5 始まりの地震

 その朝、エリカはさっとシャワーを浴び、冷たい牛乳を1杯だけ飲むとリチャードを起こしに行った。リチャードが起きてくるまでに朝食のスクランブルエッグ、カリカリベーコン、ケチャップピザトースト、オレンジジュースを用意して、今度は自分の出かける支度を始めた。

「リチャード、食べ終わったら歯を磨いてね。そろそろ出かけるわよ」

 そしていつも通り玄関に出ようとしたその時だった。

「うわ、ママ、地震だ」

 大きな地震など来ないこの地方で、めったに来ない揺れだった。数十秒、揺れが収まるまで、二人は寄り添って不安な時を過ごした。

「…大したことはなさそうね。ちょっと待って…、ネットニュースでは特に被害は出ていないわ。またこのエッグシティだけが揺れたみたいね」

 震度3ほどの揺れだったが、市民を動揺させるのには十分だった。庭に出て駐車場に歩いていく。芝生を踏みしめながらリチャードが言った。

「…ママはまたドライブインで朝食なの?」

「うん」

「僕もまた食いしん坊のお爺さんたちと一緒に食べたいなあ」

「いいアイデアね。じゃあ、お爺さんたちに連絡しておくね」

「やったあ」

 そのころ、エッグシティの地下崩落現場では警報サイレンが鳴り響いていた。震源地であるこの崩落現場では震度4以上の揺れが長く続いていた。

「緊急事態だ、ここまでの揺れは想定外だ。大佐はまだか」

 現場の責任者あの冷静なキース少佐が走り出した。

「ザルツバーグ大佐はこちらに向かっている途中です」

「わかった、レベル3の警戒態勢を発動だ」

 エッシャー分析官たちがデータを集めて打ち合わせをはじめた。地下の入り口のバリケードは取り払われ、地下の作業現場からトラックやブルドーザーが次々と姿を現す。作業者が退去を始めていた。

「我々の科学では分析不能な重力エンジンを使う動力部が徐々に出力を上げてきたようです。定期的に重力波と反重力波が観察されるようになり、その間隔が狭まってきています」

 その時、慌ただしく入室してきたザルツバーグ大佐が質問した。

「いったい、何が起ころうとしているのだ」

 するとエッシャー分析官は慎重に言葉を選びながら話し始めた。

「わかりません…ただ、このままでは…」

「どうなるというのだ?!」

「全長700メートルを超える、あの巨大な金属の塊が原因で、街を破壊しつくすような大地震が起こるのではないかと推測されます」

 それを聞いて大佐の顔色が変わった。

「そんなことになれば、街の中心部で死人が大勢出るぞ…。事前の爆破処理は可能なのか?」

「街の中心部の地下を大規模に爆破処理することは、まったく解決にはなりません。それどころか未知のエネルギーが大爆発を起こせば、被害はエッグシティだけでは済まなくなるかもしれません」

 ザルツバーグ大佐も腕を組んで黙り込んでしまった。少しして大佐はキース少佐に告げた。

「この間報告書を送ってきたテリー・ボールドウィンに連絡を取ってくれ」

 そのころ、地震をきっかけに、男爵邸でもついにテンペスト男爵が動き出した。

 リビングで、グリフィス、ホリアとともにルナサテリア夫人とくつろいで新しいアクセサリーや宝石を見ていた男爵は、地震の大きさに驚き、さっそくリビングで銅鑼を打ち鳴らし、長身の執事、パーカーを呼び出した。

「パーカー、すまん、アルパ博士とチャールズの予定はどうだったかな、可能なら急いで話をしたいのだ。二人の都合を聞いてきてくれないか」

「かしこまりました」

「それからグリフィス、サムさんたちも呼びたいのだが、急に来てくれるかなあ」

「わからない、でも、すぐに連絡を取ってみるよ」

 急いで連絡を取るグリフィス、エリカは無理だったが、サムがつかまり、テリーを乗せてすぐ来てくれるとのことだった。二人が朝食がまだらしいので、グリフィスはバーゼルさんを呼んで、急いで二人分、何かを作ってくれるように頼んだ。

「お坊ちゃま、あの麺棒と包丁は…?」

「はい、これ。スピード調理アタッシュケースだ。じゃあ、頼むね」

 グリフィスは厨房でしばらくバーゼルさんの料理作りを見ていた。とにかく早くて正確、一流のショーなのだ。まず、パスタ鍋にお湯を沸かし、その間に超合金性の何キロもある麺棒で小麦粉から生地を作っていく。

「うう、何度見ても信じられない、すごい、すごいよバーゼルさん」

 ものすごい力とスピードで見る見る生地が練られ延ばされていく。次に包丁に持ち替えて、麺をとんとんと切っていく、さらにセロリと人参もみじん切りにしていくのだが、その速く正確なことと言ったら。次にフライパンでベーコンとひき肉を炒めて、セロリと人参、フライドオニオンも加えて火を通し、ナツメグ、オールスパイス、塩コショウで味を調え、赤ワインと鶏がらスープと特製ケチャップで、ミートソースに仕上げていく。そして出来立ての生麺を鍋に投入、生麺はすぐに茹で上がる。

 カメラを早回しにしているようにしか見えないが、バーゼルさんの料理ときたら、とにかく速くて正確で、そして飛び切りうまいのだ。

 ゆであがった麺のお湯を切ると、少量のゆで汁を合わせ、ミートソースとからめて粉チーズをたっぷりふって出来上がり。時間がないとき、少量だけの時のスピード調理だ。このスピードのためにグリフィスが作ったのが、超合金調理セット、まだ試作品だが、それでもこの人間離れした力とスピードで調理してもまったく痛まないし刃こぼれもしない。

 作っている途中で、アルパ博士とチャールズが姿を見せた。アルパ博士は、今日も博物館の仕事があったが、30分ほどならということで急いでやってきた。そして朝食も取らずに、サムとテリーが到着、急いで出来立てのスパゲティミートソースを食べる。

「うまい」

 眼球タピオカソーダで流し込んで準備完了だ。みんなが揃ったところでテンペスト男爵が立ち上がった。

「…ついに地震がかなり強くなってきた。我々も最善の方策を考えて、適正に対処しなければならない。アルパ博士、宇宙の歴史に詳しいあなたに今一度確認したい。この地震の原因となったエッグシティの地底に眠る巨大宇宙船のことを…。うちの家族たちにも、サムさんたちにも教えてやってほしいのだよ」

アルパ博士はその大きな瞳のメガネを整え、細長い手で口ひげをなでながら語り始めた。アルパ博士はこのメンバーの中でも暗記力は飛び抜けてすごい。地球に来てからもあっという間にいくつかの語学をマスターし、歴史や生物の本を次々に読破、速読で一度憶えると忘れないという特技の持ち主で、宇宙事件の歴史に関しても驚くほど知っていた。

「ブッフォッフォ、およそ1万年前、この銀河宇宙で、異空間航法を使った恒星間の交流が盛んになった。その結果、いくつかの惑星同士が結びつきを持つようになり、私の所属する惑星連合リグラルの基礎が作られたのです。だがその一方、機械化帝国パズマが生まれ、他の惑星の侵略に動き出したのです。もともとはヒューマノイドタイプのパズマ人が、機械化文明を発達させ、自分たちの体や遺伝子までも効率よい形に作り替えていたようなのですが、そのうち彼らは、すべてを、メカを使った単一的で効率的なシステムに作り替えるのが理想だと主張し、人工知能を搭載したアンドロイド兵を使って、他の惑星を侵略し始めたのです。彼らは強大で、我々は形態や文化のまったく異なる宇宙人同士で惑星連合リグラルを組織して対抗しました。その時、中心になっていたのがチャールズ達エッグニア人です。するとチャールズが言った。

「今から1万年前、僕たちの星は機械化文明のピークを迎えていました。そこに宇宙霊オルファーヌのお告げがあり、我々は中心になって戦い、皆さんも知っている卵型のロボットスーツ、エッグアーマーロボットスーツ、略してエッグロボを開発して戦いに参加したのです。我々の体形に合わせて最初作られたのですが、あの卵型はいろいろな形態の宇宙人にも使いやすいということで、量産されて地球にもやってきたんですよ」

そう、あの先住民の作った卵型の土偶はリグラルのいろいろな宇宙人たちの入ったロボットスーツ、エッグロボだったのだ。そしてまたアルパ博士がのどを鳴らしながら続けた。

「ブロロロ、ところが侵略戦争が始まってしばらくして、パズマは内部で分裂戦争を始めたのです。侵略行為は一時中断し、第一次宇宙戦争は終わりました。我々はその後の様子を見守っていたのですが、事態はさらに恐ろしい方向に向かったのです」

なんと後でわかったのだが、パズマの内部の戦争はパズマ人の皇帝メギゼイドス三世の軍勢と人工知能AI部隊との戦いだったのだ。パズマ人の使っていた侵略用のAIが暴走し、パズマ人をも襲ってきたのだった。

「ブォフウウウー、パズマ内部の戦いは数年後、意外な最期を迎えます。すべてを単一化、効率化しようとしていたAIは、自分たちを作ったパズマ人まで効率化しようと戦いを始めました。そしてまさか、パズマ人は敗れ去ったのです。その後パズマ人を見た人はいません。皇帝メギゼイドス3世も消えてしまった。パズマ人は完全に滅びてしまったのか、遠い宇宙に逃げたのか、その後は誰にもわかりません。そして勝ち残った人工知能AIは、それから戦力を蓄え、各種アンドロイドを駆使し、機械化帝国パズマを名乗り、一層激しい侵略を始めたのです。いくつもの惑星を巻き込み、大きくなった戦争は、さらに激化し、その戦いに終止符を打つために、リグラルもパズマも秘密兵器の開発にあたりました」

そしてリグラルはエッグニア人などリグラルの宇宙人たちの持つ超能力を合わせて人工知能を狂わすエスパーキャノンを開発、戦うことなく、遠くから敵の人工知能を停止させ、どんどん戦いを有利に進めていった。遅れをとったパズマは、全く新しい秘密兵器「プロトキメラ」を開発、それを宇宙対戦の最前線に送り出そうとしていた。だが、その兵器を乗せた巨大宇宙船は異空間航行の途中でエスパーキャノンによってコントロールを失い、地球の山岳部に墜落した。巨大宇宙船は激突する直前に補助重力エンジンを使い、反重力波を使って軟着陸し、爆発を逃れた。だが周囲の山は崩れ、谷は埋まり、山岳部には通常あり得ない、卵型の平地を形成したのである。その平地には徐々に緑が茂り、数百年後には先住民も住み着くようになったのだ。パズマはどんどん追い詰められていき、逆転しようと、何度も「プロトキメラ」を求めて地球に飛来、それを迎え撃つために、リグラルのエッグロボもやってきた。そして最後は今から数千年前、パズマは根絶され、トラップとして仕掛けられた異空間怪物転送ゲートもほぼ除去され、今は街の商店街に一つか二つたまに作動するだけとなった。

「ブォフォフォフォ、そう言うわけで、このエッグシティの地下には巨大宇宙船と秘密兵器プロトキメラが埋まっている。赤い光の宇宙船によって再起動した巨大宇宙船は、自動修復装置によって徐々にパワーを取り戻し、もうすぐこのエッグシティをめちゃくちゃにしながら反重力波で飛び立つものかと思われます。この巨大宇宙船が飛び立って何をしようとしているのかはわかりません。ただパズマの勢力が強まっていくことは確実でしょう。我々は街の被害も、宇宙戦争の被害も最小に食い止めなくてはならないのです」

アルパ博士の話はそこで終わり、博士は博物館へと出かけて行った。男爵が続けた。

「チャールズ、君の惑星エッグニアは一番文明的に進んでいたが、エスパーキャノンとは何だか知っているかい、そして彼らの作ったプロトキメラとは何かわかるかね?」

するとチャールズは明確に答えた。

「エスパーキャノンとは、1超能力を増幅させ、2複数の能力者のパワーを一つに集め、3集めた力を使って敵のAIを停止させる、という三つの働きを合わせたもので最大数十人の能力を一つに集めて、戦わずして人工知能を停止させるものです。私の部屋には増幅装置を使ったエスパーショックガンがあります。宇宙船を落とすことはとても無理ですが、超能力を増幅しキューブヘッドなどをショックでしばらく動けなくすることができます。それからプロトキメラがなんであるかは結局わかっていません。しかし、エスパーキャノンを無効にするものらしいという情報は得ています。形や大きさも全く分かっていません。もしかすると地下の巨大宇宙船にあるかもしれないし、どこか土の中に埋まったままかもしれません。この男爵邸の歴史博物館には膨大な発掘物がありますから、ここの収蔵品の中に紛れている可能性もあります。お気を付けください」

その言葉を聞いてみんな不安がるだろうと思っていると、みんなの反応はちょっと違った。グリフィスが立ち上がった。

「大丈夫だよ、パパ。僕はこの部屋に特別のセキュリティをいくつも用意したんだ。プロトキメラもみんなの命もきっと守るから安心してね」

ルナサテリア夫人も言った。

「今もみんなと見ていたアクセサリーだけどね、危険から身を守ったり、身に着ける人に幸運を授けるように、いくつもの古代の紋章を組み合わせて、強力な魔法がかけてあるの。家族みんなに配るからね」

さらにホリアも言った。

「アナスタシアおばさんに教えてもらった聖なる歌、特別な力があるの。私が歌ってみんなを守るからね。それからミュリエルも言ってたわ。ネフェル家の特別な秘術を使うって。それから7人の騎士のご加護もあるからってね」

そして最後に男爵が言った。

「ありがとう、みんな。みんなの力を合わせれば道も開けるだろう。これから、災害から脱出したり、大切なものを守ったり、いろいろな苦労が立ち塞がるだろう、でもみんなで力を合わせればきっと道は開ける、がんばろう」

 サムは口にこそ出さなかったが、グリフィスとともに戦うという気持ちでいっぱいだった。そしてこの間ミュリエルから教わった秘術のことを固く心に刻んでいた。テリーはみんなに言った。

「今日は、エリカ市長は来れませんが、今エリカや僕の仲間で、皆さんの万が一の時の避難場所や避難方法を計画しています。焦らず、連絡を待ってください。たぶん、男爵のところには一番に連絡がいくと思います」

 リビングでの話し合いが終わった後、チャールズは男爵に言った。

「それでは、リグラルの仲間と連絡を取ってみましょう」

「うん、僕も行くよ」

「サムさんとテリーさんもよろしければぜひご一緒に」

 そしてチャールズは、男爵とグリフィス、サムたちを連れて自分の部屋に入った。もちろんみんなは、あの小さなドアに頭をぶつけないように腰をかがめ、気を付けて入った。

 小さな椅子、小さなテーブル、部屋はなにもかも一回り小さなおとぎ話の小人の部屋のようで、しかもきれい好きなチャールズの性格がよくわかった。その部屋を通り抜けさらに奥の部屋に行く。

「な、なんだこりゃ、す、すごい!!」

 その部屋は、見たことのない機械がいくつも並び、一番前は宇宙船の操縦席のようになっていた。まるで突然未来世界に来てしまったかのようだ。今度は普通の大人が座るような座席がいくつもあり、前方に大きなスクリーンがあった。

「ここは破壊されてしまった我々の青い光の宇宙船の中にあった操縦室を再現したものです。あの時、パーカーに小型転送装置だけ担いでもらって逃げて来たんです」

 そして小型転送装置で部品を少しずつ転送してもらい、ここまで組み上げたのだという。

「この部屋では、宇宙船の運転はできませんが、異空間通信や部品の転送、異空間バーチャルトリップなどができます。ではさっそく、最近この街に来た、我らリグラルの仲間たちと連絡を取ってみましょう」

 いやあ驚いた、男爵のお化け屋敷からおとぎ話の小人の部屋を通り抜けたら宇宙船の操縦席だ。そして目の前の大きな画面にはさらに意外なものが移る。

「あれ、この建物見たことがある…」

 サムが驚きの声を上げた。そこは白い壁のちょっと荒れ果てた部屋、あの西部の廃病院ではないか。画面の向こうで呼び出し用の警報が鳴る。そこにやってきた三人は、まさかのあの三人だ。

「いやあ、さっきは大きな地震だったね。そろそろ連絡が入るころだと思っていたよ」

 青白い顔に、口元からのぞく牙、吸血鬼のような彼は、バンパイア型宇宙人のゾラスだった。

「あら、チャールズ、お久しぶりね。ところで私たち用のエッグロボはもうスタンバイ済みよ。いつでも出動できるわ」

 黒ヒョウのようなしなやかな彼女は猛獣型宇宙人のソニアだった。

「男爵、お元気そうで。みなさんもよろしく」

 大柄で怪力の彼は、ごっつい角やこぶを持つサイ型宇宙人ゼムダだ。

「おっどろいた。廃病院の3怪人はチャールズの仲間の宇宙人だったのか?!」

 顔を見合わせるサムとテリー、さらに黒ヒョウのソニアが付け加えた。

「そうそう、チャールズの最新型エッグロボも届いたわよ。すごく強そうでかっこいいから楽しみにしていてね」

 ちらっと画面の隅にみんなの乗り込むエッグロボが映る。それぞれに個性的な形をした3メートルちょっとのメタルボディのロボットだ。でも基本的にはどれも卵型でどこか親しみが持てる。すると今度はあのゾラスが牙をのぞかせながら言った。

「パズマはなぜ数千年のち、今になって復活したのかよくわかっていない。しかし調べたところ、奴らはまだ動き始めたのはごく一部、しかも武器や装備の技術レベルは最大の勢力を誇っていた数千年前とほとんど変わりません。我々リグラルも数千年の平和な時を経て、奴らの攻撃にあわてて装備を整えだしたところです。十分に動くエスパーキャノンは、まだ実践には間に合いません。でもここで食い止めることができれば、大掛かりな宇宙戦争に発展することはないでしょう。宇宙の平和は守られるのです」

 そしてそのころアリエス修道院でも何かが起きようとしていた。一人のシスターが、農作業前の祈りをしようと、あの森の中の鐘つき堂へと歩いている時だった。鐘つき堂から誰かの悲鳴が聞こえて、急いで駆けつける。すると鐘つき堂から二人のシスターが転げるように飛び出してきた。

「どうしたの、何があったのですか?」

 すると息も絶え絶えに声が返ってきた。

「虫が…見たことのない大きな虫が…!」

 もう一人も鐘つき堂の上のほうを指さした。

「ひいっ!」

 かけつけたシスターは言葉を失った。大きさが40センチ以上ある、しかも人間のように表情のある虫が、数匹鐘のそばにしがみついて羽を震わせていたのだ。

「早く誰かに連絡を…!」

 後から来たシスターがそういうと、不思議な声が聞こえた。

「他言無用、誰にも言ってはならぬ。誰にも危害は加えぬ、安心するがよい。我々は使命を果たすためにここに来たのだ」

 そして声を失い、見上げるだけのシスターの前で、虫たちは飛び立ち、町のどこかへと飛び去っていったのだ。

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