第11話 衝撃の事実


「ねぇ、りゅーた、二階に行っても良い?」


「え?二階で何するの?」


「えっと・・・おままごと?」


「は?」


中二になっても、おままごと?大丈夫か?楓と友人たちの精神年齢が心配である。


「泰斗が、りゅーたに話があるんだって。わたしと乃絵瑠ちゃんは、二階に行って適当に遊んでるから、その間に・・・」


あ、そういうことね。マジでおままごとすると思ったじゃん。楓は嘘をつくのが下手くそだもんなぁ。


え?妹尾くんが俺に、話?まさか、娘さんをくださいとかではないよな?俺、今は親代わりでもなんでもないから、OK出せないぞ?つーか、楓はやらんっ!


「ああ、なるほど、わかった」


わからないけど、わかった。何の話かは知らないけど、きっと楓についてのことだろう。


「泰斗には、ボディーガードとかしてもらって、お世話になってるんだからねっ!?りゅーたは怒っちゃダメだよ?乃絵瑠ちゃん、いこっ?」


ボディーガード?楓を守ってもらってるのか?誰から?


楓と乃絵瑠ちゃんは二階に行ってしまった。


俺と妹尾くんだけが残される。


「とりあえず、お茶出すね?」


「いらないです。俺は、話だけしたら帰ります。別に今日は、楓の家に入るつもりは無かったんです」


さいですか。じゃあとりあえず、座ろう。


ん?楓はこの子にどこまで喋っているんだろう?


「ここは楓の家ではないよ?元々住んでいただけだ。どこかは知らないけど、別の場所にある」


「望月さん、何も聞いてないんだな」


「どういうことだい?」


「一週間前から、楓がお母さんとホテルで暮らしてるって、知らないんですか?」


なんだと!?


理解が、追いつかない。


どうしたら、そんなことになるんだ?


「ごめん、全然聞いてないんだ。どうして、そんなことに・・・」


「再婚相手から逃げてるんだって聞きました。俺は詳しくは知らない。知りたくもないですし、楓もあまり喋りたがらないです。だけど、俺の母ちゃんが、困ってる女の子がいたら助けてあげなさいって言ってたから、この一週間、学校の登下校で楓のそばにいました」


「あ、あ、ありがとう。そんなことになってるなんて、おじさんは全然知らなかった。教えてくれて、ありがとう」


「望月さんの話は学校でよくしてましたし、早く元の家に帰りたいと言ってました。さっきは、疑って、失礼な態度をとってしまい。すみませんでした。この家に帰れて楓の願いが叶ったなら、良かったです」


そうか。この子は、ただ楓を守りたかっただけだったんだ。


感謝しなきゃいけない。ちょっとでも妹尾くんを失礼なやつだなと感じた自分を恥じたい。


「楓も、追われてるのか?」


「一週間、移動の時は一緒にいましたが、特にそんな感じはなかったです。ただ、楓がずっと笑わなくなっていたんです。今日、久しぶりに笑ったところを見ました」


楓が嘘をつくのが下手なんて、なぜ俺は思っていたんだろう。


昨日も、ほんとは怖くて仕方無かったに違いない。それでも、気づけなかった。俺に、心配かけないように。あいつ、笑ってたんだ。


楓は、楓は、ずっと、俺に助けを求めてたんじゃないのか?


「楓のこと、怒らないでください。あいつ、最後まで、望月さんに迷惑かけたくないって、粘ってたんです。でも、ダメ元で、頼ってもいいんじゃないかと話したら、渋々、うなずきました。昨日も、俺がここまで送ったんです」


「そうか、ありがとう。君のお母さんの言葉も、楓を助けてくれたね。お礼を言っておいてほしい」


「はい、母ちゃんの言葉の通りに助けてあげられて、母ちゃんが正しいって証明できたんで、良かったです。


な・・・・・・、あっ・・・・・・。


「ごめんっ、君は、お母さん想いの、ただ、真っ直ぐな子、だったんだな・・・・・・。ありがとう。あとは、大人の仕事だ。おじさんに、任せてくれ」


「わかりました。ボディーガード、続けて欲しい時は、連絡ください。楓を、宜しくお願いします」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る