第3話異世界で無一文
【始まりの街・入口】
異世界に来た。
都合よく言語や文字は理解できる。
「では、僕はこれで失礼します」
異世界に来て早々、僕はエアリスに別れを告げた。
「ちょっと待ちなさいよ」
「何ですか?」
「私も一緒に行くわ。光栄に思いなさい」
「とかなんとか言って本当は一人でいるのが寂しいとか」
「ぐぬぬ」
エアリスが涙目で睨んでくる。
どうやら、図星だったみたいだ。
「わかりました。ただ面倒事は起こさないでくださいね」
「わかったわ」
「ぶっ殺すわよッ!! このモブキャラ風情がッッッッ!!!!」
舌の根も乾かぬうちにエアリスは問題を起こした。
事の顛末はこうだ。
異世界に来たのはいいが、無一文だった僕らはお金を稼ぐ方法を模索していた。
住人に聞いて回ってる途中で、エアリスが住人と揉め出した、以上。説明終わり。
「動くな!!」
腕に腕章を付けた男達が騒動を取り締まる。
男達は街の警備隊だった。
騒ぎを起こしたエアリスは数人の男に取り押さえられ、連行された。
「ちょっと離しなさいよ! 女神にこんなことして許さないんだからね!!」
うん、見なかったことにしよう。
エアリスとはここで別れることにした。
数時間後。
釈放されたエアリスが泣きながら愚痴を言ってきた。
「なんでぇ迎えにきてくれないのよぉ」
「問題を起こすなって言ったのに起こすからですよ。少しは反省しましたか?」
「私は悪くないわよ。『ちょっとそこのあんた、私があんたの金を使ってやるわ!』って言ったら、あいつが『あんたは頭がおかしいのか?』って言うから、つい」
「ついじゃねぇよ」
情状酌量はなかった。
「次に問題を起こしたら、置いていきますからね」
「反省してます」
「その言葉信じますよ。なら、この話はもう終わりです。それよりもお金を稼ぐ方法を見つけましたよ」
「どいつから金を巻き上げたの!?」
「違いますから」
「じゃあ何?」
「それは後のお楽しみで、ただ言えることは、間違いなく売れます」
【雑貨屋】
「あぁ、リバーシね」
リバーシ。つまりはオセロゲーム。
異世界に来たならこれを売らないという使命感からアイデアを売ってみたのだけれど。
「お兄さん、人様のアイデアパクったらダメだよ」
店主が指を指す棚にはオセロ盤が置いてあった。
「あぁ、そういえば前にやたらと異世界に生きたいって日本人をこっちの世界に送ったわね」
そう言う事は早く言って欲しかった。
異世界旅行~女神はおまけです~ うすしお @BB-9
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界旅行~女神はおまけです~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます