12 煙玉・万月視点

外が斜陽に照らされる頃。

「おかしいよ。」

貫之さんが開口一番こう言い放った。

爆弾の解体が済んで、処理班は殿舎に戻ってきたのだが──、

「ガス弾じゃあなかった。あれじゃただの煙玉だよ。」

「別当の予知が外れたの?」

「鬼が小式部以外の何者かに操られたと?」

「ああ、友兄に篁君、情報が足りないのだよ。」

援護班の二人に、引き続き警戒するよう連絡し、これを対策 とした。




日は沈み、外は闇。

警戒班の一人、実朝さんより通信が入った。

「鬼がやられた!!」

貫之さんが動揺を見せた。

小式部ちゃんの異能の弱点、そこを突かれた。

多個体の鬼を操る彼女は、鬼が倒されるとその場所に強制転 送されてしまう。


「小式部が、危ない。」

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