第2章 新たな日常 2

2週間前


「社長、おはようございます。」

「おう、おはよう。」

「早速ですが、昨日お話しした新しいマンション計画のことで…」

今日も秘書の出迎えで仕事が始まる。


朝から仕事の話を急かされ、少し不機嫌な社長、吉田一。

不動産、建設、道路建設などのあらゆる事業を展開しているグループのオーナー。

年商1000億円を超える日本で有数の実業家。

50歳を超えて、そろそろ落ち着いた人生を送りたいという思いも強くなり、最近仕事が億劫になってきている。


「少し書類の整理をするから、その話はお昼以降にしてくれないか?」

「かしこまりました。」

秘書の田中は手際よく資料をまとめ、次の仕事へ移る。良きパートナーだと改めて感じる。


ガチャッ

部屋に入ると真っ先に目に飛び込む大型テレビ。仕事上、ここでテレビ通話をしながら作業もしなくてはならないほど忙しい。有り難いことだが、体力もどんどん無くなっている。

無駄に高級なソファー、椅子、興味もない絵。

社長室とは名ばかりの、世間体を守る為だけの私の部屋。10年も経つと感覚を忘れるものだ。

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