第15話 ※悠里視点 無償の愛を探して
わたしは元旦那に、堕してほしいと言われた。
楓の、次の子だった。堕ろす理由は、経済的なものだった。わたしは、抵抗した。自分のお腹に宿った子をどうしても、守りたかった。
だけど、どうしても、元旦那の考えは変わらなかったから、離婚した。
そして、気を張って楓を連れて出て行ったわたしは、異変に気づいた。
あんなに守ろうとしたお腹の子は、流れてしまったのだ。
名前すら無かった水子に、海(うみ)と名前をつけ、わたしは祈った。
産んであげられなくて、ごめんね?
お母さんに逢いたかったよね?ごめんね?って、何度も謝った。
そして、わたしは誓ったのだ。
もう、こんな可哀想な子を生み出してしまうのは、やめると。
生活は貧しくなった。わたしは良かったのだが、楓がご飯をあまり食べなくなり、わけもなく泣くことが増えた。
そんな時、仕事場で望月隆太に出会った。
彼は、わたしが楓を連れてきたら、仕事そっちのけで楓の相手をしてくれた。
こんな良い人は、いないと思った。
彼は、わたしのことが好きだと言った。嬉しかったけど、わたしはこの人の子を産むことができない。海に申し訳ないからだ。
そのことを隆太に話したら、彼はそれでも良いと言ってくれた。
そうして、彼との3人の生活が始まった。
わたしは、性行為につながるものを全て排除した。キスですら、ダメ。彼が興奮してしまったら、子供ができる可能性があるから。
頭を撫でることくらいしか、許せなかった。それだけでも幸せだと、彼は言った。
浮気しても、いいよ?とわたしは言った。だけど、彼は結局、浮気をしなかった。
いずれ結婚しようとお互い話しながらスタートした生活。しかし、隆太の両親は条件を突きつけてくる。
隆太の子を産め。それが、隆太の両親の、わたしたちが結婚するための条件だった。
わたしはその条件を受け入れることができなかった。
しょうがないよね。それでも、ずっと一緒にいれば、折れてくれるよね?って話を隆太としていた。
それから6年経っても、隆太の両親は結婚を認めなかった。
わたしは、結婚したくて仕方なかった。こんな良い人はいないから。わたしの希望を叶えてくれる人は、隆太以外にいなかった。
それが、突然、終わりを告げた。
隆太を不憫に思っていた楓が、動き出したからーーーーー。
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