第6話 目覚めた力

「環那!後ろ!」

「え?」

声と同時に2人は環那の元へ走り出した。その時,眩い閃光が3人を包み込む。それと同時に3人は爆風に吹き飛ばされた。

「いたた...一体何が...。」

環那が起きあがろうとすると,目の前にはボロボロの泰成が立っていた。狩衣は所々破れ,足からは流血している。環那を庇い,妖の攻撃をもろにくらったらしい。海は爆風の衝撃に耐えきれず,気絶してしまった。

「泰成!?どうして庇ったりなんか...。」

泰成は環那の方を向き,答える。

「お、お前が死んだら寝覚めが悪いんだよ。だから,黙って守られとけ。」

そして,妖の方に向き直り、大声で叫んだ。

「かかってこいよ,この俺がまとめて相手してやるからよ!」

泰成は果敢に妖に向かっていくも,斬撃を入れる隙も無く,吹き飛ばされてしまう。

(やっ泰成。たった助けないと。)

環那も加勢しようとするが,足が震えて立てない。その間にも泰成は再び立ち上がり,妖に向かっていく。環那の脳裏に芽吹寮の悲劇の光景が広がる。

(まただ。また私のせいで人が死ぬ。私の...。)

(やれやれ。しっかりしろ。)

その時,聞き慣れた声がした。環那はどんどん意識が遠のいて行き、気がつくと、知らない空間にいた。目の前には玉藻前が立っている。瞬間環那の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。それを見て,玉藻前はため息をつく。

「これこれ泣くでない。しっかりするのじゃ。」

玉藻前は環那を泣き止ませると、再び話しかける。

「お主、力が欲しくはないか?」

環那は少し驚くも、間髪入れずに答える。

「私は力が欲しい。お願い玉藻前。私に力を...みんなを助けられるだけの力を頂戴。」

玉藻前は黙って頷く。そして自身の手を噛み出血させると、環那の手のひらに落とす。すると、玉藻前の血は環那の手のシワに沿って染み込んで行った。

「これで契りは終わったぞ。お前はもう無力では無い。さあ行け」

玉藻前は自身の手を眺め続ける環那に向かって言った。そして、パチンッと指を鳴らす。

環那は再び意識が遠のいて行った。




(くそっ。やべえ、押されてる)

泰成は気絶している海に向かって叫ぶ。

「おい海!起きろ!ここままじゃ俺ら死ぬぞ!」

その時、泰成は交戦していた妖に押し負け、倒れ込む。

(あっ、俺死んだわ)

泰成は死を覚悟し目を閉じる。その時、白い閃光が駆け抜ける。泰成が目を開けると、そこには環那が立っていた。











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