第2章 新たな日常 6
「ただいまー、って誰もいないか。」
ヨシコは少しホッとしたような顔でソファに座る。チズはまだ寝てるのかな?とりあえずチズに話して、シンとジンが帰ってきたら作戦会議だ。
その日の夜、僕とヨシコはみんなを集めた。シンとジンは学校帰りで若干疲れているが、チズは遊び相手が帰ってきたのでテンションが上がっている。
「ねぇシン!ジェンガしよ!」
チズがシンを遊びに誘っている。
「えー、俺宿題しないといけないんだよ。」
「じゃあ宿題しながらジェンガしよ!」
「そんなに器用じゃない。ジンに相手してもらえ。」
「いやだ。」
ジンは他人事のように知らんぷりをしている。
「チズ、大事な話があるからそれが終わってからね。」
「はーい!」
チズは素直にヨシコの言うことを聞いて座った。
「どうしたの?ヨシコ姉ちゃん、結婚でもするの?」
「なんでそうなるのよ。」
「だって、結婚を報告する時ってみんなを集めて、真剣な面持ちで話をするんでしょ?」
「だからどこでそんな事覚えてくるの?笑 まぁ、そうかもしれないけど、結婚じゃないのよ。」
「そっかー。」
チズが納得したところで、僕は切り出した。
「みんな、聞いて欲しい。トシさんが逮捕された理由や今どこにいるかどうか、分からない事だらけだけど、トシさんを助け出すことを決めたんだ。シンとジン、チズ、手伝ってくれるよね?」
「もちろん、断る。」
「もちろん、手伝う。」
珍しくシンとジンの意見が割れた。断ると言ったシンが、ジンと僕を睨む。
チズは何も言わず目をキョロキョロしている。
「無理でしょ。どこにいるか分からないし、そもそも助け出すなんて無理があるだろ。」
シンは顔色1つ変えずに話す。
「そうかも知れないけど、何か嫌な予感がするんだ。早くトシさんに会いたいんだ。」
「…うん、分かった。そういう事なら協力するよ。」
シンは理解が早い。僕とヨシコの意思の固さを汲み取った。
「という事で、明日から早速動く。まずはトシさんがどこに逮捕されたか調べよう。僕とヨシコが警察署をとにかく回るから、シンとジン、チズはどうやって助け出すか案を考えておいてくれ。」
「分かった。」
「分かった。」
「ういっす!」
チズだけ揃わなかったが、なんだか楽しそうだから問題ない。
「じゃあ、どこにいるか分かったらすぐに決行しようね。」
ヨシコが気合を入れた表情で言った。
「みんなで協力すれば怖いもの無いもんな。みんな、頑張ろうな!」
「よし!頑張るぞー!」
チズの一言で明るくその場は閉じた。
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