだよな?そもそも、そこからおかしいんだが」


「そう、保育室を覗いたから多分いたのは子供だと思うんだけど、タバコ吸ってたし、刺青してたし、指が無い人もいたし」

「お前、一体どこの保育室覗いたんだ?」

「あそこだよ、山の方にでっかい家に(自主規制)組って書かれてて。組ってあるからもも組とかさくらんぼ組みたいな保育園だと思ったんだよ」


「お前、どうやってここまできたんだ?」

「走ってきたよ。あ、追いかけてきた!」

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