第5話 暗黒点
「くそっ。どうなってんだよ,これ。」
「分からない。こんなの見た事ない。」
上層部の司令を受け,霧の立ち込める市街にやってきた2人は空に広がる赤黒い雲を見上げていた。
「おい,あれ見てみろ!やべえぞ。」
泰成が指差す方向を見ると,雲の中から大量の妖が出てこようとしていた。それを見て,海が言った。
「うわ,やばいな。見る限り,AA級が5体,A級が6体ってとこか。」
「どうする?逃げる?」
海の質問に勢いよく答える泰成。
「バカ言ってんじゃねえよ。全部祓うに決まってんだろうが。」
そういうと,泰成は霧の中に飛び込んだ。
「やれやれ。この命知らずが。」
そう言うと海も泰成の後を追い,霧の中に飛び込んだ。
霧の中は,いつもの市街とはまるで違っていた。普段この時間なら,シャッターが降りて閑散としているはずの市街が今は雲の中から出てきたと思われる妖がウロウロしていた。
「おお,団体様のお出ましだ。」
「思ったよりいるみたい...。」
そう言いながらも,2人は着ていた狩衣から呪符を取り出して呪装し,体制を整える。
「妖刀 大包平」
「よろしく頼むよ。鵺」
泰成は大包平を構えると,海に問いかける。
「いけるか?」
「もちろん。いつでもOK。」
そのまま2人は目の前の大型の妖に突っ込んでいく。泰成が大包平で妖に切り込むと,妖の巨体は散り散りに四散した。それを見た海が後ろでため息をつく。
「あー,ちょっと!祓うのはいいけど,死骸残しといてよ。鵺は妖喰らって強くなるんだからさ。」
「仕方ねぇだろ。コイツで斬ると,妖の死骸は残んねぇだから。」
泰成は大包平をくるくると振り回しながら言う。そしてそれを鞘に収めると,先にいる大量の妖を指して言う。
「まあ,いいじゃん?素材なら,あそこに沢山あるぞ?」
「まぁ,そうね。あれだけいればかなり強化できる...てちょっと待って」
海は何かに気づいたのか,妖の大群を指差した。
「どした...て,環那?!なんでこんなところに」
泰成は驚くも、環那を呼ぼうとする。その時,環那の後ろを妖が襲おうとした。
「環那!後ろ!」
「え?」
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