第8話 裁判

「やっとお目覚めかな。水藻環那くん。」

環那は見覚えのない場所で目覚めた。辺りはとにかく暗く、明かり取りは蝋燭しかない。

目を凝らしてみると、高い台のようなものが13台、環那を取り囲むように並び、それぞれに狩衣を来た人が座っている。

「あなたは...?ここは一体...あれ、動けない。」

環那は後ろ手で縛られていた。縛られている縄には大量の呪符が貼られている。

「君はこれから裁判を受けるのだよ。おっと申し遅れた。私の名前は土御門春彦、陰陽頭だ。そして、そこに座っているのは現十二天将だ。」

「あなたが...。裁判って何の?」

「お前の処遇についてに決まっているだろう。妖が。」

台に座っていた男が怒鳴る。

「まあまあ。まずこの者に自分が妖である事の自覚があるのかどうか確かめなくては。」

別の1人がなだめるように言った。すると、また別の1人が環那の方を向きながら話す。

「この娘は死刑で確定だが、そこのガキはどうなる。こやつは妖隠匿、間違いなく、陰陽連の規律違反だ。」

環那が横を向くと、隣には泰成が立っていた。

「やっ、泰成。どうなってるの?私が...妖?」

「俺も分からねえ。」

ごほんっと言う春彦の咳払いで、それまでザワザワとしていた部屋が急に静まり返った。

「さてと。それでは諏佐田泰成くん。当時の状況を説明してくれるかな。」

「はっはい...。」

泰成は静かに少しずつゆっくりと話し出した。


全ての説明が終わると、春彦が口を開いた。

「なるほど...。それで、その妖は自分のことについて何か言っていたかい?」

「確か、玉藻前と言っていました。」

その名を聞いた途端、部屋がざわめき出した。

「玉藻前!?あの日本三大害悪妖怪のか?」

最初に怒鳴っていた男がもう一度怒鳴る。

「まあまあ、落ち着き給えよ。五百旗頭くん。」

春彦がなだめる。

「所で水藻くん。君は玉藻前本人の意思と会話した事はあるかい?何か言っていた?」

「は...はい。夢の中で。うろ覚えなのですが、玉藻前はこの世界にとてつもなく大きな危険が迫っているとの事でした。」

「なるほど...。」

「陰陽頭様!危険すぎる。すぐさま宿主ごと祓ってしまうべきだ!」

五百旗頭に賛同するように柘榴が口を聞いた。

「確かに。玉藻前となれば話が違う。それに、宿主本人が言っていることも信用出来ない。」

春彦は腕を組んで頭も傾げる。そして、環那に向かって言った。

「水藻くん。君は玉藻前を制御できる自信はあるかい?」

環那は下を向いてボソッと答えた。

「分かりません。」

「ならここで、君の妖力ごと祓ってしまおうと思うんだけど...」

「やります。」






























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