第25話 二年前とは違う、変えることのできる未来。
「それは別にいいが、おまえ、金は大丈夫か?そろそろヤバいんじゃないのか?」
「そうね。早くアイツとのことを片付けて、一人で暮らしたいわ」
「変態をやっつける。それぐらい、手伝わせてくれないか?」
「気持ちは嬉しいけど、あなたに何ができるの?」
おい、言い方ァ!
全く。そうやって相手を突っぱねるのも相変わらずだな。おまえが俺に期待の眼差しを向けているのも含めてな。
「俺は、こう見えても、再婚相手にめちゃくちゃ怒ってるんだぞ?俺と楓の怒りを、分からせてやるんだ」
悠里は今回、人を見る目が無かった。そういうことにしておきたい気持ちが俺の中ではある。
これは平塚が言っていたのだが、俺と悠里の間にあったような、『生殺し協定』を、悠里が再婚相手にも当てはめているなら、当てはめ続けたいなら、新しいパートナー選びは慎重にやるべきだったな。
悠里。俺は異常だったよ。セックス無しの生活を続けられるのは俺しかいないだろう。他のやつは我慢できるはずがないんだ。それこそ、寝込みを襲われたり、代替人が必要だったりする。
再婚相手にとっての代替人は、浮気とかで別の女性を見つけることではなかった。
俺は、それで楓が選ばれてしまった気がしてならない。
だから俺は、悠里。楓が被害者になってる時点でお前にも怒ってるし、楓を全面的におまえに任せることはもう俺の中では無いんだ。
「りゅーた、無理しなくていいよ?アイツは、たとえ捕まっても、保釈金で出られちゃうんだってっ。だから、いいよ。わたしは、りゅーたがいれば、大丈夫」
「まずは敵を知らなきゃ始まらないな。ちょっと、潜入するか」
「隆太、何する気?」
「決まってるだろ?俺の昨日からの職業はなんだ?楓」
「はーい!コーヒーとお茶屋さんですっ!」
「あと、超美味い水屋さんな。俺はこれを口実に、乗り込んでやる」
「無、無理よ。あなた一人でできっこない」
「誰が一人でやるって言った?おまえも手伝えよ、悠里」
おまえがいないと、再婚相手がわからないんだよ。これは悠里が解決すべき
問題なんだから、おまえにも来てもらうぞ?
「それは、絶対無理よ!相手にわたしの顔がバレたら、どうするの?」
「男装しろ、悠里。平塚になりきれ!」
「ハアッ!?」
今日一番のでかい声が家中に響きわたる。
「何それっ!?面白そう!楓もやりたいー!!」
「楓には、もっと良い役目を与えよう。俺が平塚に頼んでみる」
「そうなの?やったーっ!お母さん、やってみようよっ!」
「あなたにとっても......危険なんじゃないの?」
「俺は、二年前、悠里に見放されて、楓と離れ離れになって、一度俺の人生全てを諦めた男だ」
辛かった。だが死ぬ勇気も無かった。ただ、堕落して、気づけば破滅一歩手前になっていた。
そんな俺を、楓が救ってくれたんだ。一度諦めた人生だ。好きにさせてもらう。
全ては、楓の笑顔のために!
「そんな俺でも、楓は好きだと言ってくれる。だったら、俺はそれに応えたい」
「りゅーたああああああ!!!惚れるっ!惚れちゃうよおおおお」
「......ばかっ。ほんと、あなたって、大ばかね」
馬鹿で結構。よし、頭を動かせ。二年間休んだ分、働けよ?俺。
これは、38歳のなんの取柄もないおっさんが、愛する人のために頑張る、俺のストーリーだ。
――――――
作者より。主人公、啖呵切っちゃった。おっさんがんばえー。
えー、再婚相手の設定を何も考えてないので、ちょっと潜ります。すみません。
更新頻度も落とします。気長に待ってくれると嬉しいです。
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