幕間

 珍しく定時にあがったみさきは、コートの襟を立てて冬の風を防ぎながら、乗換駅の駅前にあるネットカフェに入った。みさきは、熱いシャワーを浴びて、頭をスッキリさせたかったのだ。ネットカフェの会員証を作ったみさきは、シャワーの利用を申し込んで、女性専用エリアへのカードキーを受け取った。

 シャワーを浴びたみさきの肌は、少し赤くなった。工学系一筋で生きてきたみさきは、ひどい近眼であり、裸眼では、10cm離れたものを見るのにも苦労する。そのため、みさきは、シャワーを浴びるときにも眼鏡をかけて浴びる。髪を流したあとで、みさきは、眼鏡についたシャンプーを洗い流した。シャンプーの匂いがする眼鏡をかけたみさきは、消毒スプレーの臭いを気にしていた大輝を思い出した。今日のみさきは、大輝と上手くやれていなかった。

 みさきは、シリクサに音楽をかけてもらおうとスマートフォンを手に取ったが、ここ数日間の出来事を思い出して、考え直した。みさきは、一人になるためにスマートフォンの電源を切り、パソコンが置いてあるネットカフェのブースに向かった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る