第14話 ※楓視点 赤ちゃんが欲しくて

これは、楓がーーーーーー



4歳の時。


「おかあさん、ほいくしょにくるあかちゃんかわいい!わたしもおかあさんのあかちゃん、だっこしたいな」


「赤ちゃん、欲しいの?」


「うんっ!!」


5歳の時。


「おかあさん、ともだちにいもうとができるんだって、おかあさんは、まだ、できない?」


「赤ちゃんはね、楓がいい子にしてると、コウノトリさんが運んでくるんだよ?」


「サンタさんみたいだね?かえではいいこにしますっ!」


6歳の時。


「おかあさん、サンタさんはちゃんときてくれるのに、こうのとりさん、おそいね?」


「まだ、コウノトリさんは道に迷ってるみたい。お母さん、お手紙書くね?」


「かえでも!こうのとりさんに、おてがみかくっ!」


7歳の時。


「お母さん。あかちゃんは、お父さんとお母さんがいると、コウノトリさんがはこんでくれるんだって!」


「じゃあ、うちには、来ないかもね」


「りゅーたがいるから、大丈夫!りゅーたは、かえでのおとうさんだよっ!」


8歳の時。


「りゅーたとお母さん、なかよしなのに、なんで、赤ちゃんできないのかなぁ?」


「楓?お母さんはね、楓がいれば、それだけでいいの」


「かえでは、お母さんの赤ちゃんのお世話、したいよ?」


「そう、なんだ・・・」


「だから、おねがいします。りゅーたにも、たのんでみるね!」


9歳の時。


「りゅーたのほんとの子じゃないから、りゅーたが笑ってくれないよっ!おかあさん、りゅーた、赤ちゃんほしいって、泣いてたよ?どうしたら、赤ちゃんはできるの?」


「楓?お母さんも、りゅーたも、赤ちゃんは作らないって、決めてるの」


「でも、りゅーたは、赤ちゃん欲しいって言ってたよ?りゅーたの子でも、血がつながってなくても、ちゃんとお世話するから!お母さん、お願いっ!」


「だから、もうっ!子供は作らないって言ってるでしょ!?」


「お母さん、言ってたよね?りゅーたがいなかったら、幸せになれなかったって、言ってたよね?楓は、りゅーたにも、幸せになってほしいのっ!」




10歳の時。


「お母さん?赤ちゃんがどうやってできるか、今日、わかったよ。お母さんは、もしかしてわたしを産んだから、赤ちゃんが産めなくなったの?」


「・・・違うわ。わたしは赤ちゃんを産めない体じゃないわ」


「じゃあ、どうして、赤ちゃん作らないの?


苗字はなんで、一緒じゃないの?


お母さんは、りゅーたと結婚してないの?


どうして、宏おじちゃんと、静江おばちゃんのとこに、お母さんは行かないの?」


どうして?お母さん、答えてよ。









「うるさいッ!!」



「ーーーー!!」




11歳の時。


「りゅーたが、可哀想。お母さん、りゅーたのこと、嫌いなんだ?嫌いなのに、楓のために、一緒にいるんだ?」


「違うわよ!ちゃんとりゅーたのこと、大切に、想ってる!」


「不思議だなぁ。キスをしてるのも見たこと無いし、ほんとに、そうなのかな?」


「楓・・・あんた・・・」


「お母さんが、りゅーたとちゃんと結婚しないなら、わたしがりゅーたのお嫁さんになる!」


「ーーーダメよ!そんなの、許さないわ!!」


「楓は、本気だよ?義理の娘だったら、結婚できるよね?」


「そんな気持ち悪いこと言うなら、隆太と別れるからね!?」


「えっ!?おかあさんっ!?それはっ!?」


「あんたたち、そういう関係だったのね!?そうなったらもう無理だわ。出ていきましょう?」


「違うよっ!わたしはりゅーたと、なにも、してないよ?


お母さんが悪いんじゃん!りゅーたにだって、自分の子供がいる家庭を持って、幸せになる権利はあるもんっ!」


「なるほどね。今、やっとわかったわ。隆太の両親の入れ知恵ね?


楓、ダメよ?わたしは、隆太との子供は作らないの。誰の子供だって、もう、作らないわ」


「りゅーたが、かわい、そうじゃん。あんなに言われて、りゅーたは、ずっと・・・」

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