会議時と同じ資料と、犯行声明について述べた補填資料を渡され、読んだ女性は肩を震わせた。

ただ、

「尚更、私はやらねばなりません。」

と言った。

朱衛殿衛士、赤染衛門の誕生である。

赤染衛門はこの後、「衛門」と呼ばれ、朱衛殿の主軸として活躍することになる。

実は彼女、柔道・剣道・弓道、武術と呼ばれる全てを網羅した、生粋の武道家だったのだ。

異能もまたしかり。

意識を向けたもの──人間、家畜、無機物に至る迄──の視界を漆黒に染める彼女の能力について、同僚の紀貫之はこう語る。

「実に汎用的で、素晴らしい。」

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