18 決意・万月視点

「私が鎮火してみせる。」

眼前で友則さんが慣れない大声を出した。

新人らしくおろおろしていた私は、自我を取り戻す。

「火事を早う止めねば。大学寮を局所豪雨で狙う。」

一同目を剥き、篁君は叫んだ。

「友兄に何かあったらどうするのさ!」

「「「「友兄!」」」」

貫之さんに、さららさん、実朝さんに涙目の小式部ちゃん。

そして篁君。

皆が友則さんを止めようとしている。


「異能が強過ぎて、あんまり使うと友兄の体が持たないんだ。」

二日前だったか、篁君がそう心配そうに話していた。

友則さんは異能行使に出ようとしている。

余りに強く自然に干渉する彼の異能の代償は、命。

行使する度に激しい体力の消耗が待っており、程度を誤れば

取り返しのつかない事になる。


「降雨範囲は狭い。大丈夫さ。」

私達はもう、友則さんの決意を覆す事はできないと悟った。

「死亡者二名、殿舎の焼失。今以上の被害は阻止必須。それに今は昼間だ。異能組織の朱衛殿は、表立って動けない。私の異能であれば、都人も神の御業だの何だの、勝手に言ってくれるだろう。活動許可には別当が既に動いてる。」


ここで周りを見回した私は、今更ながら別当の姿が無い事に 気が付いた。

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