レベルリオン

8 赤・万月視点

「赤だって?」「それは困ったねぇ。」

さららさんと貫之さんが同時に言った。

「赤って云ったらレベルリオンの業平じゃあないか。名の知れた爆弾魔だよ。こりゃ派手に吹っ飛ばされるねぇ、困ったねぇ。」

「ちょっと之兄!何が『困ったねぇ。』よ!京に爆弾仕掛けられたってのに何を呑気な。」

さららさんが吠えた。

「何にもしないとは言ってないよ。小式部ちゃん、君の異能を不可視にして偵察へ。」

「分かった。」


彼女の体が発光して、両脇の空間が歪んだ。

そしてその歪みから鬼が一人、二人、三人...

その醜い面と云ったら、小式部ちゃんの異能とは思えない。


「別当。鬼が場所を割り出し次第、解体に向かいます。」

「貫之、導火線点火の小型ガス弾じゃ。付近の見張りに注意せよ。今のところ爆発は予測通りじゃろう。四十九時間後じゃ。時限ではない分、気取られては即爆と心得よ。」




私は腰を浮かしかけた。

することはあるだろうと思ったのだ。

「何もするな、小娘よ。」

「えっ?」

実朝さんだった。

「場所が分からん事には事は進展せん。篁の蘊蓄でも聞いておけ。」

「でも...」解体にも準備が必要だ、そう言おうとした。

「聞いてやれ。」

任せておけ、と云うことだろうか。

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