22 実験・万月視点

ややあって依頼人特定の分担が済んだ頃。

友則さんが声を上げた。

「貫之!奴らが聞き捨てならぬ事を...!」

皆の注目が彼の情報機器に集まる。

画面一杯を塗り潰す様に書かれていたのは...


 『特別』を破壊したかった。

 『更書殿』の破壊は我々の心を満たした。


友則さんが先刻まで、一言も喋らなかったのはレベルリオン

関連の情報を一通りあさっていたから。

そして見つけたそれは、レベルリオンの犯行声明だった。

「今回の事件はレベルリオン単独で行われたと?」

そう言って貫之さんは眉を寄せた。

友則さんは画面を下に移動させる。

そこに現れたのは...


 また、我々の『エド』実験は大成功だった。

 更なる改良に期待を乞う。


「実験?」

私にも分かる。

これは、生体実験だ。

「奴ら快楽犯だったのか!では今迄何故営利集団などと云うややこしい事を?」

「前準備だね。経験値も上がるし、コネも作れる。」

貫之さんの返答に、実朝さんが頭を抱える。

友則さんは更に画面を下に移動させる。


 京は狭い故、

 我々はしばらく海を越す。

 隣国『乎』にて一荒らしする。


「ねぇ『乎』って・・・あの国、朱衛殿の協力者いっぱいいるよね?」

「ああ、早急に警告せねばな。」

篁君と貫之さんの問答が聞こえている。


この時、愚かにも私は、レベルリオンがこの国を出て行った事に対して、喜びを感じずにはいられなかった。

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